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CULTURE カルチャー

2018.04.05


『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』/『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』

物語で選ぶ編
ムネアツなポイントは? “豪快でマイペースなチャーチルに共感‼”
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

第2次世界大戦時の英国首相で、葉巻を手にした姿やVサインがトレードマークのウィンストン・チャーチル。これまでも『英国王のスピーチ』など数々の映画に登場していたけど、ここまで正面から本人にフォーカスし、彼が戦況を変える決断をした瞬間を克明に描いた作品ははじめてだろう。歴史のターニングポイントの裏で、一国のリーダーがどう動くべきか。現代にも通じるテーマが貫かれた一作だ!



昨年日本でもヒットし、本作と同じくアカデミー賞作品賞にもノミネートされた『ダンケルク』。これを観た人なら、フランスの港町ダンケルクへのドイツ軍の侵攻に対し、チャーチルがどう対処しようとしたかを知るうえでも必見! その場しのぎの判断ではなく、冷静かつ大局的な視点がリーダーには必要だと本作は教えてくれる。



強く印象に残るのは、チャーチルがロンドンの地下鉄に乗りこむシーン。これは事実の再現かどうかはわからない。しかし、地下鉄での一般市民との会話によって、チャーチルが自身の決意を確信するというのは、映画ならではの絶妙な演出だ。このシーンを含め、チャーチルの人間くささは全編に充満していて、朝から酒を飲み、風呂場で大切なミーティングをするなど、豪快なマイペースぶりに共感せずにはいられない。偉人としてだけでなく、隣にいそうなオジさんという存在として描くからこそ、終盤がエモーショナルな展開になってくる。彼を支える女性たち、特に秘書の視点も効果的だったりして、観客を飽きさせない演出が冴えている。



最大の見どころは、アカデミー賞を受賞した2部門の仕事だろう。主演男優賞受賞のゲイリー・オールドマンは、首相としての頼もしさや、憎々しさ、素直さ、狡猾さなど何層もの側面を巧みに演じたうえ、われわれ観客をも圧倒するスピーチを披露する。とはいえ、予備知識ゼロでこの映画を観たとき、チャーチル役がゲイリー・オールドマンだと気づかないかもしれない。

外見で彼だと判別できるのは“目”くらいで、チャーチルそのものを変身させた特殊メイクの最高テクニックには驚くばかり。表情に応じて繊細に動く顔の筋肉。血管の位置までも計算した皮膚の色。あごのたるみ具合や、1本1本の皺まで、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した辻一弘の仕事に感動してしまう。「メイクをしていると感じさせないのが、最高のメイクの仕事」といわれる特殊メイク。その究極の世界を、本作はあからさまにではなく、あくまでも映画の一部として届けてくれる。



●『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

監督/ジョー・ライト 出演/ゲイリー・オールドマン、クリスティン・スコット・トーマス、リリー・ジェームズ 配給/ビターズ・エンド/パルコ
2017年/イギリス/125分

TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー中

© 2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
 


セレブで選ぶ編
ムネアツなポイントは? “女子高生なジャック・ブラックに脱帽!”
『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』



この映画の主人公はドウェイン・ジョンソン。『ワイルド・スピード』をはじめ、シリーズ映画に再び活気と興収をもたらす男として重宝され、22年ぶりの続編となった本作でも見応えあるアクションを披露している。しかし、彼以上に印象に残り、観る者の心に笑いと感動を巻き起こしてくれるのがジャック・ブラックだ。



ゲームオタクの高校生スペンサーほか3人は、学校の地下倉庫を片付けている最中に古臭いテレビゲーム“ジュマンジ”を見つける。さっそく遊びはじめる彼らだったが、突如、不思議な力によってゲームの世界へと吸いこまれてしまう。そこではそれぞれが選んだキャラへと変貌していて、ゲームの案内人から否応なしにゴールを目指すように告げられる……。



ジャック・ブラックはゲーム内のキャラ、オベロン教授役なのだが、それを選んだのがインスタ映えばかりを気にするイマドキの女子高生。うぬぼれの美人がヒゲ面の中年デブに変わるというギャップを笑う、いわゆる出落ちネタなわけだが、ジャック・ブラックの演技力が深みを持たせるためそこで終わらず、終盤にかけては彼(彼女?)から目が離せなくなってくるのだ。



細かい仕草が得意なあまり、ときとしてそれが過剰演技だといわれるジャック・ブラック。しかし今回の“心は女子高生”は当りを得た役どころ。劇中、ある人物に惹かれていくのだが、その心の機微などは、もはや10代の女子そのもの! 中年オヤジのトキメキ演技など気持ち悪い以外のなにものでもないけれど、観る者は恋する女子高生として認識しているから、次第に心動かされてくる。自らのライフを投げうつシーンでは、ムネアツ必至の感動が打ち寄せてくる!



テレビゲームのあるあるを反映した設定や、『ジュマンジ』らしく暴れまくる猛獣たち、ジャック・ブラックに負けじとコメディ演技に挑むキャスト陣と、見どころとなる要素それぞれが実にパワフル。全米で大ヒットの前評判を、まゆつばモノと見る向きもあるが、いまや全世界興収は9億ドル超え。この記録が面白さを保証していることは間違いない。



●『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』
監督/ジェイク・カスダン 出演/ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、カレン・ギラン 配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2017年/アメリカ/上映時間119分

4月6日より、TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー

 
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