アナタが人質事件に直面したら、どうする!?
もしものための人質奪還映画5選
ジャーナリスト安田純平さんが解放されたことで、日本中が様々なことを考えさせられた。まさかそんなことはあるわけないと思いたいが、これを機に考えたいのがもしもの時。自分が人質になったら!? あるいは身近な人が人質になってしまったとしたら!? 慌てずにどんな行動をとればいいのか。まずはこれらの映画を観て、シミュレーションしておくのもリスクヘッジの1つかもしれない。
『アルゴ』
製作年/2012年 原作/アントニオ・J・メンデス、ジョシュア・パーマン 監督・出演/ベン・アフレック
奇想天外な発想こそ、敵の目を欺ける手段だ!
緊張状態のとき、敵が考えもしないような策で挑むのも1つの手であることを教えてくれるのがコチラ。1979年11月、イランの首都テヘランにあるアメリカ大使館がデモ隊に占拠される事件が発生。大使館職員全員が人質になって444日間も膠着状態が続いたのだ。しかし、実は6人が逃亡し、カナダ大使館に匿われて潜伏生活を送っていた。そこでCIAが考えた出した案とは……。奇想天外だけど本当にあった救出作戦を映画化したのが本作。
なんとCIAは、6人をイラン国外に脱出させるために映画のロケハンスタッフに化けさせようとして、ありもしないSF超大作『アルゴ』をでっちあげたのだ! 敵に怪しまれないようにハリウッドにダミーの映画会社まで設立する念の入れようなのが痛快。あり得ないほど大胆なアイデアでありながら、いや、大胆なアイデアだったからこそ、作戦には緻密さが必須だった! ちなみに映画では実話よりハラハラ度が200%増しになっており、緊張感あふれるクライマックスに手に汗握ること間違いなし。
『ベイルート』
製作年/2018年 監督/ブラッド・アンダーソン 出演/ジョン・ハム、ロザムンド・パイク
不可能な状況でも、粘り強く交渉すれば何とかなる!
人質事件となると、相手は一筋縄ではいかない。けれども交渉し続ければ、光明が見えてくる。そんな思いにさせてくれるのが本作。様々な勢力の思惑が複雑に絡み合い、魑魅魍魎の巣のようなカオスと化していた‘80年代のベイルート。そこで、テロ組織にCIAのエージェントが誘拐された。交渉役に指名されたのは、被害者と友人だった元外交官のメイソン。そしてテロ組織の代表は、10年前に引き取って息子のように育てていた現地の青年だった!
愛憎が渦巻くややこしい事態だが、メイソンはあくまでも現実主義。テロ組織やアメリカ政府、イスラエルなど一筋縄ではいかない勢力に対して、損得勘定の駆け引きで事態の打開を図ろうとする。どれだけ不可能に思える状況でも、「絶対に交渉の糸口はある!」と信じて突き進むのがメイソン流。人質事件だけでなく、普段の仕事の上でも学ぶところが多い映画なのだ。
『狼たちの午後』
製作年/1975年 監督/シドニー・ルメット 出演/アル・パチーノ
人質になったら、まず犯人の人柄を見抜くべし!
思わぬところで人質になってしまったら?そんなときはパニックにならず、犯人がどんな人間なのかを冷静に観察すべし。そこが生き残るための糸口であると思わせてくれるのが『狼たちの午後』だ。アル・パチーノがほとんど行き当たりバッタリの銀行強盗を熱演したという、シドニー・ルメット監督の名作。強盗が早々に上手くいかなくなったので、犯人たちは人質を取って銀行に立てこもる。可笑しいのは、最初は怯えていた人質たちと犯人の間に、不思議な仲間意識すら芽生えてくること。
加害者と被害者に交流や共感が生まれるのは“ストックホルム症候群”と呼ばれる有名な現象だ。この映画では犯人が調子に乗って警官をヤジっているうちに、野次馬として集まってきた群集からも好かれはじめる。人質を取って立てこもった時点で凶悪犯認定されても文句は言えないが、犯人が根っからの悪人ではないこともある。いざ人質にされてしまったら、犯人の人柄を見極めることも、サバイブするための必須スキルかも!
『身代金』
製作年/1996年 監督/ロン・ハワード 出演/メル・ギブソン、ゲイリー・シニーズ
愛する人が人質になったら、強気で攻めるのも手だ!
人質事件となると、身代金の受け渡しタイミングでの犯人逮捕が定番。しかし、必ずしもそれしか方法がないわけではない。本作は、そんな状況に選択肢を増やしてくれる一助となる作品だ。
愛する息子を誘拐されてしまった航空会社の社長が、テレビカメラを通じて犯人グループにまさかの宣戦布告。「お前らにはビタ一文払わない。絶対にだ!」 誘拐事件において一番大事なのは、被害者の生命と安全。
だからこそ、要求された身代金を用意することも1つの選択肢だが、犯人がカネを奪って人質を殺してしまう可能性も捨てきれない。そこで社長は「お前らに200万ドル渡すくらいなら、このカネを懸賞金にしてお前らを追い詰めてやる!」と宣言するのだ。
もちろんリスクは承知の上。かなりトリッキーなウルトラCだが、状況によっては型破りで大胆なアプローチも必要。あとは的確な判断力と度胸が必要だと、ワイルド社長メル・ギブソンが教えてくれます!
『ダイ・ハード』
製作年/1988年 監督/ジョン・マクティアナン 出演/ブルース・ウィリス、アラン・リックマン
不審な点があったら、まず疑うことが大事!
『ダイ・ハード』といえば、世界一運の悪い刑事ジョン・マクレーンが高層ビルでテロ集団と戦うハメになる傑作アクション。意外に忘れがちなのが、この映画が人質奪還ミッションを描いていること。犯人グループは日系企業が所有するナカトミビルを乗っ取って、ビル内にいた社員たちを人質にするのだ。
ところが犯人グループが巧妙にカムフラージュするせいで、なかなか人質事件であることが世間や警察に知られないのが本作のミソ。たまたまビル内にいたマクレーンは、必死に警察へ連絡を取ろうとするのだが、なかなか信じてもらえない。こんな状況もあるんだと肝に銘じておきたいシーンだ。
マクレーンが居合わせていてくれたおかげで事件解決に至ったが、そんな都合のいいことばかりではない。我々にできるのは、不審なことを見つけたら決してスルーしないこと。ちょっとした注意力で、人質を救えるかも知れないのだから。ちなみに、ビルのガードマンがいつもの人と違う場合は、要注意だ!
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