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CULTURE カルチャー

2018.12.12

今こそ、踏ん張るときだ!
希望が持てるカムバック映画5選

先日、ロブ・ブラントに判定負けをし、2度めの防衛に失敗した村田諒太が現役続行を表明。金メダリストであり、WBA世界ミドル級チャンピオンであった最強の男なだけに、「もうひと花咲かせて欲しい」というファンの気持ちに応えてくれたのか、引退という言葉を聞かずに済んだのはひと安心だった。しかし、口で言うのは簡単だが、この先、ビッグマッチを制するためには、想像以上の忍耐と努力が必要だ。そこで、応援の意味をこめて、どん底から復活を遂げるカムバック映画をセレクトしたい。村田よ、これを観れば、力が湧いてくるはずだ!

 



『サウスポー』
製作年/2015年 監督/アントワーン・フークア 出演/ジェイク・ギレンホール、フォレスト・ウィテカー

王座から転落した後、いかに復活したらよいか?その答えがここにある!
無敵のチャンピオンの座についた者は、その座から転落したときにこそ、真の強さが試される。この映画の主人公は、まさにその典型的な例だ。世界ライトヘビー級の王者となったビリー・ホープは、パーティの席でライバル選手から挑発され、大ゲンカに発展。相手の仲間が撃った銃によって、ビリーの妻は命を落としてしまう。自暴自棄になったビリーは当然のごとく試合に負け続け、生きる希望も失い、ついには自殺未遂も引き起こす。そのことで、愛する娘とも引き離されてしまう。

絵に描いたような転落劇だが、何もかも失ったどん底状態でも、人は立ち上がることができるのだ。この『サウスポー』は、そんな人間の“本能”をストレートに描き、有無を言わさぬ感動を届けてくれる。復活を支えるのが、かつてのライバル選手のトレーナーだという設定も絶妙だ。ビリー役のジェイク・ギレンホールが王者時代→絶不調時→復活時と、肉体をリアルに変化させ、ボクサーの奇跡を文字どおり体現している。その役者魂が、観る者を圧倒する。
劇的復活度★★★★★
 

 

『オールド・ルーキー』
製作年/2002年 監督/ジョン・リー・ハンコック 出演/デニス・クエイド

やり残したことがあるなら、もう一度チャレンジするのも人生の醍醐味!
人生の早い時期に挫折を経験するも、その後、諦めきれなかった夢を復活させる。劇的な人生を歩んだメジャーリーガーの実話を描いたのが今作。幼い頃から野球が大好きだったが、高校に野球チームはなく、大学で本格的にプレーしはじめて、なんとかマイナーリーグの選手となったジム・モリス。しかし肩の故障で引退。その後は高校教師をし、野球部の監督をしていた。生徒たちに野球を教えることで、彼の心に野球への再び熱い思いが復活。入団テストを受け、35歳にして史上最年長のメジャーリーガーとしてデビューを果たす。

投手として自分の納得する球が投げられなくなり、潔く夢を諦める。それも1つの人生。しかし、やり残したことにもう一度チャレンジするのも、人生の醍醐味。この映画の場合、挫折から復活までの時間はかなり長いし、35歳のメジャーリーガーということで輝いた時間は短い。しかし、だからこそ、わずかな希望に賭けるジムの決断が胸を打つのである。満を持してメジャーリーグのマウンドに立つ彼の姿からは、何歳になってもやり直しができると、勇気をもらえるはず。モデルとなったジム・モリス本人も特別出演している。
劇的復活度★★★★
 
 

『ビニー/信じる男』
製作年/2016年 原案・監督・脚本/ベン・ヤンガー 出演/マイルズ・テラー

大怪我をしても信念があれば復活できる!
アスリートにとってケガは重要なターニングポイントとなる。ましてや選手生命を危うくする大ケガの場合は、その後の人生を一変させてしまう。今作の主人公、ビニー・パジェンサはプライドが高く、自分の実力を信じて疑わない、ボクサーらしい資質を備えた男。そんな彼がチャンピオンにコテンパンに打ち負かされる。これが一度めの挫折。2度目は、新たなトレーナーに指導を仰ぎ、階級を上げて、念願の王座を掴んだビニーに訪れる。チャンピオンになったその直後に交通事故で首を骨折してしまうのだ。なんと、ボクサーとしての再起は不可能という最大の挫折に苦しむことになる。

復活を目指すには、一か八かの賭けが必要だった。そして何より、その賭けには強い“信念”も要求される。ビニーは失敗のリスクが高いといわれる脊髄固定手術を受け、そしてボクサーとして再びリングに上がるため、過酷なリハビリに挑んだ。これがフィクションなら出来すぎの話だろう。だが、ビニー・パジェンサは、5度の世界チャンピオンに輝いた実在のボクサー。アスリートの大ケガからの復活という点で、ここまで壮絶でドラマチックな実話も珍しい。タイトルどおり“信じる”心こそが、肉体の回復も呼び起こすのである。
劇的復活度★★★★★
 
 

『幸せのちから』
製作年/2006年 監督/ガブリエレ・ムッチーノ 出演/ウィル・スミス

復活への原動力は他者への限りない愛!
医療機器のセールスをしていたクリス・ガードナーは、折からの不況の影響で収入がガタ落ち。家賃も支払えなくなり、妻にも去られ、5歳の息子とモーテル暮らしとなる。人生のドン底を味わいながらも、彼は一流証券会社の研修生となる。しかし研修期間は無給のため、お金は底をつき、ついにホームレスの生活を余儀なくされるのだった……。公衆トイレで寝泊まりするという究極のドン底生活から、いかにしてまともな人生に復帰できるのか? 大逆転のクライマックスに辿りつく、信じがたいけど本当にあった話。

主人公のクリスを演じるのはウィル・スミス。息子役は、本当の息子のジェイデン・スミスで、父子共演が実現した一作だ。実際の親子の絆が感じられるせいか、悲痛なシーンには思わず感情移入させられる。とにかくこの主人公は、自分のためではなく、幼い息子を守るという使命感が強く、逆境にも折れることなく必死に立ち向かうのだ。これはまさに“他者への限りない愛こそが、ドン底から這い上がるパワーを与える”というモデル。どんなに安定的な仕事に就いても、人生、一瞬先は闇。そんなシビアな現実にも対処できる、いい年の大人が勇気をもらえる一作。
劇的復活度★★★★
 
 
『夢駆ける馬ドリーマー』
製作年/2005年 監督・脚本/ジョン・ゲイティンズ 出演/カート・ラッセル、ダコタ・ファニング

安楽死目前からの復活に胸が打たれる!
挫折から復活できるのは、人間だけではない。むしろ人間ではないからこそ、その必死な努力に胸を打たれることもある。この映画は、競走馬の復活を描いた感動作だ。“ケンタッキーダービー”でも有名なケンタッキー州の牧場で、経営者のベンが調教している牝馬のソーニャドールが、レース出走を強行したために骨折。競走馬が骨折するということは、安楽死の運命が待っているということ。しかしベンはソーニャドールを連れ帰り、治療を施す。そして、優秀な種馬と交配させ、その仔馬を売ることを考えるのだった。

しかし、これだけではあざやかな復活劇とはいえない。ベンの娘、ケールがソーニャドールをかいがいしく看病し、幼いながら馬主となってソーニャドールを再びレースに出すべく奮闘する。競走馬自身の復活だけでなく、それを後押しする周囲の人間ドラマ、とくに家族関係の“復活”が観る者の心を熱くする。さらにこれは小さなエピソードだが、無名の騎手のトラウマ克服劇も見逃せない。クライマックスのレースに向けて、一気に盛り上がる感覚を味わってほしい。
劇的復活度★★★
 
 
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文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
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