記念日に訪れるなら、その日の旬材を存分に味わえる麻布十番のモダンフレンチ!
麻布十番はおしゃれなレストランの宝庫で、グルメシーンを牽引する美食スポット。フランス料理店もたくさんあるけれど、2025年4月25日(金)にオープンしたモダンフレンチに熱い視線が注がれている。
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左:ソムリエの杉本康隆さん 右:オーナーシェフの赤坂洋介さん
〈ラ メゾン コンフォターブル(La Maison Confortable)〉のオーナーシェフを務めるのは赤坂洋介さん。惜しまれつつも2025年1月にクローズした〈ピエール・ガニェール〉でエグゼクティブシェフの重責を担い、ミシュランガイドで二つ星に輝いてきた。ガニェールさんから厚い信頼を寄せられている赤坂さんが、これまでには“やりたくてもできなかった料理”を提供しているとあって、“美食界隈”で話題を席巻している。
白と大理石を基調とした店内
店内は白と大理石を基調とした、エレガントで無駄がないリラックスできる空間。メインダイニング11席と4mの趣あるトチノキの木製カウンター3席に加えて、4人までの個室が完備されている。
ランチとディナーに提供されているのは、おまかせコースのみ。料理、デセール、食後の飲み物とミニャルディーズ=小菓子といった構成で、コースによって皿数が異なる。赤坂さんのクリエーションを存分に堪能したいのなら、ディナーの“ラ メゾン コンフォターブル”(2万7500円)で決まり! 季節でコースが新しくなり、その日の旬材を用いた最高の料理が紡がれる。
“針魚|白アスパラガス|馬肉|ラパン|タスマニアサーモン”
最初は5品が盛り合わせとなる“針魚|白アスパラガス|馬肉|ラパン|タスマニアサーモン”。ここから始まる“美食の旅”の壮大さを想起させる大皿でのプレゼンテーション。どれもシャンパーニュと相性抜群になっている。
スプーンの上には一口サイズの豊後水道のサヨリ。塩でマリネして皮を炙り、ふくいくたる香りが漂う。その上にはカブのスライス、カンパリビネガー、日向夏のアクセント。
青森県の馬肉はタルタルにして、焦がし玉ネギとポーチドエッグとともに。混ぜて食すと、卵黄のおかげでコクが深くなり、口の中は馬肉の上味と焦がし玉ネギの香りに満たされる。あしらわれたロックチャイブの葉先の黒が魅惑的。
グラスの器に満たされているのは、オマールブルーのジュレ、北海道の白アスパラガスのムース、名残の富山県の蛍烏賊。最初は軽やかな展開だが、蛍烏賊が現れると塩気が強まってメリハリのある展開となる。マングローブの幹の上には、ラパン=家ウサギのリエットを挟んださっくりとしたトースト。蕎麦のガレットには、脂が乗ったタスマニアサーモンと、小気味いいいぶりがっこが包まれている。
パンは、パン・ド・カンパーニュとレモンパンの2種類。後者は自家製で、ブリオッシュのようにふくよかな食味で、乾燥させたレモンのピールが出色のアクセントになっている。
“毛蟹|ウイキョウ|マンゴー|雲丹”
“毛蟹|ウイキョウ|マンゴー|雲丹”は、ほぐした毛蟹の身と雲丹、フレッシュマンゴーとライム、枝豆とウイキョウやアマランサスと、さまざまな要素を取り合わせた意欲的な一皿。それぞれの旨味と酸味が心地よく調和し、この後に続く旅への期待感がさらに高められる。
“アカザエビ|牛タン|ビーツ”
異色の組み合わせが、スライスした牛のタン元の上にラングスティーヌ(アカザエビ)を乗せた、“アカザエビ|牛タン|ビーツ”。やわらかでゼラチン質のタン元が、滋味と弾力のあるラングスティーヌとよいコントラストを生み出す。薄くスライスしたグリーンアスパラガスとラディッシュがあしらわれ、ニンニクバターとビーツのソースが添えられる。フランス・リモージュ磁器の“ジャック・ペルゲイ”が、ラングスティーヌの曲線を間雅に映す。
“石黒農場のホロホロ鳥|ミモレット”
“石黒農場のホロホロ鳥|ミモレット”は、とっても上質な“サーフ&ターフ”。軽くグリルしたミキュイ状の帆立貝の上には削ったミモレットがあり、乾燥させたサラダ菜が寄せられている。その奥には、皮目をパリッと焼いた主役のホロホロ鳥。クリーム、白バルサミコ酢、ノイリープラットを用いた酸味のあるフリカッセソースが合わせられ、しのばされたモリーユ茸が美味を極める。
“羽太|ズッキーニ|豚耳”
魚料理は“羽太|ズッキーニ|豚耳”。食味に優れたマハタを丁寧にポワレし、みずみずしさが味わえる。豚耳のチョリソのアクセントがあり、2色のズッキーニのパスタも軽快。南仏風をイメージしたグリーンオリーブ、アンチョビ、トマトのソースはワインとの相性がよくて乙な味わい。
乳飲み仔羊を焼く様子
“乳飲み仔羊|クスクス”
メインディッシュの“乳飲み仔羊|クスクス”は、慎ましやかな食味の仔羊を、旨味たっぷりのジュ・ド・アニョー=仔羊の出汁と赤パプリカの燻製のソースに合わせた。下にはクスクス、万願寺唐辛子、槍烏賊、黄韮があり、快味が散りばめられている。周りにはイカ墨を加えたジャガイモのピューレと赤パプリカの燻製パウダーが配されており、絵画のように美しい。
“カルナローリ熟成米|クレソン”
〈ピエール・ガニェール〉時代に密かに人気を博していたリゾットを定番化したのが、“カルナローリ熟成米|クレソン”。1年間熟成させたカルナローリ米は、コクがあって余韻の長い甘味が感じられる。クレソンのピューレは鮮やかな清香があり、北寄貝の磯の香りとの相性も素晴らしい。熱々の日比野陶器の器で提供され、状態も完璧。
“パイナップル|アロエ|きゅうり”
プレデセール=軽めのデザートは“パイナップル|アロエ|きゅうり”。パイナップルのグラニテ、アロエ、バニラのパンナコッタにキュウリと、甘味や香味は与えながらも、さっぱりとした絶妙なバランスになっている。
“グリーンピース|メロン”
“グリーンピース|メロン”は、グリーンピースのパルフェグラッセを中央に据え、ポルト酒でマリネした赤肉メロンを添えた。チョコレートのシュトロイゼル、グリーンピースのクルスティアンやピーテンドリル(スナップエンドウの新芽)もあり、多彩な要素。全体を通して鮮烈な青い味わいが堪能でき、口の中だけではなく、気持ちまでも爽やかにさせてくれる。
食後のドリンクは、〈マリアージュ・フレール〉の紅茶、〈オニバスコーヒー〉のコーヒー、ミントを中心としたハーブティーからチョイス。特にこだわっているのが、テイスティングも行った〈オニバスコーヒー〉。“シティーローストブレンド”は、ブラジルコーヒーの甘さにルワンダコーヒーの優しく芳醇な香りを加えたブレンドで、ミルクを入れると食味も香りもさらに花開く。“小菓子”
“小菓子”は、ほうじ茶クリームを包んだ求肥、アニス風味の枇杷、ラベンダー風味のタルトチーズケーキ、ジンジャーの風味のルビーグレープフルーツのコンフィと、最後までこだわっている。
珠玉のフレンチをより味わい深いものにするためにも、ワインを合わせたい。ソムリエを務めるのは、赤坂さんとともに〈ピエール・ガニェール〉で働いてきた杉本康隆さん。プレステージなワインを含めて250本ものワインがあり、ワインペアリングも秀逸。
“フィリポナ ロイヤル・レゼルヴ・ブリュット”は最初に喉を潤したいシャンパーニュ。ピノ・ノワールを主体とした、フレッシュさとふくよかさを両立させていて、アペリティフではもちろん、食中酒にもぴったり。ホロホロ鳥にも帆立貝にも合うのが、“M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン リュー・ディ・オングリ ビオ 2019”。フェンネルやアニスなどの甘い香りのハーブがあり、余韻も長い。“ドメーヌ・ゴビー コート・デュ・ルーション・ヴィラージュ ムンタダ 2009”は、肉料理にぴったりなプレステージな南仏の赤ワイン。驚くほどの強い味わいがありながらも、ボリューム感や凝縮感があり、仔羊の繊細さを鷹揚に受け止めてくれる。“ドメーヌ・クリステル・エ・ジル・ウィッキー マクヴァン・デュ・ジュラ”は、食後酒として飲みたいジュラ地方の甘口ワイン。ふくいくたる香りと口福を満たす味わいがあり、さわやかなデザートの甘味をよりエレガントに昇華させる。
フランス語で“快適な”を意味する“コンフォターブル(Confortable)”。創造的な料理を味わえることはもちろん、心から寛げる空間が紡がれている。大切なお祝いから普段使いまで幅広いシーンで利用できる、今年一番の新星フレンチになること間違いなし!
●ラ メゾン コンフォターブル
針魚|白アスパラガス|馬肉|ラパン|タスマニアサーモン
毛蟹|ウイキョウ|マンゴー|雲丹
アカザエビ|牛タン|ビーツ
石黒農場のホロホロ鳥|ミモレット
羽太|ズッキーニ|豚耳
乳飲み仔羊|クスクス
カルナローリ熟成米|クレソン
パイナップル|アロエ|きゅうり
グリーンピース|メロン
●ランチ
デジュネ 1万1000円(料理3皿+デセール+食後の飲み物・ミニャルディーズ)
プレジール 1万6500円(料理4皿+デセール+食後の飲み物・ミニャルディーズ)
●ディナー
デギュスタシオン 2万2000円(料理6皿+デセール2皿+食後の飲み物・ミニャルディーズ)
ラ メゾン コンフォターブル 2万7500円(料理7皿+デセール2皿+食後の飲み物・ミニャルディーズ)
■ワインペアリング
デジュネ 8800円
プレジール 1万1000円
デギュスタシオン 1万6500円
ラ メゾン コンフォターブル 1万9800円
●ラ メゾン コンフォターブル(La Maison Confortable)
住所:東京都港区麻布十番3-7-4 Coms Azabujuban4F
営業時間:火曜 18:00~22:00、水〜日曜 ランチ12:00〜15:00、ディナー18:00〜22:00
定休日:月曜・不定休
TEL:03-6809-4433
URL:https://maisonconfortable.jp/
※サービス料別
●グルメジャーナリスト 東龍さんの連載・記事はこちら!
アレが食べたいからこの店へ!
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。