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2026.08.04 NEW


“速さ”の記憶をどう今のスタイルに変える? 【チーム イクザワ】生沢舞が語るレーシングカルチャーと腕時計の新しい関係



日本のモータースポーツ黎明期を代表するレーシングドライバー、生沢徹が設立した〈チーム イクザワ〉。そのレガシーを受け継ぎながら、現在のファッション、アート、ライフスタイルの文脈へと広げているのが、チームプリンシパル兼クリエイティブディレクターを務める生沢舞だ。

2023年に実現した初コラボレーションに続き、〈タグ・ホイヤー〉は〈チーム イクザワ〉、そして〈バンフォード ウォッチ デパートメント〉と再びタッグを組み、150本限定の新作『タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × チーム イクザワ』を発表。〈タグ・ホイヤー〉のレーシングヘリテージと日本のモータースポーツが持つビジュアルコードを、現代的なクロノグラフへと落とし込んだ特別な1本だ。

生沢舞と〈タグ・ホイヤー〉CMOのジョージ・シズに、今回のコラボレーションに込めた思いを聞いた。



Q.今回のコラボレーションは、どのように始まったのでしょうか?

シズ:今作は“バージョン2.0”のような存在です。最初のコラボレーションでは、私たち全員が時計作りを楽しみましたし、モータースポーツやカルチャー、パフォーマンス、ヘリテージといった領域を自然につなぐ美しいストーリーも描くことができました。実際に第1弾モデルは大きな成功を収めることになり、私たちの中には「ぜひ次もやろう」という思いがありました。

生沢:このようなコラボレーションは、とても光栄でした。〈タグ・ホイヤー〉のような巨大なグローバルブランドが、〈チーム イクザワ〉のような小さなブランドを見つけ、協業してくださったことは、すごく勇気のあることだったと思います。

私たちは国際的な大ブランドではありませんが、独自の視点や専門性、デザインの感覚、そしてオーディエンスがあります。そうしたものをプロジェクトに持ち込めたことが、前回の説得力ある結果にもつながったのだと思います。

Q.〈タグ・ホイヤー〉にとって、〈チーム イクザワ〉のどのような部分が魅力だったのでしょう?

シズ:〈チーム イクザワ〉は、ニッチでありながら、そこには非常に強いオーセンティシティがあります。ヘリテージ、パフォーマンス、モータースポーツ、そしてそれを取り巻くカルチャー。そのすべてが交差する場所にいるブランドなんです。

さらに魅力的なのは、単に時計やクルマが好きな消費者だけではなく、カルチャーを牽引するような人々が〈チーム イクザワ〉の周りにいることです。〈タグ・ホイヤー〉としても、そうした人々とつながることには大きな意味があります。

それに、日本は私たちにとって非常に重要な市場です。日本で語るべき本物のストーリーを探していたという意味でも、〈チーム イクザワ〉との協業はとても自然なものでした。



Q.第1弾と比べて、今回のモデルでは何を進化させたかったのでしょう?

生沢:とても難しいことでした。1作目には私たちのすべてを注ぎ込みましたから、それを超えるものでなければ、やるべきではないと思ったからです。

第1弾は、父の歴史や〈チーム イクザワ〉のヘリテージが色濃く反映されたモデルでしたが、今回の第2弾はさらに一歩進めて、新しい世代の〈チーム イクザワ〉を表現したかったんです。そこで大きなインスピレーションになったのが、歴史的な〈ホイヤー ロードマスター ストップウォッチ〉です。昔のモータースポーツでは、ストップウォッチはドライバーやチームにとって欠かせない道具でしたし、そこにはただ時間を測るだけではない、レースの緊張感や集中力が宿っています。タイポグラフィや数字の見せ方、アイコンの使い方がとてもグラフィカルで、見た瞬間に強く惹かれました。

ただし、私たちが作りたかったのは、当時をそのまま再現した時計ではありません。70年代、80年代のグラフィックの魅力をベースにしながら、それを現代の人たちにも魅力的に感じてもらえるものへと変換したかったんです。

シズ:1970年代にはフェラーリとのパートナーシップもありましたし、〈タグ・ホイヤー〉にとっても、その時代はとても豊かなヘリテージを持っています。そうしたヴィンテージに着想を得た要素を、2023年のカレラ60周年で再解釈したグラスボックスの現代的なケースに組み合わせたことが、この時計の面白さだと思います。過去を見つめながら、しっかり今の時計になっているんです。

Q.赤と白のカラーリングをはじめ、〈チーム イクザワ〉らしさはどのように表現されていますか?

生沢:〈チーム イクザワ〉のDNAで大切なのは、本物であること。その原点には、たくさんの要素を盛り込むのではなく、“less is more”の考え方があります。

ただし、削ぎ落とすことは、ディテールをなくすことではありません。むしろ、ディテールこそがラグジュアリーにつながると思っています。今回の時計も、見た目はミニマルでも、細部にはとても多くのこだわりがあります。

私は日本で生まれ、イギリスで育ちました。日本的な抑制や規律のあるデザイン感覚に、英国的なユーモアや遊び心が加わっています。





Q.今作は替えベルトも用意され、多彩なスタイリングを可能にしています。この時計は、どのような人に着けてほしいですか?

生沢:特定の人物像は思い描いていません。現代人は本当にいろいろな役割を持っていると思うんです。私自身も、起業家であり、CEOであり、クリエイティブディレクターであり、スポーツ好きで、母でもあります。だから、アクティブで、いくつもの顔を持つ人にもぜひ着けてほしいと思っています。

シズ:最高のプロダクトは、作り手自身が欲しいと思えるものから生まれると思っています。舞さんには、この時計を本当にユニセックスなものにする力がありました。39mmのカレラ グラスボックスは、男性にも女性にも愛されているサイズです。この時計も100%ユニセックスなモデルだと思います。

Q.『Safari Online』読者のような“大人のライフスタイル”に関心を持つ人に、この時計の魅力をどう伝えたいですか?

生沢:この時計には、レースの歴史だけでなく、ファッションやデザイン、カルチャーとしてのモータースポーツが込められています。サーキットの中だけ完結せず、日常のスタイルの中でも楽しめるものにしたかったんです。

レーシンググローブに合わせてもいいし、Tシャツとジーンズに合わせてもいい。時計は、その人のスタイルや生き方と一緒にあるものだと思います。だからこそ、背景にある物語を感じながら、自分らしく着けてもらえたら嬉しいです。


ケース径39㎜、自動巻き、SSケース&ブレス、100m防水。世界150本限定。151万8000円(タグ・ホイヤー/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー)

『タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × チーム イクザワ』は、ホワイトを基調としたダイヤルにクル・ド・パリ装飾を施し、ブラックのフランジにホワイトのミニッツトラックを採用。あえてインデックスをプリントで表現したことで、ヴィンテージのストップウォッチを思わせるグラフィカルな表情が際立たせた。さらに、時・分針、センタークロノグラフ秒針、日付ディスクの数字には赤を効かせ、〈チーム イクザワ〉らしいレーシングカラーを主張。6時位置には“Team Ikuzawa”のロゴを配置する。これはスモールセコンドを省いた自社製クロノグラフキャリバーTH20-10によって実現したもので、1960~70年代にレーシングチームやスポンサーのロゴをダイヤル上に配したクロノグラフへのオマージュにもなっている。

ストラップは標準の7連ステンレススティールブレスレットに加え、クラシックなレーシンググローブから着想を得たパンチング加工ホワイトレザーストラップ、さらにレッドストライプ入りのホワイトテキスタイルストラップを用意。スタイルに合わせて印象を変えられる。



サーキットの整備工場やピットガレージにある工具箱を思わせる専用ボックスも付属し、時計本体、2本の交換用ストラップ、トラベルポーチ、〈チーム イクザワ〉のカスタムチャームが収められる。

レーシングヘリテージを持ちながら、今の大人の装いにも自然に馴染む。そんな1本が、時計とクルマ、そしてスタイルを愛する人の腕元に、新しい熱をもたらしてくれるはずだ。

 
Information

●LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー
TEL:03-5635-7030

取材・文=横山博之 text:Hiroyuki Yokoyama
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