画像は2020年東京五輪時のもの
今年から巨人に移籍した田中将大はやはり注目だろう。日米通算197勝の右腕は、楽天で200勝を達成することができなかった。ニューヨーク・ヤンキースから楽天に移籍した2021年、この時点で200勝まであと23勝だった。彼のこれまでの実績からすれば、残り3~4年あれば十分達成できるだろうとさえ考えられていた。ところが実際は見立て通りにはうまくいかなかった。21年は4勝(9敗)、22年は9勝(12敗)、23年は7勝(11敗)と、いずれのシーズンも負け越し、24年に至っては右肘の手術明けということもあってわずか1試合に登板しただけの0勝に終わった。
オフに楽天と契約合意に至らず、拾われる形で巨人への移籍となったが、春季キャンプ中からしきりに「今年の田中はやりそうですか?」という質問を、あちこちから盛んに受けた。楽天時代の晩年はなんやかんや言われたが、今の日本のプロ野球界の投手の中では、トップの成績を誇る投手だ。みんなが気になる選手であることは間違いない。そこで私は、田中について聞かれたときには、次のように答えた。
「まあ3つは勝つでしょう」
つまり、「200勝は達成できる」と考えているわけだ。これはなにも当てずっぽうで言っているわけではない。きちんとした根拠があってのことだ。
巨人は中日から抑えのライデル・マルティネスを獲得し、6回以降の必勝パターンを盤石なものとした。田中が5回を2、3失点以内にまとめてくれれば、あとは打線との兼ね合い次第だが、勝機が出ると考えてみたっておかしくはない。
それに巨人の首脳陣とて、田中に対して2013年のときのような、24勝0敗という圧倒的な数字を残してくれるとは考えてはいないだろうし、そもそもシーズンを通してローテーションで活躍してもらおうとは考えてはいるまい。シーズンの要所要所できちんと休養を与え、勝負どころの夏場以降に活躍してもらえれば十分──。そう判断していてもおかしくはない。
ましてや24年の菅野智之(現ボルチモア・オリオールズ)のように、15勝3敗の成績を期待するファンも一部にはいるようだが、私はそんな甘いものではないと思う。前年は1年間、二軍暮らしが続いて本調子とはほど遠い状態であったこと、新天地のセ・リーグの打者に慣れるまで多少の時間を要することを考えれば、メリハリをつけた登板回数となることが予想される。
それでも3勝、つまり200勝には到達できるだろうというのが、私の考えだ。
何度も言うが、5回までを投げ切れば、あとは12球団屈指のリリーフ陣に任せればいい。7回や8回まで投げなくていいことを考えれば、決して高いハードルではない。
ただし、それ以上となると分からない。2ケタ勝つかもしれないし、7、8勝までの数字で終わるかもしれない。それも含めて、今年の田中がどこまで勝つのか、長いシーズンのピッチングに注目したいところだ。
続きはこちらで!
【2025年4月24日発売】江本孟紀著『昭和な野球がオモロい!』(日之出出版/1760円)
※この記事は『昭和な野球がオモロい!』から一部抜粋して構成しております。