旬の食材にこだわった隠れ家的ファインダイニング〈銀座ちとせ〉が話題!
銀座にまた新鋭のイノベーティブな日本料理店が登場した。2024年12月10日にオープンした〈銀座ちとせ〉は、拓久馬(たくま)さんがオーナーシェフを務める。島根県出身で、イタリアンから始まり、5年ほど出張料理人も経験。鮨とお酒のマリアージュに定評のある〈スシエム(鮨m)〉」でも研鑽を積み、満を持してのれんを掲げた。
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- アレが食べたいからこの店へ! vol.67〈銀座ちとせ〉
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そんな拓久馬さんの料理を堪能できるのが、“銀座ちとせ シーズナルフルコース”(1万4300円)。9品の構成になっていて、季節によって少しずつ入れ替わる。“トマトのさっぱりカレー”
珠玉のメニューの中でも好評を博し、定番となっているのが、“トマトのさっぱりカレー”。鶏の出汁、野菜やフルーツ、香辛料を用いて24時間煮込まれたカレーで、トマトの酸味が生かされている。スパイシーで奥深い味わいで、後からじんわりと佳味が広がっていく。秋田の“コシヒカリ”は大粒で食味に優れていて、カレーにもよく馴染む。
“甘エビとコールラビのタルタル 宮崎県産 国産キャビア”
最初のアミューズは2品仕立て。“甘エビとコールラビのタルタル 宮崎県産 国産キャビア”は、しょうゆ漬けした日本のクラフトキャビア“宮崎キャビア1983 UMAMI”と、とろっとした甘エビの見事なコンビネーション。自家製あん肝を最中で挟んだのが“あん肝と奈良漬のモナカ”。濃厚な味わいで、奈良漬のアクセントがクセになる。
“熟成鰤 ビタミン大根のセビーチェ 鰤のカラスミと熟成ニンニク”
“熟成鰤 ビタミン大根のセビーチェ 鰤のカラスミと熟成ニンニク”は、鰤の至味が強調された冷前菜。桜のチップで瞬間燻製して、鰤のカラスミを削ってから提供される。燻香とカラスミでパンチがあって、黒ニンニクも味わい深い。
“甘エビのビスク 白味噌仕立て 寒締めほうれん草とブリオッシュのトースト”
アミューズで提供された甘エビの頭を用いたサステナブルなスープが、“甘エビのビスク 白味噌仕立て 寒締めほうれん草とブリオッシュのトースト”。海老が強すぎないようにしながらも、白味噌で味を調えた。自家製のブリオッシュはリッチな食味で、そのまま食べても、ビスクに浸して食べても美味しい。
“金目鯛 鱗焼き 雪国舞茸のソテー 金目鯛のコンソメのマリアージュ”
“金目鯛 鱗焼き 雪国舞茸のソテー 金目鯛のコンソメのマリアージュ”は、鱗焼きにした香ばしい金目鯛と、そのアラでとったコンソメをワイングラスでいただける一品。新潟県の“雪国まいたけ”の滋味や木の芽のさわやかな息吹が感じられて、バランスがいい。
“鰻のポワレ 赤ワインソース 神奈川県産 天然黒トリュフ”
意欲的な魚料理に仕上がっているのが、“鰻のポワレ 赤ワインソース 神奈川県産 天然黒トリュフ”。蒸してから焼いた“ポワレ風”の調理で、愛知県三河産の鰻をふっくらながらもカリっとした火入れに。真紅の赤ワインソースは軽やかな上味で、最後に削った黒トリュフの幽香と重なって、味わいがふくらむ。
“島根県 鹿ウチモモのロースト フォンドジビエと赤味噌のソース”
“島根県 鹿ウチモモのロースト フォンドジビエと赤味噌のソース”は、拓久馬さんの地元である島根県の鹿肉を用いたメインディッシュ。ウチモモ肉なので赤身の味わいが濃く、繊細にローストして艶やかなロゼ色に。そのままでもジューシーで美味しいが、赤味噌ソースと合わせて、塩味と風味を底上げしてもいい。
“自家製ミルクアイス”
最後に口中をさっぱりさせてくれるのが“自家製ミルクアイス”。福岡県うきは市にある松野牧場のミルクでつくられていて、実に濃密。下に敷かれたクランブルは塩味とサクサク感が印象的で、上にのせられた可愛らしい枝状のクッキーがチャーミング。
お酒は日本酒や焼酎も用意されているけれど、ブルゴーニュや日本を中心としたワインが充実している。ブルゴーニュや日本を中心としたワインが充実
“ピエール・ジモネ キュイ・プルミエ・クリュ ブリュット ブラン・ド・ブラン”(2200円/グラス)は、シャルドネらしいフレッシュさとミネラル感が魅力のシャンパーニュ。リンゴや洋梨の豊かなアロマが感じられて、とってもフレッシュ。
“日本のロマネ・コンティ”とも称されるテロワールを堪能できるのが、“シャトー勝沼 鳥居平今村 ヴィンテージ・コレクション キュヴェ・ユカ・ブラン 2004”(2500円/グラス、1万5000円/ボトル)ミネラル感に優れていて、野菜や魚にぴったりと寄り添う。
“ルイ・ジャド ペルナン・ヴェルジュレス クロ・ド・ラ・クロワ・ド・ピエール プルミエ・クリュ 2019”(1万5000円/ボトル)はメインディッシュにマリアージュする一本。果実香が白眉で、しなやかなタンニンが鹿肉のポテンシャルをさらに引き出す。
上質で落ち着いた大人の隠れ家のような店内
店内は地階ながらも広々とした空間で、カウンター7席に、8席までのテーブルもある。居抜きを改装した造りで、スタイリッシュで上質な銀座らしい割烹というムードをまとう。
外堀通り沿いに面していながらも、喧騒とは無縁の落ち着いた空間がいい。人気になりそうな隠れ家的なファインダイニングとして覚えておいて!
●銀座ちとせ
住所:東京都中央区銀座8-4-24 銀座藤井ビルB1
営業時間:17:00~23:00
定休日:土・日・祝日
TEL:03-6681-2588
URL:https://www.instagram.com/ginza_chitose
※サービス料別
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。