特選和牛とお酒のペアリングにも満足できる!〈オークラ東京〉、〈山里〉で“割烹カウンター”体験!?
2019年に新生した〈オークラ東京(The Okura Tokyo)〉はフランス料理、日本料理、中国料理など多くの美食レストランを擁している。日本料理〈山里〉には国内外のVIPが訪れ、古くから愛用するゲストで賑わう。会席料理を楽しめるメインダイニング、鮨カウンターや天ぷらカウンター、割烹カウンターや茶室が設けられており、さまざまな日本の食が体験できるのがウリ。個室も5部屋設けられているから、使い勝手がいい。なかでも、ラグジュアリーホテルでは珍しい“割烹カウンター”は体験しておきたいところ。
割烹カウンター
5代目和食総料理長の大森朗弘さん
2023年に5代目の和食総料理長に就任したのが、大森朗弘さん。20歳で入社した生え抜きで、代々受け継がれてきた〈山里〉の伝統の味を大切にしながらも、モダンな要素を取り入れている。この大森さんのもと、割烹シェフの外山拓哉さんが割烹カウンターで“おまかせコース”(6万円~)を紡ぐ。最初から最後まで目の前で仕上げられ、できたての口福を味わえる。
毎月内容が新しくなり、その日最高の食材が使われるので、同じ内容になることはない。毎日訪れても、いつも違う体験ができるのも嬉しいところ。
プレゼンテーションの様子
コースが始まる前に、使用される食材のプレゼンテーションが行われる。広いカウンターに旬材が並べられた様子は圧巻で、あっと息を呑む。最初に提供されるのが、出汁のベースとなる鮪節の削りと、その一番出汁。慎ましやかな滋味に身体が温まり、心の準備もできる。
“青柳(鳥貝)たらの芽 うど 九条葱餡 百合根”
“青柳(鳥貝)たらの芽 うど 九条葱餡 百合根”は、ほのかな苦味のあるタラの芽と爽やかな風味のウドに、潮の香りが豊かな鳥貝と肉厚な青柳を合わせた。九条葱の餡の青い香りが軽やかで、百合根のホクホク感がアクセント。“焼京筍 焼平貝 ほたるいか味噌”
旬の妙味を取り合わせたのが、“焼京筍 焼平貝 ほたるいか味噌”。シャキシャキ感のある筍と弾力ある平貝がよいコントラスト。すり鉢ですりつぶしたホタルイカの味噌が、濃厚で乙な味わい。自家製ホタルイカの沖漬けも添えられ、どちらとも日本酒が進むこと間違いなし!“鮎並うす造り 皮 浅月 黄韮 ぽん酢”
“鮎並うす造り 皮 浅月 黄韮 ぽん酢”は、鮎並の身と皮を造りにした。身は淡白ながらも上品な味わいで、皮は適度に脂肪を携えていて美味。黄韮おろしが香ばしく、チャームポイントになっている。“初鰹藁焼 燻製”
初物を味わえるのが“初鰹藁焼 燻製”。初鰹ながらも脂がそこそこにあり、燻製にするとより奥深い味わいに。状態がよく、赤身のふくいくとした香りが感じられる。
自家製の唐墨
大森さんが和食総料理長に就任してから、自家製の唐墨もふるまうようになった。ウイスキー、白ワイン、梅酒で漬けた3種類があり、食べ比べできるのも粋なはからい。“桜鯛松皮 白子醤油”
“桜鯛松皮 白子醤油”は、身の美しい桜鯛を焼き霜にして皮目をパリッとさせた。鯛の白子を醤油と合わせたタレは、それだけで酒肴になる。“太刀魚の焼魚 車海老炙り”
太刀魚と車海老を同時に味わえるのが、“太刀魚の焼魚 車海老炙り”。太刀魚を丁寧に焼いて、じっくりと佳味を引き出した。車海老は、身に軽く火を入れてフレッシュ感を残し、頭はしっかりと焼いてパリパリのテクスチャーに。“本鮪とろ すき焼 行者大蒜”
“本鮪とろ すき焼 行者大蒜”は、本鮪の中トロをミキュイ(半熟に仕上げたすき焼きスタイル)。添えられた卵黄をまとわせて食せば、口中に快味が広がる。炙った本鮪の頬肉も供されるので、食べ比べてみて。“蒸しホワイトアスパラ 春蝦蛄 雲丹亀甲餡”
さまざまなコントラストを味わえるのが、“蒸しホワイトアスパラ 春蝦蛄 雲丹亀甲餡”。シャキシャキとしたホワイトアスパラガスとやわらかな蝦蛄のコンビネーションに、たっぷりの雲丹を加えた。和えて食べると、その複雑味を賞翫できる。
“特選和牛ひれ肉 ジャンボマッシュルーム うるい 花山椒鍋”
メインディッシュは“特選和牛ひれ肉 ジャンボマッシュルーム うるい 花山椒鍋”。常陸牛のヒレ肉を絶妙な加減でしゃぶしゃぶして、ジューシーな至味を讃えた。贅沢にも、惜しげなく花山椒をあしらっているので、鮮烈な香気が広がる。“頂米土鍋炊き 桜えび 青のり赤だし”
“頂米土鍋炊き 桜えび 青のり赤だし”は、プレミアム米として知られる高地で栽培された“頂米”に、桜海老をふんだんに加え、信楽焼の土鍋で炊いたもの。桜海老の郁郁たる香りが食欲をかき立て、コースの終盤でもおいしく食べられる。“メロン さくらんぼ 枇杷 桜豆乳寄せ 小倉”
デザートは“メロン さくらんぼ 枇杷 桜豆乳寄せ 小倉”。静岡県のマスクメロン、山形県にある安達宗一郎明珠農園のさくらんぼ“佐藤錦”、長崎県産の茂木枇杷に、桜のシロップが入った上品な豆乳寄せがワンプレートに。目の前で小倉餡がのせられて完成し、最後までパフォーマンスで魅了してくれる。
珠玉の料理には、お酒も合わせてさらに満喫したい。アシスタントチーフソムリエの岡田昌男さんが、その日に最適なワインや日本酒をペアリングしてくれる。料理に合わせた取材時のペアリング
最初の“泡モノ”は、シャンパーニュの“アンリオ ブラン・ド・ブラン”(5000円/グラス)。きめこまやかな泡とエレガントなアロマ。繊細な日本料理との相性は抜群。貴重な生酒が、“かちこま しぼりたて本生”(3000円/一合)。キリッとしまった辛さと新酒特有のフレッシュな香りが、魚介類や青い野菜に寄り添う。“野口尚彦研究所 山廃五百万石 無濾過生原酒 2018 Vintage”(4000円/一合)は、人気の酒米五百万石の無濾過生原酒。旨さの中にも、甘味や果実味も感じられる。スパイシーなニュアンスもあり、赤身にも負けない。“黒龍 二左衛門 2022”(1万7500円/一合)はみずみずしいメロンのような風味がある。ほんのりとした苦みが全体を引き締めていて、焼物に合う。ナパ・ヴァレーのプレミアム赤ワインが“ケンゾー エステイト ワイナリー 紫鈴 rindo 2021”(9600円/グラス)。複層的で官能的な芳しい香りが漂い、きめ細かく繊細なタンニンがある。本鮪や和牛にぴったりな一本。“ラ・ジブリオット ジュヴレ・シャンベルタン 2018”(8000円/グラス)は、ブルゴーニュの高品質な赤ワイン。洗練されたタンニンと深みがあり、余韻も長い。
目の前で料理が紡ぎ上げられていく様子を鑑賞できるのは、なによりの眼福。一流ホテルの“割烹スタイル”を、是非とも一度は体験してみて!
●割烹カウンター 6万円~
青柳(鳥貝)たらの芽 うど 九条葱餡 百合根
焼京筍 焼平貝 ほたるいか味噌と沖漬け
鮎並うす造り 皮 浅月 黄韮 ぽん酢
初鰹藁焼 燻製
桜鯛松皮 白子醤油
唐墨食べ比べ
太刀魚の焼魚 車海老炙り
本鮪とろ すき焼 行者大蒜
鮪ほほ肉塩炙り
蒸しホワイトアスパラ 春蝦蛄 雲丹亀甲餡
特選和牛ひれ肉 ジャンボマッシュルーム うるい 花山椒鍋
頂米土鍋炊き 桜えび 青のり赤だし
メロン さくらんぼ 枇杷 桜豆乳寄せ 小倉
※ディナー限定
※土・日・祝日を除く前日までに要予約
●〈オークラ東京(The Okura Tokyo)〉日本料理 山里
住所:東京都港区虎ノ門2-10-4 オークラ東京 ヘリテージウイング4F
営業時間:朝食 7:00~9:30(土・日・祝日~ 10:00)、ランチ 11:30~14:30、ディナー 17:30~21:30
定休日:水曜
TEL:03-3505-6070
URL:https://theokuratokyo.jp/dining/list/yamazato/
※サービス料込
●グルメジャーナリスト 東龍さんの連載、記事はこちら!
グルメジャーナリスト東龍のホテルグルメで“口福”体験!
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。