『グリーンブック』が教える“男の友情”の築き方とは?
今年のアカデミー賞で作品賞に輝き、今、世界中で話題なだけに社会論争まで繰り広げている映画が『グリーンブック』。1本でこれだけ笑って、感動して、最後は心から幸せな気分になれる映画も珍しい。アカデミー賞映画と聞くと、ちょっと堅苦しいイメージも与えるが、これは特別。エンタメ作品として、どんな観客も素直に楽しませてくれる。
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ムネアツなポイントは?
"粗野だけどチャーミングなトニーの男っぷりに惚れる!"
このお話、簡単にいうとすべて真逆な男2人のロードムービーだ。ホワイトハウスでも演奏したことのある天才黒人ピアニストのドクター・シャーリー。育ちもよく上品で、博士の称号も持つ独身のインテリだ。そんな彼が差別の残る米南部のコンサートツアーに出発。その運転手に雇ったのが、イタリア系でとにかくケンカっ早いトニー・リップだ。やんちゃで悪さもするが、家族思いで人情深い。価値観も性格も、生き方もまるで違う2人が心を通わせる物語。
そう、本作で重要なのが“まるで違う”ということ。“まるで違う”からこそ、互いに反発と理解を繰り返し、友情を深めていくわけ。旅の中で繰り広げられる彼らの行動は、友情を築くよいお手本になるはず。そして、行く先々でのトラブルがいちいちユニーク。それに対するトニーの切り返し方が絶妙でなんとも痛快な気分に。粗野で強面のトニーが次第にチャーミングに思え、男ならこんな親友がほしいと願うはずだ。そこにドクターが演奏するピアノも重なるものだから、観ていて心地いいったらありゃしない!
2人を演じるヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリも完璧で、そのやりとりが最大限に発揮されるフライドチキンのシーンに、爆笑しない人はいないはず。マハーシャラ・アリは本作で2度めとなるアカデミー賞助演男優賞を獲得。脂の乗った彼の演技に魅了されるに違いない。監督は、あのシモネタ全開のオバカラブコメ『メリーに首ったけ』で知られるピーター・ファレリーなのだが、今回は暴走ギャグは控えめ。むしろ安定のコメディセンスで万人ウケ必至。人種差別をテーマにしつつ、ここまで軽やかな名作は過去にはなかったかも!? ちなみに本作は実話がベース。タイトルにある“グリーンブック”は、かつて米国で出版されていた黒人が利用可能な施設を記した旅行ガイドブックのことだ。
『グリーンブック』
製作・監督/ピーター・ファレリー 出演/ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリニ 配給/ギャガ
2018年/アメリカ/上映時間130分
3月1日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー。
©2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
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