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CULTURE カルチャー

2019.03.22


『ブラック・クランズマン』は社会派なのにウィットに富んでる!

スパイク・リー監督作と聞くと、社会派で、特に人種問題と向き合った映画……というイメージが強いかも。たしかにこの新作もそう。でも、よりエンタメとして楽しませる作りになっているっていうところが今までとは違う。スパイク・リー作品史上、最も入りこみやすい作品だと断言する!

『ブラック・クランズマン』

ムネアツなポイントは?
”苦労をユーモアに変えて反撃する主人公の姿がとにかく痛快!”



1970年代半ば、街で初となる黒人警官が、白人至上主義を唱える組織“KKK”に潜入する物語。当然、黒人の自分が潜入はできないので、KKKとの電話など顔の出ない連絡は自分で。で、顔の出る実行役には同じ部署の白人警官を。このややこしい状況に、ちょっとしたドタバタ感を盛りこんで軽妙に描いている。もちろん、クスッとどころではない爆笑&苦笑シーンもきちんと用意されているからご期待!

黒人警官ロン・ストールワース役は、あのデンゼル・ワシントンの息子ジョン・デヴィッド・ワシントン。父親とは真逆のお気楽(に見える)キャラが魅力。そんな彼が演じるロンは、署内でも差別を受け、うんざりな毎日を過ごしている。しかし、それに負けることなく人種差別の権化“KKK”へと立ち向かうのだ。それも電話で白人を演じるというユーモアを交えて。このあたりは、観ていて勇気をもらえるし、痛快な気分が味わえるはず。そして白人警官役のアダム・ドライバーは、持ち味のおとぼけ感が全開。2人の掛け合いはまるでコメディのような面白さ。そこに潜入がバレるかどうかという、スリリングな空気が充満するので、観ているこちらの集中力がとぎれることはない。

音楽やファッションのかっこよさにも目を奪われるが、人種問題がテーマなだけに当然のごとく超シビアな展開も待ち受けている。さらに、ラストにこめられたメッセージは重厚であり、映画の醍醐味を満喫させる傑作だ。ちなみに、本作はノンフィクション小説の映像化。つまりは、実話ということ。“事実は小説より奇なり”を実感する作品だ。
 
 
『ブラック・クランズマン』
原作/ロン・ストールワース 製作・監督・脚本/スパイク・リー 出演/ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライバー、トファー・グレイス 配給/パルコ
2018年/アメリカ/上映時間135分

3月22日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
©2018 FOCUS FEATURES LLC, ALL RIGHTS RESERVED.
 

 
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文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
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