Safari Online

SEARCH

CULTURE カルチャー

2025.01.19


【ドナルド・トランプ】議論が絶えない新アメリカ大統領の真実の姿とは!?

民主党のカマラ・ハリスに圧勝し、再びアメリカ合衆国大統領となることが決まったトランプ。その言動に世界中が注目し、全方位に火種を撒き続けてきた男を、果たして私たちはどう評価すべきなのだろうか。さて、モーリーはどう見ている!?

【ドナルド・トランプ】議論が絶えない新アメリカ大統領の真実の姿とは!?2024年11月6日、フロリダ州ウェストパームビーチのコンベンションセンターで開催された集会で、支持者を前に勝利宣言するトランプ。予想を覆す大差で大統領選に勝利し、132年ぶりに任期が連続しない再選となった

今回のトランプの映画、僕も観ました。ある種のリアリズムが追求されていて、壮大なテーマ性を感じましたね。この作品がトランプを褒めているのか、貶めているのかは意見が割れるはず。それも織りこみ済みで、どちら側からも安易に判断できないようにしています。脚本のレベルが極めて高く、役者の演技も本当に素晴らしい。一番すごかったのは、悪名高い弁護士のロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)。今までに何度も描かれてきた人物ですが、一番本人らしいと思います。史実でもコーンはやりたい放題で、最期はあまりにも寂しかった。そのあたりをうまく描いています。

コーンの物語というのは、実はシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』なんです。シーザーが自分を神にたとえて酔っている瞬間、腹心たちに刺される。その後、アントニーが民衆の心を掴むために「私はシーザーではなくローマを愛していた」と語る。これはコーンやトランプの言葉にもよく出てきます。“アメリカ・ファースト”です。シーザーやコーンのように、トランプも黄昏までの時間は長くないのかも。終わる時は呆気なく、その理由は自業自得です。

コーンはマッカーシーによる赤狩りを検察官として先導した人物です。法や倫理を無視してね。マフィアの顧問弁護士となって人脈を築き、大儲けしてモンスター化する。でも、やがてかばってくれる仲間が減り、脅しに屈する人脈も高齢化で消え、最後は寂しく亡くなる。汚い手で築いた人脈には賞味期限があるんです。コーンが描いた成功と没落の弧において、トランプは今ピークにいる。この映画はそれを暗示的に重ねています。

ただ、この映画を観てトランプを絶対悪と捉えるのは、想像力の欠如。もちろん映画は自由に観ていいと思いますが、安直に判断するのは要注意です。映画でも描かれましたが、’80年代前半のNYは極端に治安が悪かった。その荒廃ぶりを知っている人からすれば、トランプの再開発は“いいこと”でした。低所得者向け住宅を提供して以降、経済能力がないままNYへの人口流入が進んだ。貧困が広がり、街が荒廃していく中で、トランプのような人たちが揺さぶりまくった。時代が彼らを望んだ側面があるんです。

この時代、社会的な公正さや寛容さが必要だという立場でありながら、共和党のレーガンを支持した“レーガン・デモクラット”という人たちがいました。目の前の現実を見て、まずは力強いリーダーが必要だと考えた。こうした人たちが出てきた背景も、映画の中で語られます。レーガン政権は確かに負け組をたくさん生んだ。でもアメリカ経済が沸いたのも事実。これまでの多くの映画で描かれた“悪い金持ち”は、どこか漫画的で立体感がありませんでした。コーンのような俗物がいて、ニクソンやレーガンがいて、トランプがいる。そこには必然性があり、寛容さやリベラルさとは背中合わせなのだと。この作品のそんな深い時代設定は新鮮だったし、映画の成熟を感じます。時代を立体視させてくれるんですね。

トランプ支持者を“悪あがきする負け組”とくくるのは簡単。でも群衆の中の各個人には、それぞれの思いや物語があります。今回の大統領選挙でも、フロリダのヒスパニック系住民が象徴的でした。多くの人が「トランプは夢を見せてくれる」と考えたわけです。トランプが自分をどう幸せにするのか曖昧であっても、やっぱり彼を選ぶ。ここですよね。簡単にわかった気にならず、現在起きていることはなんなのかという視点が必要です。そういう意味では、この作品を観ることでトランプのどこが魅力的なのか、その謎解きができるかもしれません。

歴史をひもとく大きな絵と、個人の小さな物語が共存するのがこの映画。これを機にアメリカ史やロイ・コーンについて調べてみるのもいいと思いますよ。

どんな歴史を歩んで大統領になった!?


【ドナルド・トランプ】議論が絶えない新アメリカ大統領の真実の姿とは!?1983年、マンハッタンのミッドタウン5番街に超高層ビル“トランプ・タワー”がオープン。そのレセプションに出席したトランプ(左)とロイ・コーン(右)。真ん中は当時のNY市長だったエド・コッチ

【ドナルド・トランプ】議論が絶えない新アメリカ大統領の真実の姿とは!?トランプとマイク・タイソンの関係性は深く、’88年のスピンクス戦をホストしたほか、タイソンの財務顧問を務めたことも。タイソンは2016年の大統領選でも支持を表明した

不動産王トランプはいかにして作られた!?


【ドナルド・トランプ】議論が絶えない新アメリカ大統領の真実の姿とは!?1970年に撮影された若き日のトランプ。当時24歳。まさにニューヨークに進出しはじめた頃で、実業界での注目も高まっていた

ドナルド・トランプの歴史  


1度めの大統領退任後、多くの訴訟を抱えたトランプ。2024年大統領選後の現在、34件の州法違反で重罪人となり、複数の刑事裁判で被告人となっている。ホワイトハウスに復帰することで、進行中の裁判はすべて打ち切られる可能性が高い。

映画公開情報
歴史に残る怪物はいかにして生まれたか!

【ドナルド・トランプ】議論が絶えない新アメリカ大統領の真実の姿とは!?全米公開時にトランプが上映阻止に動いた衝撃の問題作。気弱で繊細だった20代のトランプが、辣腕弁護士のロイ・コーンと出会い、「勝つための3つのルール」を伝授され……。今こそ一見の価値あり!!
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』
2025年1月17日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
© 2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

教えてくれたのは
[モーリー・ロバートソン]
Morley Robertson
1963年、NY生まれ。東京大学とハーバード大学に現役合格。現在はタレント、国際ジャーナリスト、音楽家など幅広く活動中。最新著作『日本、ヤバい。「いいね」と「コスパ」を捨てる新しい生き方のススメ』(文藝春秋)が発売中。

この偉人になりたい度数
35/100
やっぱりこの人はヤバいかもしれない!?
「映画の前半は感情移入して35点。でも真ん中あたりからヤベェと思いだし、後半はなるべく遠くに逃げようと思いました。今後のアメリカ、やっぱりヤバいかも」

 

 

●こちらの記事もオススメ!
【LA情報も!】セバスチャン・スタン主演『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』

“アメリカ偉人伝”のラインナップ
【ジョン・ウィリアムズ】スクリーンを彩る偉大な作曲家のレガシーとは!? 
【マイルス・デイビス】ジャズの帝王が音楽にもたらした大変革とは!?
【テイラー・スウィフト】Z世代に絶大な影響力をもつその理由とは!?
【バラク・オバマ】団結と分断を超えてアメリカ社会に残したものとは?
【ニール・アームストロング】人類初の偉業が見せてくれる現代の夢とは?
【フランシス・フォード・コッポラ】尽きない情熱で映画に携わる巨匠の業とは!?
【モハメド・アリ】伝説的ボクサーが名試合以外に残した価値とは!?
【ジョン・レノン】今も絶大な影響力をもつレジェンドの実像とは!?
【ジェームス・ブラウン】音楽史に輝くファンクの帝王の光と陰とは!?
【エイブラハム・リンカーン】アメリカ史に輝く偉大な大統領の意外な影響とは!?
【ビリー・アイリッシュ】今を象徴するアーティストの行き着く先とは!?
【ウディ・アレン】映画を変えたレジェンドの真実の姿とは!?
【ビル・ゲイツ】ITの新時代を拓き巨万の富を得た男の目指すものとは!?
【マーティン・ルーサー・キング・ジュニア】人種差別の解消に尽力した偉人の語られざる顔とは!?
【アーネスト・ヘミングウェイ】タフで男らしい文豪の隠された真の姿とは!?
【マーク・ザッカーバーグ】IT界を牽引する若き天才はどう世界を変えた!?
【マドンナ】お騒がせなポップの女王の正体とは!?
【クエンティン・タランティーノ】映画ファンの心を掴んだ男の本当のすごさとは!?
【カート・コバーン】カリスマの音楽はどのようにして生まれてきた!?
【マイケル・ジョーダン】バスケを愛しバスケに愛された男の時代性とは!?
【ボブ・ディラン】世界中の人々を魅了し続ける男の実像とは!?
【マイケル・ジャクソン】世界中に多大な影響を与えた真のすごさとは!?
【スティーヴン・スピルバーグ】世界的巨匠が作品世界に込めた“ある視点”とは!?
【ホイットニー・ヒューストン】不世出の歌姫が後世に遺した大きな希望とは?
【マリリン・モンロー】世界を魅了したセックスシンボルの光と影とは!?
【ウォルト・ディズニー】夢と希望の国を作り出した偉人が遺したものとは!?
【スティーブ・ジョブズ】カリスマの“魔法”は世界をどう変えたのか!?
【アンディ・ウォーホル】ポップアートの奇才はなにを企み、なにを夢見たか!?
【ジョン・F・ケネディ】第35代アメリカ合衆国大統領の真実の顔とは!?
【イーロン・マスク】壮大すぎる夢追い人は救世主かペテン師か!?
【エルヴィス・プレスリー】アメリカの光と影を映し出すロックの王様!

 
Information

雑誌『Safari』2月号 P178〜179掲載

アーロン・テイラー=ジョンソンが表紙を飾る
雑誌『Safari』2月号が好評発売中!

『Safari』2月号の購入はコチラ
『Safari』定期購読はコチラ


“アメリカ偉人伝!”の記事をもっと読みたい人はコチラ!

●雑誌・WEB『Safari』の公式TikTokは
こちらからアクセスしてみて!

文=野中邦彦
text : Kunihiko Nonaka(OUTSIDERS Inc.)
photo by AFLO
〈リプレイ〉の限定アイテムを俳優・栁 俊太郎が着こなす!イタリアと日本のデニム愛が詰まった1着!
SPONSORED
2026.04.01 NEW

〈リプレイ〉の限定アイテムを俳優・栁 俊太郎が着こなす!
イタリアと日本のデニム愛が詰まった1着!

イタリアのクラフトマンシップをデニムで体現する〈リプレイ〉が、世界が認めるジャパンデニムの象徴〈クロキ〉とタッグを組み、伊勢丹新宿店限定のカプセルコレクションを完成させた。イタリアと日本の両雄の国境を超えた共演は、はたしてどんなデニムスタ…

TAGS:   Fashion Denim
浅草と日光・鬼怒川温泉を結ぶ〈東武鉄道〉のスペーシア X。大人旅の新しい目的は贅沢な移動時間を過ごすこと。
SPONSORED
2026.03.31

浅草と日光・鬼怒川温泉を結ぶ〈東武鉄道〉のスペーシア X。
大人旅の新しい目的は贅沢な移動時間を過ごすこと。

旅先での過ごし方に限らず、移動時間さえもが贅沢なひとときに。浅草と日光・鬼怒川温泉を結ぶ〈東武鉄道〉の特急スペーシア Xに乗れば、そんな大人旅の新しい楽しみ方を発見できる。特急スペーシアが築いた伝統を継承し、より上質に進化を遂げたフラッグ…

シーンを選ばず活躍する〈フルラ〉。日常に品格を添えるバイカラーの上質なバッグ。
SPONSORED
2026.03.27

シーンを選ばず活躍する〈フルラ〉。
日常に品格を添えるバイカラーの上質なバッグ。

上質な素材とクラフトマンシップを礎に、洗練と実用性を両立する〈フルラ〉。今シーズンは、ミラノの建築美や街並みから着想を得た、軽やかさの中にも遊び心を宿したコレクションを展開。メンズのアイコニックバッグ“マン ジョベ”にもバイカラーの新作が…

TAGS:   Fashion Urban Safari
“着る愉しみ”が詰まった〈ベルヴェスト〉の一着。卓越した技術が打ち出す軽快で端正な佇まい。
SPONSORED
2026.03.27

“着る愉しみ”が詰まった〈ベルヴェスト〉の一着。
卓越した技術が打ち出す軽快で端正な佇まい。

“着る愉しみ”を体現できる〈ベルヴェスト〉。北イタリアのサルトリアの伝統に裏打ちされた卓越した技術が、軽やかな着心地と端正な佇まいを生み出す。名作“JACKET IN THE BOX”は、柔らかな仕立てと洗練されたシルエットにより、装う人…

TAGS:   Fashion Urban Safari
〈ヘルノ〉なら品があって新鮮!軽くて心地いい春に着たい服!
SPONSORED
2026.03.25

〈ヘルノ〉なら品があって新鮮!
軽くて心地いい春に着たい服!

気温が上がるにつれて、気分もアガってくるこの季節。軽くて心地いい服をまとって、アクティブに週末を過ごすのはどう? そこで注目したいのが、イタリア発の〈ヘルノ〉。高い実用性とラグジュアリーさを備えつつ、ほどよくスポーティで着心地のいい海を感…

TAGS:   Fashion
さらに快適に進化した〈ベルルッティ〉の定番スニーカー!⼤⼈の⽇常に寄り添う アイコニックな1⾜!
SPONSORED
2026.03.25

さらに快適に進化した〈ベルルッティ〉の定番スニーカー!
⼤⼈の⽇常に寄り添う アイコニックな1⾜!

〈ベルルッティ〉といえば、パティーヌ仕上げが美しいレザーアイテムが有名だが、実は快適さにこだわるお洒落好きの間では、スニーカーの評価が高い。なかでも人気なのが、軽やかな履き心地で一度足を入れればその快適さの虜になるという、定番モデルの“シ…

TAGS:   Fashion
俳優・濱尾ノリタカが魅せる〈トッズ〉の最新コレクション!洗練された男が選ぶ6つのキーアイテム!
SPONSORED
2026.03.25

俳優・濱尾ノリタカが魅せる〈トッズ〉の最新コレクション!
洗練された男が選ぶ6つのキーアイテム!

エレガンスと自然体の美しさを具現化した、今シーズンの〈トッズ〉の春夏コレクション。そんなイタリアのリゾートライフを思わせる新作を、今、注目の俳優・濱尾ノリタカが着こなした今回の企画。リラックス感の中に優雅さを感じさせ、彼の立ち居ふるまいと…

TAGS:   Fashion
成熟した大人にこそ似合う〈ルミノックス〉の名作!“本物”を知る男のミルスペック時計!
SPONSORED
2026.03.25

成熟した大人にこそ似合う〈ルミノックス〉の名作!
“本物”を知る男のミルスペック時計!

手元でまわりに差をつけるなら、求めたいのはルックス以上の説得力。華美な装飾や流行ではなく、選んだ理由まで語れる一本こそ、品格ある大人の証。〈ルミノックス〉の時計は、そんな価値観に応える“本物”だ。

TAGS:   Watches

loading

ページトップへ