45階からの絶景と圧倒的な空間で、エキスパートの鉄板焼が堪能できる〈ザ・リッツ・カールトン東京〉ひのきざか!
ホスピタリティの高さで知られているのが、2007年3月に開業した〈ザ・リッツ・カールトン東京〉。レストランも評判で、フレンチは『ミシュランガイド』の1つ星で、日本料理には国内外の食通が足繁く通う。日本料理〈ひのきざか〉は会席料理、寿司、天麩羅、鉄板焼の4つのエリアに分かれていて、どれも好評。鉄板焼は、9.5mものI字型カウンターで迫力あふれるパフォーマンスを楽しめるとあって、いつも賑わいをみせている。
鉄板焼料理長を務める大江侑基さん
2023年6月から鉄板焼料理長を務めているのが、大江侑基さん。都内のホテルで料理人としてのキャリアをスタートして4年めから鉄板焼の“焼き手”に。2015年4月〈ザ・リッツ・カールトン東京〉に入社し、研鑽を積んできたという鉄板焼のエキスパート。
日本の伝統とモダンの融合が感じられる鉄板焼カウンター(10席)
大江さんが紡ぐコースの中で、イチオシしたいのが“桐”(3万2000円)。珠玉の前菜から始まって、魚介類や黒毛和牛を用いた料理、銘柄牛のメインディッシュ、デザートを味わえるという贅沢なコースになっている。1カ月くらいで内容は新しくなるが、取材時のメニューを紹介しよう。
“黒毛和牛経産牛リブロースのしゃぶしゃぶ 鼈甲餡 湯葉 季節野菜浸し 山葵”
“黒毛和牛経産牛リブロースのしゃぶしゃぶ 鼈甲餡 湯葉 季節野菜浸し 山葵”は、SDGsを意識した一品。味わいがある経産牛を2㎜程度の厚みにカットして、鉄板の上で見事にしゃぶしゃぶにした。ちょうどいいやわらかさで、ジューシーな食感。小松菜のお浸しや湯葉が味わいに奥行きをもたらしてくれる。
“茶碗蒸し 蟹餡 黒毛和牛煮凝り 針生姜 旬魚昆布締め 柿利休和え”
3品が同時に楽しめるのが“茶碗蒸し 蟹餡 黒毛和牛煮凝り 針生姜 旬魚昆布締め 柿利休和え”。茶碗蒸しには、滋味のある蟹と、マコモダケやマッシュルームがふんだんに使われている。半球状の黒毛和牛の煮凝りは旨味たっぷりで、針生姜のアクセント。上味にあふれる舞鶴の甘鯛は昆布締めして薄造りに。奈良県五條市にある益田農園の柿と胡麻餡との相性もいい。
“国産蝦夷鮑 蕪蒸し 蕪みぞれ餡”
“国産蝦夷鮑 蕪蒸し 蕪みぞれ餡”は、蝦夷鮑と蕪の見事なコンビネーション。北海道の蝦夷鮑を蒸し焼きにして、たおやかに仕上げた。上には目の前で作る紅かぶらの蕪蒸しをのせ、下には聖護院蕪のソースを敷いた。あしらわれたロックチャイブの香味がよい変化に。
“黒毛和牛頬肉 白味噌仕立て 季節野菜 近江蒟蒻 黒トリュフ”
仕込みに時間をかけているのが、“黒毛和牛頬肉 白味噌仕立て 季節野菜 近江蒟蒻 黒トリュフ”。5時間以上煮込んだ黒毛和牛の頬肉は、ほろりと崩れて乙な味わい。爽やかなセリや、プリッとした滋賀県の赤こんにゃくが脇を固め、白味噌の甘みと黒トリュフの妖艶な香りが調和している。
“黒毛和牛ロースのクリスピー サラダ仕立て 柚子胡椒ドレッシング”
“黒毛和牛ロースのクリスピー サラダ仕立て 柚子胡椒ドレッシング”は、メインディッシュ前の“贅沢なサラダ”。山形県の“雪降り和牛”の肩ロース肉をクリスピーに焼き上げてサラダにトッピングした。季節によって変わる自家製ドレッシングは柚子胡椒風味で、慎ましやかな刺激が食欲をかき立てる。
“旬の焼き野菜”
“旬の焼き野菜”はどれも2ポーションずつあるので、山葵味噌やカンボジアの生胡椒、高知県の塩など、7種類の多彩なコンディメントで食べ比べを楽しめる。徳島県の天恵菇は肉厚なテクスチャーが食べ応え満点で、蓮根はあえてあまり焼かずにみずみずしい食感を残した。
メインディッシュのフィレ
メインディッシュはフィレかサーロインをチョイスでき、2人以上なら、半分ずつシェアすることもできる。山形の“雪降り和牛”を中心によいものが仕入れられているから、色々な和牛を楽しむことができるのが嬉しい。青森県の黒毛和牛のフィレは、BMS=牛脂肪交雑基準が10ランクの脂がのった肉。手際よく焼き上げられ、至味を閉じ込めながら脂を適度に落とした。ミディアムレアの最高の状態となり、美しいロゼ色と佳味が素晴らしい。
“南部鉄器の釜炊き御飯 ガーリックフライドライス
“南部鉄器の釜炊き御飯 ガーリックフライドライス”は、食味に定評のある山形県にある上和田有機米生産組合の“つや姫”を、山形県の水とともに南部鉄器でしっとりと炊いた。玉葱、紫蘇、卵で味わいに複雑さをもたせ、砕いたニンニクのチップをのせてインパクトを加えている。
大江さんの鉄板料理にぴったりのお酒もたくさん取り揃えられているので、あわせてオーダーするのがおすすめ。
左:“スポッツウッド・エステート・ヴィンヤード&ワイナリー ソーヴィニヨン・ブラン”4800円/グラス 中:“ニコラ・ロシニョール ブルゴーニュ”5000円/グラス 右:“ルイナール ロゼ”5500円/グラス
“スポッツウッド・エステート・ヴィンヤード&ワイナリー ソーヴィニヨン・ブラン”はアメリカ・ナパ&ソノマの白ワイン。ソーヴィニヨン・ブランが主体で、テクスチャーが素晴らしく、生き生きとした酸味の骨格をもっている。非常に余韻が長く、ジューシーさがあるので、前菜にぴったり。
肉に合わせたいのが、フランス・ブルゴーニュの“ニコラ・ロシニョール ブルゴーニュ”。レッドカラントやクランベリーの華やかなアロマがあり、タンニンもバランスよく感じられる。洗練されたミディアムボディなので、上質な和牛に見事マリアージュする。
最初から最後まで合わせられるのが、“ルイナール ロゼ”。ピノ・ノワールとシャルドネが調和したシャンパーニュで、フレッシュなアロマとふくよかな味わいが出色。ゴールドピンクの色合いが華美で、見ているだけでうっとりさせられる。
大きな窓から広がる東京の夜景も圧巻!
45階からの絶景と、圧倒的な空間の中で、大江さんの鉄板焼が堪能できるのは至福の時間。彼女とのデートや大切な会食で、楽しく美味しく過ごせるホテルグルメとして覚えておいて!
●桐 3万2000円
黒毛和牛経産牛リブロースのしゃぶしゃぶ 鼈甲餡 湯葉 季節野菜浸し 山葵
茶碗蒸し 蟹餡 黒毛和牛煮凝り 針生姜 旬魚昆布締め 柿利休和え
国産蝦夷鮑 蕪蒸し 蕪みぞれ餡
黒毛和牛頬肉 白味噌仕立て 季節野菜 近江蒟蒻 黒トリュフ
黒毛和牛ロースのクリスピー サラダ仕立て 柚子胡椒ドレッシング
旬の焼き野菜
特選銘柄和牛 フィレ 60g 又は サーロイン 80g
南部鉄器の釜炊き御飯 ガーリックフライドライス 又は 帆立時雨煮の混ぜ御飯 赤出汁 香の物
キャラメルブランマンジェ 洋梨コンポート チョコレート羊羹 季節のフルーツ
●〈ザ・リッツ・カールトン東京〉ひのきざか
住所:東京都港区赤坂9-7-1 東京ミッドタウン ザ・リッツ・カールトン東京45F
営業時間:11:30~16:00(14:30LO)、17:30~22:30(21:00LO)
TEL:03-6434-8711
URL:https://hinokizaka.ritzcarltontokyo.com/
※サービス料込み
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。