“逆輸入”された星つき割烹〈瑞兆〉で、日本の旬材を用いた革新的割烹料理を体験!
2020年に香港で誕生した割烹〈瑞兆(ずいちょう)〉は、厳選した食材を多様な調理法で仕上げ、日本の食文化を体現するレストランとして評価されている。オープンから1年を経ずに2021年の『ミシュランガイド 香港・マカオ』で1つ星を獲得し、それ以来、星を維持しているという名店だ。マカオとシンガポールにも出店して評判を確たるものにし、このたび2024年2月1日に、満を持して日本にも上陸した。
店の内外に見られる吉祥文様の“七宝つなぎ”
一枚板を用いた8席のメインカウンター
〈ザ・ペニンシュラ東京〉の4階に出店した割烹〈瑞兆〉は、日本の職人技が結集した美しい設えが特徴。店内入口のヒノキや杉で作られた組子、網代手法を用いて制作された天井、樹齢300年のヒノキを用いた6mもの一枚板カウンターなど、こだわりの造りとなっている。江戸小紋のひとつ“七宝つなぎ”をベースにした、波を想起させる銅のアートなど、数々の作品も展示されており、見どころが盛りだくさんだ!
料理長を務めるのは稲葉秀樹さん。日本で約30年にわたって研鑽を積んできたベテランで、幅広い料理を生み出すために必要な技と期待を上回る食の演出を探求してきた。稲葉さんが提供するのは、こだわりの“おまかせコース”のみ。どのコースでも、日本の旬材を使った革新的な割烹料理が体験できるのだが、最上級の“プレミアムおまかせコース”(4万1800円)はまさに別格だ! 料理内容は日本の旬の食材を味わってもらうため、約1カ月ごとに変更している。取材時の冬メニューの一部を紹介しよう。
“ふぐ焼霜 ふぐ皮 子持ち昆布 菜花”
最初に提供される先付けの“ふぐ焼霜 ふぐ皮 子持ち昆布 菜花”は、河豚の皮や子持ち昆布のシャキシャキっとした食感が小気味いい。河豚の上味や菜花の苦味が利いている。シャンパーニュはもちろんのこと、キレのある日本酒との相性も抜群だ。
“宮崎牛シャトーブリアン焼&カツ たらの芽天 木の芽塩”
次に提供されるのが、揚物の“宮崎牛シャトーブリアン焼&カツ たらの芽天 木の芽塩”。一般的な日本料理では、肉は後半に、揚げ物は中盤以降に提供されるのだが、最初のほうがお腹に余裕があること、シャンパーニュやビールなどの“泡モノ”と相性がよいことから、あえて序盤に提供している。和牛のオリンピックとも称される“和牛能力共進会”で4連覇を果たした宮崎牛のやわらか~なシャトーブリアンを、ジューシーさーをたたえたステーキと、サクサクっとして重厚なカツに仕上げた。旬の苦味を携えたタラの芽の天ぷらが配されており、メリハリがある。
“焼白子の半田素麺”
お椀の“焼白子の半田素麺”では、濃厚ながらもまろやかな白子に、太くて喉越しのよい半田素麺を合わせた。
“めじまぐろ 甘鯛昆布〆”
“安肝旨煮”
お造りは“めじまぐろ 甘鯛昆布〆”と“安肝旨煮”。前者は、あっさりとしていながらも旨味があるメジマグロと、昆布で〆ていて輪郭がはっきりとした食味の甘鯛。松笠にした甘鯛の唐揚げも添えられており、いい変化になっている。鮟肝はとてもクリーミーな食感で、日本酒にぴったり。
“キャビア まぐろ うに”
セルクル型を巧みに用いた押し寿司も印象的だ。“キャビア まぐろ うに”は、下層から順番に、酢飯、マグロ、雲丹、キャビアが重ねられており、トップには華やかな花穂紫蘇を飾る。エシャロットやミョウガの鮮やかな風味も出色だ。最初はキャビアの食味を損なわないシェルスプーンで食し、後半は香り高い海苔と一緒に合わせるといい。
“松葉蟹豆乳鍋 京揚げ わわさい つきこん 聖護院蕪”
“松葉蟹豆乳鍋 京揚げ わわさい つきこん 聖護院蕪”は、滋味に溢れた鍋物。豆乳鍋はクリーミーながらも軽やかな味わいで、松葉蟹のほぐし身が潮の上味を加えている。小さい白菜の“娃々菜(わわさい)”と聖護院蕪が実に甘く、京揚げとつきこんにゃくの弾力もいい。
“雲丹と本鮪たたき”
“雲丹と本鮪たたき”は鮨店のように手巻きを手渡しするスタイル。パリっと焼いた海苔に、たたいた本鮪を巻き、たっぷりの雲丹がトップにのせられる。鮪の旨味と雲丹の濃醇さが複雑に絡まりあって、多面的な味わいを醸し出す。
“常陸牛サーロイン治部煮風 低温調理卵”
メインディッシュの肉物は“常陸牛サーロイン治部煮風 低温調理卵”。片栗粉では重たいので軽めの小麦粉をまぶしてから、軽くしゃぶしゃぶして、濃厚な卵を添えた。サーロインが卵黄に出合うと、コクが深まって、旨味に奥行きが増す!
“鰤といくらの炊き込み御飯”
〆の食事は土鍋で炊いた“鰤といくらの炊き込み御飯”。脂がのった鰤に、プチプチッとしたイクラが惜しみなく加えられており、妙妙たる味わいに満たされている。最初にそのまま食し、2杯めは南部鉄器で注がれた出汁と一緒にお茶漬けスタイルで味わうのが、〈瑞兆〉スタイル。
“黒糖アイス白玉餅最中 フルーツ”
デザートの“黒糖アイス白玉餅最中 フルーツ”は、数々のミシュランガイド掲載店のカウンターを手掛けた富田文隆さんの、特注ガスコンロで作られた “アラミニッツ”な白玉のデザート。白玉は出来立てなので、やわらかくて甘味も風味も抜群だ。
プレミアムな料理に合わせて、お酒も特別感が満載。最初の1杯は、世界のペニンシュラでハウスシャンパーニュとなっている“ドゥーツ ブリュット クラシック”がおすすめ。シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエが同じ分量で配合されており、バランスのとれた味わいとなっている。
“和8 ゴールド”
“和8 ゴールド”と“和8 シルバー”は、山口県萩市にある澄川酒造場で醸造された、同店を運営する〈ワ クリエーションズ(Wa Creations)〉のグループ店でしか味わえないオリジナルの日本酒。前者は酒米のダイヤモンドと称される“愛山”を用いた精米歩合が28%の実に華やかな日本酒で、酒肴がなくてもお酒が進むほど。“山田錦”で仕上げた後者は優しい旨味を有するので、様々な料理にぴったり。
6席のプライベートダイニングカウンター。ほかに6名用テーブルの個室も1室あり
6名までの個室も完備されているから、小さい子どもがいたり、接待であったり、クローズドな接待であったりしても、快適に過ごすことができる。
“逆輸入”された星つき割烹〈瑞兆〉で、世界の食通をうならせた星つきの割烹料理を味わってみて!
●コース
プレミアムおまかせコース 4万1800円
おまかせコース 3万800円
テイスティング コース 2万2000円
※メニューは毎月新しくなる
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●〈ザ・ペニンシュラ東京〉割烹 瑞兆(ザ・ペニンシュラ東京店)
住所:東京都千代田区有楽町1-8-1 ザ・ペニンシュラ東京4F
営業時間:ランチ 12:00~14:00
ディナー 1部 18:00~20:00、2部 20:30~22:30(完全入替制)
定休日:第1・第3火曜、水曜
TEL:03-6270-2990(11:00~18:30)
URL:https://zuichotokyo.com/ja/
※サービス料込み
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。