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2026.02.19


これが最後! 〈アルピーヌ〉A110

「これが最後」。そう言われると、それまで悠長にかまえていた獲物の入手にしても、焦ってくるのは当然のこと。だってチャンスを逃したらもう2度と手に入ることはない(もしくはものすごく手の届かない存在になってしまう)かもしれないのだから! で、クルマ界では今まさに、そのスポットライトがとあるモデルに燦々と当たっている。〈アルピーヌ〉A110だ。

昨年11月に突然、アルピーヌ・ジャポンから発表されたのは「2026年3月にて、A110の日本国内での受注を終了する」というニュースだ。本国フランスでも2026年6月に生産が終了する、ということを受けてのことだが、受注がある限りはもしかして生産だけは細々と続けるかもしれないという一縷の望みは、これで完全に断たれたことになる。フランス人、一度決めたら頑固なところは“ソコじゃなくても……”な気がしてしまう。それくらいにA110の消滅はショックな出来事だと感じてしまうのだ。このA110の生産終了を以て〈アルピーヌ〉は完全にBEV専用ブラントとなる。ああ、繰り返すが今じゃなくても……。

いや、嘆いていても仕方ない。今ならまだ買える! だから前を向いてA110をレビューしたい。

そもそも、現行型のA110は2017年に市場に再登場したリバイバルモデルだ。しかし同時に、単なる過去の振り返りではない、全く新しいスポーツカーとして登場したともいえる。

※写真はA110ブルーアルピーヌ

※写真はA110 GTSブルーアルピーヌ

※写真はA110R70ブルーアルピーヌ

A110の名前自体は1970年代に使用されていたものだが、2019年に最新型としてその名が再び冠された現行型は、1.8ℓガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載する、後輪駆動の2シータースポーツカーとして登場した。以降、カーボンパーツを多用したウルティムや、空力パーツもりもりのGTなど、多彩なバリエーションをラインナップしてファンを魅了してきている。

今回、試乗モデルとして選んだのは、ブランドの70周年を記念して日本限定発売された“A110 アニバーサリー”。残念ながら完売しているそうだが、その名のとおりリアウイングも装着されておらず、カーボンパーツも軽量化もなされていない、全く“素”のもので、かえって希少なグレードとなっている。とはいえ現在はこの“素”ですら960万円と、かなり高額になってしまったA110だけど、モデル終焉のアナウンスからくる飢餓状態のため、争奪戦になっているのは皮肉な話だ。

実際にハンドルを握ってみれば、なるほどこれは唯一無二。1120㎏のおそろしい軽量ボディをミッドシップエンジンが軽快に蹴り出すのだが、ドカンと下からトルクが生まれる、というよりはフワンと知らぬ間に速度に乗っている、というような不思議な浮遊感だ。ハンドルはクイックなのに、サスペンションがとてもなめらかなので、どこかダルなような、なんだかワンテンポあとからリアがついてくるかのような、言うなれば“速遅い”的な、独特の攻略感があるのだ。反面、スポーツモードを発動すれば、アクセルへのプッシュのレスポンスはいきなりクイックになるので、急にガクッとトルクがかかるのもヤンチャなかんじで面白い。

※写真はともにA110ブルーアルピーヌ

また、見た目以上にヒップポイントは高く、ボンネットあたりの見通しは悪くないため、一般公道や駐車場での取り回しは意外なほどにいい。筆者はこのA110と最後のドライブを実に2週間近くにわたって楽しんだのだが、これはサーキットで楽しむというよりも、優れた街乗り、つまりGTカーなのかもな、ということを感じた。唯一の弱点はカップホルダーもドアポケットもない、スパルタンな室内空間に加えて、MRなのでトランクスペースもフランクスペースも極小なこと!

しかしこのマニアックないでたちで、降り立つたびに注目を集めることは間違いなし。最後の1台を是非手に入れてほしい。

気になるスペックは?

★DATA 〈アルピーヌ〉A110 ブルーアルピーヌ エディション(限定30台)
●全長×全幅×全高:4205×1800×1250㎜
●車両重量:1130㎏
●ホイールベース:2420㎜
●エンジン:1.8ℓ直列4気筒DOHCターボ
●最高出力:185kW(252PS)/6000rpm
●最大トルク:320N・m(32.6kgm)/2000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:後輪駆動
●税込み価格:999万円

 
Information

●アルピーヌ コール
TEL:0800-1238-110

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文=今井優杏 text:Yuki Imai
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