“カワイイ”大事件! 〈フィアット〉600ハイブリッド
昨今、シャープでドライなカーデザインが大半を占める中、おそらく読者諸兄の中には少なからず“カワイイ顔好き勢”もおられよう。しかし、ここにこそ大きな課題が横たわっているのを、筆者は知っている。「最近、トレンドを押さえつつイイ感じのデザインのクルマって、大体が電気自動車なんだよなぁ」。そう、グリルレスのスッキリしたフロントに凝ったホイール、LEDで多彩な表情を持たされた瞳など、新しい時代の新しいパワーユニットだからこそ挑戦できるデザイン要素のほとんどが、BEV専用であることが多いと思いませんか。ああこのルックスが、エンジン車にも載っかっていたら……! 住宅事情などで愛車をEV化することに二の足を踏む、カワイイクルマ擁護派の皆々様へ。やっぱり〈フィアット〉がやってくれました。600(セイチェント)ハイブリッドだ。
- SERIES:
- 話題のクルマを品定め!
- TAGS:
- 話題のクルマを品定め! Cars
そもそも昨年、日本でも先に登場したのが、まさにこのBEV版である600e。500の要素を色濃く受け継ぐ丸目×丸ボディに18インチの凝ったホイール、そしてこちらもこのシリーズらしいポップなボディカラーの数々。まさに〈フィアット〉にしかできない、アイコニックなモチーフの数々に思わずニンマリしてしまったくらいだ。そして今年5月に追加されたのが、今回ご紹介する600ハイブリッドなのだ。
パワーユニットは〈フィアット〉も傘下に収める親会社、ステランティスの他ブランドでも横軸展開されていくマイルドハイブリッド。ステランティスとしては(なぜか)ハイブリッドと表記はされているものの、48Vバッテリーを搭載する、正真正銘のマイルドハイブリッドだ。ただ、低速までではあるがモーター走行も叶えているし、燃費はストロングハイブリッドに迫る23.3km/ℓということもあって、確かに実力は“マイルド”と呼ぶにふさわしくない。すでに〈シトロエン〉C4でも採用されていて、信頼性も◎だ。
個人的にはややユルいステアリングとまったりしたサスペンションの揺れに、近年産〈フィアット〉のなんともいえない癒しキャラを感じてしまったが、ここは逆に利点と取るユーザーも存在しそう。より運動性能を求めるなら、実はC4のほうが反応はいいかもだから、そこは是非ディーラー試乗で。さておき、デザインの話をしよう。サイズ的には500よりもずいぶんと大きくて、リアシートの居住性も悪くない。5ドア・ハッチだから、家族でのお出かけにもバッチリだ。で、このキュートさである。さらにBEV/ハイブリッドのデザインの相違点はリアに付けられたエンブレムだけ、というのもめちゃくちゃ嬉しい……!
特筆すべきはインテリアで、FIATロゴをステッチに取り入れ、明るい色のシートを使った、なんともハッピーな居住空間はまさに全振りで「か、かわいい……!」。もうこの原稿だけで何回言ったかわからないカワイイが、ふんだんに散りばめられているから仕方ない。さらに〈フィアット〉の巧さは、ラブリーがファンシーに傾かない、絶妙のクールさにもある。
そして2025年5月1日から、ステランティスはほぼ全てのモデルで20万円程度の値下げを敢行。この600ハイブリッドも先着600台は特別価格で399万円! 値段までカワイイなんて、もうすでに事件です。
★DATA 〈フィアット〉600ハイブリッド La Prima
●全長×全幅×全高:4200×1780×1595㎜
●車両重量:1330kg
●ホイールベース:2560㎜
●エンジン:直列3気筒DOHCターボチャージャー付き
●エンジン最高出力:100kW(136PS)/5500rpm
●エンジン最大トルク:230N・m/1750rpm
●フロントモーター最高出力:16kW/4264rpm
●フロントモーター最大トルク:51N・m/750~2499rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:前輪駆動
●税込み価格:419万円
※先着600台限定特別価格は399万円