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CULTURE カルチャー

2024.07.07


【まとめ】絶対に泣ける感動映画57本!

たまには映画を見ながら感動の涙を流すのもいいもの。そうすることで気持ちもスッキリ! 元気も出てくること請け合いだ!

 

 
【GWは映画三昧】思わず目頭が熱くなる!
大人も泣ける映画5選!

『マイ・フレンド・フォーエバー』
製作年/1995年 監督/ピーター・ホルトン 脚本/ロバート・クーン 出演/ブラッド・レンフロ、ジョゼフ・マゼロ

“友情の証”に涙する!
映画を観て涙腺のスイッチが入る瞬間は、人それぞれ。しかし子供同士のピュアな友情が描かれると、そのスイッチは多くの人に作動するはず。そんな法則を成立させるのが、『マイ・フレンド・フォーエバー』だ。エリックの隣に引っ越してきたデクスターは、幼い頃の輸血が原因でHIVに感染していた。最初はデクスターを敬遠していたエリックだが、ともに友達がいないことで、やがて遊び仲間となっていく。この映画が作られた当時、HIV感染は今とは比べものにならないほど深刻だった。デクスターの治療法を探すため、2人は旅に出ることを決意する。

2人の少年の友情ドラマとロードムービー的な展開で、メインの旅の部分は、子供らしい無邪気な行動や、大人の女性にドキドキする描写なども盛り込まれ、共感度はハイレベル。エリックが真剣にデクスターの健康を心配しているのに、大人たちの言動は差別的で冷たかったりして、少年たちの純粋さに心洗われる瞬間が何度も訪れ、ラストは“友情の証”に涙する人も多いはず。デクスター役のジョセフ・マゼロは『ボヘミアン・ラプソディ』でクイーンのメンバーを演じるなど活躍中だが、エリック役のブラッド・レンフロは、25歳で急死。その事実も重ねながら観ると、より胸が痛くなる。 

 

 

 
【GWは映画三昧】思わず目頭が熱くなる!
大人も泣ける映画5選!

『ニュー・シネマ・パラダイス』
製作年/1989年 監督・脚本/ジュゼッペ・トルナトーレ 出演/フィリップ・ノワレ、ジャック・ぺラン、アントネラ・アッティーリ 

泣ける映画の代表作!
映画ファンに“泣ける作品ランキング”を調査したら、確実にトップ3には入ると思われるのが、この作品。未見の人には教えられない(でも、なんとなく予想できる)号泣必至のラストだけでなく、要所にグッとくるシーンを用意している。それらが、映画を観る喜びと強烈につながっているから、何度も涙腺が刺激されるのだ。満席の映画館で人々が一緒に笑い、泣き、拍手するという光景は、新型コロナウイルスで“密を避ける”ルールとなった時代で観ると、本当に愛おしく感じられ、目が潤んでしまうはず。

イタリアのシチリア島の小さな村で、“トト”と呼ばれるサルヴァトーレ少年が、映画を大好きになる。村の映画館で映写技師として働き、映画監督へと成長した彼が、過去を回想する物語。ローマにいるトトが、母から恩人の死を知らされ、故郷の村へ帰ってくる。少年時代のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオの、あまりに無邪気な表情に感動しない人はいないだろう。そしてエンニオ・モリコーネによる音楽は、映画史でも最高の仕上がり。ドラマや登場人物の心情との重なり具合が絶妙すぎて、メロディに反応して目頭が熱くなる、“パブロフの犬”的な作用を起こす! 

 
 

 
【GWは映画三昧】思わず目頭が熱くなる!
大人も泣ける映画5選!

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』
製作年/1997年 監督/ガス・バン・サント 脚本・出演/ベン・アフレック、マット・デイモン 出演/ロビン・ウィリアムズ

最高の友情ストーリーが心に静かに染み入る!
今やビッグスターになったベン・アフレックとマット・デイモン。ハーバード大学時代にデイモンが執筆した脚本を、アフレックの協力で完成。2人が自らの出演で映画となり、いきなりアカデミー賞脚本賞という快挙を達成した。幼い頃から孤独だったウィル・ハンティングは、ケンカを繰り返して鑑別所送りが日常だった。大学で清掃員のアルバイトをしていた彼は、学生たちが解けず、黒板に残された数学の難問をあっさりクリア。記憶と数学に関するウィルの天才的才能を知った教授が、ウィルを更生させるために心理学の講師であるショーンを紹介する。

ともに深い屈折感を抱えていたウィルとショーンが、徐々にたがいを理解し合っていくドラマがじつにエモーショナル。ショーン役で故ロビン・ウィリアムズがアカデミー賞助演男優賞を受賞しただけあって、ウィルの心を解き放ち、才能を開花させる、まさに最高のサポート演技をみせてくれる。さらに感動的なのは、アフレックが演じる親友チャッキーと、ウィルの友情だ。ワル仲間という関係が、ウィルが巻き込まれる事件や、成長と葛藤によって、どう変わっていくのか? チャッキーの決断が、本作を最高の友情ストーリーとして輝かせる。号泣する感動映画というより、心に静かに染み入り、記憶にやきついて離れないタイプの名作。 

 
 

 
【GWは映画三昧】思わず目頭が熱くなる!
大人も泣ける映画5選!

『I am Sam アイ・アム・サム』
製作年/2001年 監督・脚本/ジェシー・ネルソン 脚本/クリスティン・ジョンソン 出演/ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング、ローラ・ダーン

父娘の姿に心を揺さぶられる!
難病モノというジャンルは、基本的に涙を誘うのが目的で作られるが、過剰になったり、あざとくなったりする可能性も高い。そのハードルを軽々と超え、さわやかな感動を届けてくれるのが、この作品。知的障がいのために知能は7歳のままのサムは、スターバックスで仕事をしながら、一人娘のルーシーと生活している。ルーシーの母親は出産後にすぐに失踪しており、サムはシングルファーザー。前半は、周囲の人々の温かいサポートで毎日を乗り越える父娘の姿が誠実に描かれ、観ているこちらは、早い段階から目頭が熱くなってしまう。

やがてルーシーが7歳になり、父よりも“大人”になったことで、サムの養育能力が問われることに。ルーシーがサムの元から引き離されたことで、サムは裁判で訴えるという無謀なチャレンジに出る。サムとルーシーの親子愛、それを取り戻そうとするサムの実直な奮闘と、いくつもの感動のポイントが、登場人物に寄り添うように演出され、名作となった。人気アーティストがカバーした、数々のビートルズの曲もドラマとぴったりで効果的。サムという難しい役をリアルにこなしたショーン・ペンもさすがだが、ルーシー役、ダコタ・ファニングの天才子役ぶりに、心を揺さぶられるのは確実だ。 

 
 

 
【GWは映画三昧】思わず目頭が熱くなる!
大人も泣ける映画5選!

『世界一キライなあなたに』
製作年/2016年 原作・脚本/ジョジョ・モイーズ 監督/テア・シャーロック 出演/エミリア・クラーク、サム・クラフリン

クライマックスの展開に胸を締めつけられる!
メジャーな感動作ではなく、知る人ぞ知る作品で、しかもシンプルに涙を誘うだけでなく、賛否両論も出そうな心ざわめく展開もある。そんな一本が『世界一キライなあなたに』だ。オートバイにはねられて脊髄損傷となり、車椅子生活を送る元実業家のウィルと、職を失い、6カ月の契約で彼の介護をすることになったルー。性格は傲慢で、思うような行動ができず、つねに苛立っているウィルに対し、介護の仕事が新米のルーは悪戦苦闘。最初は水と油のような関係だった2人は、やがて恋におちてしまう。

未来を悲観して自暴自棄になっていたウィルが、ルーとの出会いで生きる希望を取り戻す……。ここまでだったら、予想範囲内の展開。ラブストーリーとしても素直に感情移入しやすい作風だ。問題となるのは“6カ月の契約期間”。これが何を意味するのかは、これから観る人は知らない方がいい。中盤から、このポイントがヘビーな意味をもち、クライマックスへの展開にいろいろと考えさせながら、強烈に胸を締めつけられることになる。誰もが涙する感動作ではなく、複雑な後味を求めたい人にはオススメの一作だ。 

 
 

 


『ビューティフルマインド』
製作年/2001年 原作/シルビア・ネイサー 監督/ロン・ハワード 脚本/アキバ・ゴールズマン 出演/ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス 

夫婦の絆に涙する!
すべての真理を見つけるという、理想を追い続ける数学者の卵ジョン。名門大学院を卒業した彼は米国防省の暗号解読員として活躍するが、敵国の刺客の影に、つねに怯えていた。そんな彼の救いとなったのが、かつての教え子アリシアの存在。ジョンの不安定な精神状態は、やがて統合失調症と診断され、その病状は日増しに悪化していった。彼の妻となったアリシアは辛抱強く彼を救おうとする。

ノーベル賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュの伝記に基づくヒューマンドラマ。周囲には変わり者と見られるだけで、じつは精神を深く病んでいた彼が、妻の献身的なサポートによって快方に向かい、絆の大切さを学んでいく。妻アリシアとは実際には離婚していた時期もあり、映画が史実と異なるとの批判も受けたが、離婚しても彼を見捨てなかったアリシアの献身は事実に基づく。主演を務めたラッセル・クロウはもちろん、アリシア役でアカデミー賞を受賞したジェニファー・コネリーの熱演にも注目。 

 
 

 


『スモーク』
製作年/1995年 監督/ウェイン・ワン 脚本/ポール・オースター 出演/ハーベイ・カイテル、ウィリアム・ハート、ストッカード・チャニング

さまざまな人生の物語に心が震える!
舞台は1990年、NY、ブルックリンの下町。独身男オーギーが経営するタバコ屋には、さまざまな人がやってくる。作家のポールもそのひとり。数年前、強盗事件に巻き込まれた妊娠中の妻が亡くなって以来、彼は執筆を進められなくなっていた。そんなある日、黒人の家出少年と知り合ったポールは、その面倒を見ることになり、オーギーに頼み、彼の店で働かせることに。一方、オーギーは昔の恋人と再会したことで、過去と向き合う……。

現代アメリカを代表する作家のひとり、ポール・オースターの短編小説を、彼自身の脚色によって映画化した群像劇。愛する者を求め、失い、笑い、泣いて、なお続く、さまざまな人生の物語は、生活感あふれるダウンタウンの風景に溶け込み、リアルな肌触りをあたえる。悲喜劇が収束した果ての、ラストのクリスマス・ストーリーは、トム・ウェイツの名曲の効果も手伝い、感情を揺さぶらずにおかない。姉妹編『ブルー・イン・ザ・フェイス』とともに、必見! 

 
 

 


『チョコレートドーナツ』
製作年/2012年 製作・監督・脚本/トラビス・ファイン 出演/アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイバ

偏見に立ち向かう姿に感動!
1979年、カリフォルニアに住むショーパブのパフォーマー、ルディは隣室の住人であるドラッグ中毒のシングルマザーの息子で、ダウン症の少年マルコを引き取ることに。ゲイの恋人で検事局で働くポールとともに、家族のような愛情に結ばれていく彼ら。しかし、世間の同性愛への風当たりは強く、マルコと引き離されたルディとポールは法廷で争うことを決意。そんなふたりに、さらなる逆風が……。

ゲイの男性が育児放棄された子供を育てた実話にヒントを得て製作された、疑似家族の物語。同性愛者への世間の偏見をリアルに見据えつつ、この逆風に立ち向かうゲイカップルの奔走を描く。彼らと、その“息子”となるダウン症児の強い絆は、胸を引き裂かれるような展開と相まって強烈な後味を残す。ちなみに、主人公ルディを演じた『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』の演技派アラン・カミングは、本作の製作以前に実際に同性婚をしている。 

 
 

 


『フィラデルフィア』

製作年/1993年 製作・監督/ジョナサン・デミ 脚本/ロン・ナイスワーナー 出演/トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン

考え方も境遇も違う2人の絆にグッとくる!
米フィラデルフィアの法律事務所で働くアンドリューは、ゲイでエイズ患者であることを隠している。そんなある日、仕事のミスを盾に取り、事務所は突然、彼を解雇。その実質的な理由が病気にあることを知ったアンドリューは法廷で争おうとするが、偏見から彼の弁護を引き受ける者はいなかった。同性愛嫌いの黒人弁護士ジョーもそのひとりだったが、やがてアンドリューに共鳴して弁護を務める。そして全米注視の裁判が幕を開けた……。

『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ監督が、トム・ハンクスとデンゼル・ワシントンを迎えて手がけた必見作。同性愛やエイズ患者に対する世間の偏見を告発しながら、ふたりの男の法廷での共闘を描く。考え方も境遇も異なるふたりの間に芽生える友情は、戦いが厳しくなるほどに強くなる。そんな彼らの心の結びつきにグッとくる力作。難病を体現したハンクスは本作でアカデミー主演男優賞を受賞。 

 
 

 


『最強のふたり』
製作年/2011年 監督・脚本/エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ 出演/フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、オドレイ・フルーロ

思いやりと友情に心があったまる!
頚髄損傷によりカラダを動かせず、介護を必要とする大富豪フィリップ。その新しい介護人に、は貧困街に住む前科者の移民青年ドリスが選ばれた。盗難を働きかねない者を雇ったことに周囲は反対するが、フィリップは障がいを気にせずズケズケとモノを言うドリスを気に入っていた。ともに過ごす時間の中で、彼らは強い絆で結ばれていく。やがてフィリップは文通相手の女性に心を惹かれるが、障がいに負い目を感じて恋に臆病に。ドリスはそんな彼を励まし、応援するのだが……。

世界中で大ヒットを飛ばし、フランス映画の日本での興行記録を塗り替えた好編。障がい者に対して、人は憐れみの目を向けがちだが、本作のドリスは違う。フィリップが車椅子生活者であろうと、大富豪であろうと遠慮せず、ほかの人間に見せる思いやりと同じような気持ちで接する。そんな目線の対等さに、学ぶべきことは多いのでは? 東京国際映画祭では最高賞のサクラグランプリを受賞。 

 
 

 

『コーチ・カーター』
製作年/2005年 製総・監督/トーマス・カーター 出演/サミュエル・L・ジャクソン、リック・ゴンザレス、ロバート・リチャード

落ちこぼれチームを変貌させる熱血指導にグッとくる!
カリフォルニア州・リッチモンド高校のバスケットボール部に、高校のOBであるケン・カーター(サミュエル・L・ジャクソン)がコーチとして赴任。大学へ進学する者はほんの少数で、卒業生の約半分が逮捕されてしまう母校の現状を案ずるカーターは、部員たちと契約を交わす。学業を疎かにせず既定の成績を残すこと、試合の日は正装すること…。部員や親たちの反発を受ける中、カーターは決して意思を曲げず、過酷な練習で部員たちを導いていくが…。

実在の名コーチによる感動の実話を映画化。目先の勝利にのみ向かって突き進む展開ではなく、バスケットボール部での日々を通し、“自分の人生を生きること”の大切さを教えてくれる。フィクションを超えた高揚感、そして苦みが実話ならでは。 

 
 

 


『バックドラフト』
製作年/1991年 監督/ロン・ハワード 出演/カート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン、ロバート・デ・ニーロ

兄弟の熱い絆に涙する!
消防士となった兄弟の葛藤と絆を描いた感動作。同じく消防士だった父親の後を継いで消防士一筋でやってきた兄スティーブンと、新米消防士として現場に配属された弟のブライアン。2人が駆けつける火災現場シーンでのリアルな炎の表現がなんとも圧巻な作品で、話題となった。

この作品が教えてくれるのは、とにかく火災に際には「不用意に扉を開けちゃダメ!」ということ。火災で高温になった密閉空間の扉や窓を開けると、急速に酸素が流れこんで大爆発が起きる現象“バックドラフト”が襲いかかるからだ。消防士でもないのに燃えさかる炎の中で救出活動する機会はまずないが、しかし万が一、火災現場での救助に直面したら、扉を開ける際には十分気をつけるべし。 

 
 

 
ペットを超えた絆に感涙!ワンダフルな犬映画5選!

『僕のワンダフル・ライフ』
製作年/2017年 監督/ラッセ・ハルストレム 出演/デニス・クエイド、ペギー・リプトン、K・J・アパ

犬の想いが伝わる演出に感服!
犬のベイリーが何度も生まれ変わって元の飼い主イーサンの元へ帰るまでを時代の変遷と共に描くラッセ・ハルストレム監督作。ベイリーはゴールデンレトリーバーやジャーマン・シェパード、コーギーなどさまざまな犬種に生まれ変わり、そのつどの飼い主との“使命”(犯人逮捕や人命救救助、飼い主が家族を作るまでを見守ったり……)を果たして、また次の”犬生”を送るべく生まれ変わる。そして最後はセントバーナードとオーストラリアン・シェパードのミックス犬に転生して、ついにイーサンに巡り合う。

ハルストレム監督は『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』『HACHI 約束の犬』と本作を入れると、これまで3作の犬映画を監督するほど大の犬好き。
『HACHI』では犬の目線として彩度を落とした映像を用いるなど(犬は一般的に赤緑があまり判別できないよう)、犬の気持ちがわかっているかのような演出を披露。本作でもまた犬の想いが伝わってくる演出やナレーションが随所に盛り込まれている。もし飼い犬がこんなにも一途に自分を探してくれていたら……と思うと、胸がアツくなる感動作だ。 

 
 

 

『ブレイブハート』
製作年/1995年 監督・出演/メル・ギブソン 出演/ソフィー・マルソー

命は奪えても、自由は誰にも奪えない!
13世紀末のスコットランドで、残虐な英国王エドワード1世の侵略と圧政に苦しみ、家族を皆殺しにされたウィリアム・ウォレス(メル・ギブソン)。そんなウォレスがスコットランドの独立を目指し、民衆の支持を得て抵抗運動を展開していく中、英国の大軍とスコットランドの兵たちが激突する地で大演説。

怖気づくスコットランド兵たちを前に、「命は奪えても、自由は誰にも奪えない!」と訴える。しかも、この言葉の真の意味がじわじわと胸に迫ってくるのはウォレスのその後の運命を知ってから。やがて英国軍に囚われた彼は惨たらしく処刑されながらも、最後まで自由の尊さを叫ぶ。自らを犠牲にしても、大勢の未来のために自由を求める。ウォレスの強い意志から学べることは多い。 

 
 

 

『レインマン』
製作年/1988年 原作/バリー・モロー 監督/バリー・レビンソン 出演/トム・クルーズ、ダスティン・ホフマン、ジェラルド・R・モーレン 

会ったことのない兄弟が心を通わせていく!
血のつながった兄弟となれば、どこかしら似ている部分がある。しかし映画で、兄弟を主人公にした場合、性格も含めて何から何まで“真逆”ということが多いかも。その典型的な例を挙げるなら『レインマン』ではないか。高級外車のディーラーで、見るからにモテ男のチャーリーに、父の訃報が届く。故郷に戻ったチャーリーは、300万ドルという多額の遺産が、会ったこともない兄のレイモンドに渡ると知って愕然。自閉症で施設に入っているレイモンドを連れ出したチャーリーは、LAに戻り、父の遺産を手にしようと画策する。

一度も会ったことのない兄弟ということで、血は繋がっていても育った環境が別だと、こんなに何もかも違うのか……と、本作は実感させる。最初はコミュニケーションも不可能だった2人が、旅を通して心を通わせる展開は、予想どおりとはいえ、絶妙なエピソードの積み重ねでシンプルに感動。トム・クルーズは当時、『トップガン』などでハリウッドのトップスターに立ったばかり。その勢いと、がむしゃらなムードがチャーリー役にぴたりとハマったうえ、本作は彼の新たな才能を開花させた。一方のダスティン・ホフマンは、自閉症のレイモンド役で、過剰さに陥らないギリギリラインで演技巧者ぶりを披露。ホフマンの主演男優賞のほか、アカデミー賞では作品賞など4冠に輝いた。 

 
 

 


『リバー・ランズ・スルー・イット』
製作年/1992年 原作/ノーマン・マクリーン 製作・監督/ロバート・レッドフォード 出演/ブラッド・ピット、クレイグ・シェイファー、トム・スケリット

再会すれば言葉はいらない、それが兄弟!
本作の兄弟もキャラクターが好対照なのだが、『レインマン』と大きく違うのは、この兄弟には共通点がある。それは父から教えられた、フライ・フィッシングへの愛だ。モンタナ州で牧師の元に生まれたノーマンとポールの兄弟。ノーマンは東部の大学へ進学する。卒業して故郷に戻った彼は結婚相手を見つけるが、地元で新聞記者の仕事を得ていたポールは、ケンカに明け暮れ、ポーカーにのめりこんでいた……。まったく別の道へ進んでも、子供時代の記憶は鮮やかに残っており、再会すれば言葉も要らずに打ち解けられる。そんな兄弟の真理を描いた一作でもある。

モンタナ州の大自然をバックに、父と息子たちが釣竿を美しく操るフライ・フィッシングのシーンが本作で最大の見せ場だが、“兄弟映画”の設定としては、ジェームズ・ディーン主演の名作『エデンの東』など王道作品を受け継いでいる。堅実な生き方をモットーとして、まわりの意見に耳を傾け、性格は内向的な兄。そして自由を求め、行動的だが、ときにワイルド過ぎてハメを外してしまう弟。とくにこの作品は、兄から見た弟の存在がキーポイントとなり、ポール役をブラッド・ピットが演じたことで、多くの人の記憶にやきついた。監督のロバート・レッドフォードが自ら務めたナレーションも心にしみわたる。 

 
 

 


『ザ・ファイター』
製作年/2011年 監督/デビッド・O・ラッセル 出演/マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、メリッサ・レオ

ボクシングを通じた兄弟の絆に泣く!
プロデビュー後、14連勝など華々しい記録を打ち立てた、実在のボクサー、ミッキー・ウォード。一度は引退を考えた彼に、復活のきっかけを与えたのが、兄の存在だった。それは、同じく実力を認められたボクサーながら、麻薬に溺れ、逮捕もされた異父兄のディッキー・エクランド。この『ザ・ファイター』は、複雑な兄弟関係にある彼らが、苦闘を繰り返しながら頂点に立とうとする姿を、ド迫力のボクシングシーンとともに描いていく。強烈でセンセーショナルながら、直球の感動も届ける渾身の“兄弟映画”だ。

闘志ムキだしのスタイルが持ち味のミッキー。ボクシングへの純粋な情熱も劇的に描かれるのだが、それ以上に『ザ・ファイター』が切実なのは、家族ドラマ。彼のファイトマネーを当てにする強烈なキャラの母親、そして姉妹たち。ジャンキーであるディッキーをかばったために、ミッキーが見舞われるアクシデントなど、問題だらけの家族関係に胸を締めつけられる。ディッキーを演じるため15kgも減量したクリスチャン・ベールと、“鬼母”役のメリッサ・レオが、アカデミー賞で助演男優賞&助演女優賞のW受賞を達成。ボクシングと兄弟の絆、その両方でカタルシスがもたらされる骨太な一作。 

 
 

 


『きみがくれた未来』
製作年/2010年 原作/ベン・シャーウッド 監督/バー・スティアーズ 出演/ザック・エフロン、チャーリー・タハン、レイ・リオッタ、キム・ベイシンガー

亡くなった弟が兄を支えるファンタジー作品!
兄弟を描いた映画は、兄から弟、または弟から兄への屈折した感情が描かれることが多い。しかしこの映画は、兄弟の愛情が“どストレート”で、逆に新鮮。心洗われる感動作になっている。大学進学も決まった高校生のチャーリーが、11歳の弟サムを乗せて車を運転中、事故に巻き込まれる。チャーリーは生死の境をさまよったあげくに助かるが、サムは命を落としてしまった。大好きな弟を亡くした悲しみ、そして自分の責任にさいなまれるチャーリーの前に、なんと死んだはずのサムが現れる! ファンタジックな要素を前面にフィーチャーしつつ、それをあざとく感じさせないのが本作の魅力だ。

年齢が近い兄弟は何かとぶつかり合うものだが、この映画の場合、チャーリーにとってのサムは、面倒をみて、世話をしてあげる存在。サムも兄からの愛情を素直に受け止めており、だからこそ天国から戻ってきて、チャーリーの話し相手になるのだ。2人が会う場所が、一緒に野球の練習をした森というのも、しみじみと味わい深い。そしてもちろん、この密かな兄弟の関係は、いつか終わりが来ることを予感させる。その決着のつけ方にも無理がなく、兄弟の関係に最後まで心が温かくなるはず。幻想的な森や、チャーリーがヨットに乗る海など、撮影が行われたカナダの美しい自然にも癒される。 

 
 

 
しみじみ泣ける! 隠れた感動映画5選!

『私の中のあなた』
製作年/2009年 原作/ジョディ・ピコー 監督・脚本/ニック・カサベテス 出演/キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、アレック・ボールドウィン

ドナーとして生まれてきたアナの決断に心震える!
“泣ける映画”というのは、設定を聞いた段階である程度、予想がつくもの。逆に、泣かそうという“あざとさ”を感じ、引いてしまう人がいるのも事実だ。しかし時として、予想した感動の、さらに一歩先へ突き進んで心を揺さぶってくる映画もある。『私の中のあなた』はそんな一本だ。

主人公は、11歳の少女アナ。彼女には白血病を患う姉のケイトがいるのだが、アナはその姉のドナーになるべく遺伝子操作で生まれてきた。幼い頃から白血球やリンパ球を提供するなど、過酷な治療に耐えてきたアナだったが、腎臓移植手術の際、ついに「自分のために生きたい」と両親を相手に訴訟を起こす。

親の都合によって“デザイナーベイビー”として誕生したアナ。それだけでセンセーショナルで、アナの立場になって胸が締めつけられるのは確実。ただ本作は、ケイトの病気、家族がバラバラになりかけるアナの訴訟の先に、さらにエモーショナルな展開も用意している。そこで不覚にも泣かされる人が多いのだ。

アナ役のアビゲイル・ブレスリンは天才子役ならではの複雑な心情を見事に体現。そしてアナに無理を強いてきた母親役、キャメロン・ディアスのクライマックスでの演技が心にしみて、(キャメロンには失礼だが)そこも意外な感動のツボになっている。 

 
 

 
しみじみ泣ける! 隠れた感動映画5選!

『グラン・トリノ』
製作年/2008年 原案・脚本/ニック・シェンク 製作・監督・出演/クリント・イーストウッド 出演/ビー・バン、アーニー・ハー

頑固者が次第に心を許すさまにグッとくる!
大げさな感動は好まない。静かにしみわたる後味こそ、映画の魅力だ。そう考える人にオススメしたいのが、クリント・イーストウッド監督作。大スケールの事件を描いたとしても、その後味はどこか繊細で穏やか。ゆえに、しみじみと浸っていたくなる。こうしたイーストウッドの境地を実感できる最高の1本を選ぶとしたら『グラン・トリノ』だろう。

長年勤めたフォードの工場を辞め、妻にも先立たれたウォルト。愛犬と、愛車のグラン・トリノだけが心の支えで、周囲から見れば偏屈な男だ。そんな彼が、隣に住むアジア系のモン族の少年を助けたことで、意に反してその家族との交流がはじまる。

自分の意見を断固として曲げない主人公ウォルトは、絵に描いたような頑固老人。人種差別主義者であり、隣にアジア系が住んでいることも許せない彼が、その考えを変えていくドラマが、劇的ではなくじっくり描かれていく。その変化が、じつに心地よい。

カルチャーギャップ、年代ギャップによるユーモアも絶妙だし、何より、イーストウッド本人が演じるウォルトの感情の流れがナチュラル。ライフルを手にする姿は、彼の当たり役『ダーティハリー』が重なり、映画ファンの胸も熱くさせる。結末はかなりハードだが、息子カイル・イーストウッドの音楽とともにグラン・トリノが走る映像に、涙がやさしく頬を伝う。 

 
 

 
しみじみ泣ける! 隠れた感動映画5選!

『オーロラの彼方へ』
製作年/2000年 監督/グレゴリー・ホブリット 脚本/トビー・エメリッヒ 出演/デニス・クエイド、ジム・カビーゼル、ショーン・ドイル

これこそ隠れた感動作!
公開当時は大ヒットせず、それほど話題に上らなくても、その後、根強い支持をキープする映画がある。“泣ける映画”としてのこのパターンが『オーロラの彼方へ』ではないか。NY上空にオーロラが現れるという珍しい現象が起こった日、ジョンは父が大切にしていた無線機を発見。そこから聞こえてきた声に応答したジョンは、声の主が父ではないかと思う。しかし消防士だった父は、30年前、ジョンが6歳だった時に殉職していた……。オーロラが引き起こした、時空のパラドックスなのか? 本作がユニークなのは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような王道のタイムトラベル作品とは違い、声だけが過去と現在をつなぐ点だ。

30年離れた時間がひとつになることで、父と息子が同年代の立場になるのが、最初の感動のツボ。そして誰もが予想するように、まだ“生きている”父の運命を、息子がどう変えようとするかが、次なるポイント。本作の場合、そこからさらに二転三転が起こるのだが、ストーリーもわかりやすく練られ、感情移入しやすい。愛する人の運命を変えられるなら、自分はどうするか? そんな思いでいっぱいになった瞬間、登場人物たちの迎える運命に涙してしまう。 

 
 

 
しみじみ泣ける! 隠れた感動映画5選!

『フォエバー・フレンズ』
製作年/1988年 原作/アイリス・レイナー・ダート 製作・出演/ベット・ミドラー 監督/ゲイリー・マーシャル 出演/バーバラ・ハーシー、グレイス・ジョンストン

理想と現実に戸惑う友情物語の傑作!
“友情モノ”も、映画では泣けるポテンシャルの高いジャンル。この『フォーエバー・フレンズ』は、日本語タイトルが示すとおり、友情物語として揺るぎのない作り。主人公2人は女性だが、性別に関係なく観る者の心をわしづかみする。

サンフランシスコのビーチで、たまたま出会った2人の少女、CCとヒラリー。遠く離れた場所に住む彼女たちは、それから長い間、文通を続ける。やがてCCはクラブ歌手、ヒラリーは弁護士となって再会。同居生活や、それぞれの結婚、ケンカに仲直り……と、濃密な友情ストーリーが続いた後、2人には切実な運命が待ち受ける。

“文通”というのが時代を感じさせるが、メールやSNSとは明らかに違う、相手への心配、伝わらないもどかしさを実感させる本作。追い求める夢、理想と現実に悩むドラマでは、主人公2人のキャラが対照的なので、親友との距離感なども含め、どこかで必ず共感ポイントを発見できるはずだ。出会いの場所であるビーチが、クライマックスでも重要な役割を果たす。『Beaches』という原題の意味にしみじみと感動し、CC役のベット・ミドラーが歌う主題歌の歌詞が胸に迫ってくる。 

 
 

 
しみじみ泣ける! 隠れた感動映画5選!

『縞模様のパジャマの少年』
製作年/2008年 原作/ジョン・ボイン 製作総指揮・監督・脚本/マーク・ハーマン 出演/エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン、ベラ・ファーミガ

戦争映画の枠を超えた友情ドラマに泣く!
観た瞬間は衝撃の方が上回り、涙も出ないが、しばらくしてその結末がじわじわと思い出され、不覚にも泣いてしまう。『縞模様のパジャマの少年』は、そんな作品だ。第二次世界大戦下のドイツで、8歳の少年、ブルーノの一家が静かな片田舎に引っ越す。孤独な彼は、ある日、有刺鉄線のフェンスの向こう側にいた同い年のシュムエルと仲良くなり、2人はフェンス越しに話す時間を楽しむようになった。シュムエルはいつも縞模様のパジャマ姿だったが、ブルーノはその理由を知らない……。

ユダヤ人の強制収容所をテーマにした作品なので、なんとなく展開を頭に描きながら観続ける人も多いだろうが、この作品の場合、エンディングがあまりにも切実。戦争の悲惨さを伝えるのがテーマだとしても、これは一瞬、わが目を疑うレベルだ。

それでも映画を振り返れば、自分を正当化するために、大切な友人の心を傷つけるなど、戦争映画という枠を超え、等身大の友情ドラマとして感動が蘇るので、流れる涙は温かい。95分という長さなのでテンポもいいし、主人公たちを演じた2人の奇跡的な名演技にも引きこまれる、珠玉の名作だ。 

 
 

 
人の絆に泣けてくる感涙映画5選!

『アウトサイダー』
製作年/1983年 原作/S・E・ヒントン 製作総指揮・監督/フランシス・フォード・コッポラ 出演/C・トーマス・ハウエル、マット・ディロン、ラルフ・マッチオ、トム・クルーズ 

ポニーボーイとジョニーの絆に胸熱!
舞台は19660年代、アメリカの田舎町。そこでは若者たちの裕福な一派=ソッシュと、貧困層のグループ、グリースが抗争を繰り広げていた。グリースの年少者ポニーボーイとジョニーはトラブルからソッシュのリーダーを刺殺してしまい、追及を逃れるために町を離れることに。この逃避行は彼らの友情を深める。しかし、やがてグループ間の対決は避けられなくなり、ある事故で重傷を負ったジョニーを病院に残して、ポニーボーイは戦いに臨むが……。

S・E・ヒントンのベストセラー小説を映画化した、鬼才フランシス・フォード・コッポラの青春ドラマ。グループ内の友情はもちろんだが、とりわけ印象に残るのはポニーボーイとジョニーの絆。黄金のように輝く子ども時代の純粋さは長くは続かない。人はどこまで、黄金のままでいられるのだろう? 兄弟のように強く結びついた彼らの関係は、それを問いかけてくる。YAスターと呼ばれた当時の若手俳優たちの豪華共演も見どころ。 

 
 

 
人の絆に泣けてくる感涙映画5選!

『こわれゆく女』
製作年/1975年 監督・脚本/ジョン・カサヴェテス 出演/ジーナ・ローランズ、ピーター・フォーク

夫婦の愛と葛藤の物語
工事現場で監督の仕事をしているニックと妻メイベルは3人の子どもたちを育てながら、はた目には幸せに暮らしている。しかし、メイベルは夫とのすれ違いから、情緒不安定に陥っていた。やがて常軌を逸する行動に走った彼女は精神病院に入院することに。数カ月後、メイベルはおとなしくなって帰宅するが、ニックの無神経な言動が引き金となり、彼女の自制心は壊れてしまう……。

ニューヨーク・インディーズの伝説ジョン・カサヴェテスが愛妻ジーナ・ローランズを主演に起用して放った、愛と葛藤の物語。愛し合っていても埋められない、夫婦の心の溝を浮き彫りにしながら、人妻のこわれゆく心をリアルに描写。一方で、そんな母が錯乱状態に陥ろうとも寄り添おうとする子供たちの一途さに心を揺さぶられる。大熱演を見せたローランズはアカデミー主演女優賞にノミネート。『刑事コロンボ』でおなじみのピーター・フォークによる、不器用な夫の好演も光る。 

 
 

 
人の絆に泣けてくる感涙映画5選!

『さよなら子供たち』
製作年/1987年 製作・監督/ルイ・マル 出演/ガスパール・マネッス、ラファエル・フェジット

占領下の子供たちの友情に涙する
1944年、ナチス占領下のフランス。親元を離れ、カトリック系の寄宿学校に疎開している12歳のジュリアンは、転校生ジャンと知り合う。クラスに打ち解けようとしないジャンは、実は神父によって匿われたユダヤ人だった。その事実を知っても気にすることなく、ジュリアンは彼と親しくなり、彼らの友情は日増しに強くなっていく。だが、幸福な日々は長くは続かず、学校がユダヤ人を匿っていることを何者かが密告し……。

『死刑台のエレベーター』などで知られる名匠ルイ・マルが、自身の体験に発想を得て生み出した秀作。人種偏見とは無縁の子供たちの友情や、神父と生徒たちの信頼など、尊い人間関係を真摯に見つめる。一方で、それらを無情に引き裂いてしまう、戦争という現実。そんな悲劇が後の人生にあたえる影響をも視野に入れた、マル監督の深みのある演出が光る。子役たちの好演も忘れ難い。 

 
 

 
人の絆に泣けてくる感涙映画5選!

『しあわせの隠れ場所』
製作年/2009年 原作/マイケル・ルイス 監督・脚本/ジョン・リー・ハンコック 出演/サンドラ・ブロック、クィントン・アーロン

幸運な出会いと絆にほっこり
唯一の家族である母が薬物依存更生施設に入れられ、途方に暮れる黒人の高校生マイケル。寒さに震えているところを、裕福な白人の人妻に助けられた彼は、その一家の好意により、家に置いてもらうことに。実の家族のように接してくれる彼らに支えられ、マイケルは学業に励み、一方でアメフト選手としての才能を開花させる。それは後に、彼と一家に、さらに大きな喜びをもたらした……。

スーパーボウルでの優勝歴もある元NFLの人気アメフト選手マイケル・オアーの実体験を元にしたヒューマンドラマ。貧困にあえいでいたところを、慈悲深い一家に助けられた彼の、幸運な出会いを温かみとともに活写。物語の視点は、一家の勝ち気な妻の視点で語られ、彼女とマイケルの疑似親子というべき関係の構築が感動の肝となる。ヒロインを務めたアカデミー賞女優サンドラ・ブロックは、本作でも同主演女優賞候補に。 

 

 
人の絆に泣けてくる感涙映画5選!

『マイ・ライフ』
製作年/1993年 製作・監督・脚本/ブルース・ジョエル・ルービン 出演/マイケル・キートン、ニコール・キッドマン

生死を超える人と人の絆の強さに感動!
仕事で成功を収め、愛する妻ゲイルと幸福に暮らしている30代の男ボブに降りかかった悲劇――末期ガンの宣告。ショックを受けながらも、彼はゲイルのお腹にいる、まだ見ぬ息子に向けたビデオレターを撮りはじめる。そこには人生の教訓はもちろん、直接は教えてやれないであろうヒゲの剃り方も。しかし、精神的にも不安定になっていくボブは、死にたくないという気持ちをますます強くし、精神治療法に最後の望みを託す……。

『ゴースト/ニューヨークの幻』の脚本家ブルース・ジョエル・ルービンが監督を務めた人間ドラマ。自分がもしも余命宣告を受けたら、どうするか? 見る者は、まずそれを考えるに違いない。主人公が選択したのは、愛する家族に何かを残すこと。そこに生死を超える人と人の絆の強さが浮かび上がる。お涙頂戴に走ることなく、人間性を重視して物語を紡いだルービンの演出はお見事。マイケル・キートン&ニコール・キッドマンの演技派競演にも注目。 

 
 

 

『コーダ あいのうた』
製作年/2021年 監督・脚本/シアン・ヘダー 出演/エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、マーリー・マトリン、ダニエル・デュラント 

耳の聞こえない家族たちの絆に泣ける!
主人公は、高校生のルビー。ろうあの両親と兄と生活し、ただひとり耳が聞こえる彼女は家族の“通訳係”だ。一家の仕事は漁業。高校で合唱クラブに入ったルビーは、歌うことの喜びにめざめ、顧問の教師も彼女の才能に気づき……という物語。まわりとのコミュニケーションのために、家族はルビーを頼るしかない。一方でルビーは、高校生活や自分の夢のために時間を使いたい。しかし家族も見捨てられないので、その葛藤に悩まされる。そんなルビーの立場を家族も十分に理解しており、本音と相手への愛で揺れ動くそれぞれのドラマが、暗くならず、基本は軽やかに描かれるので、かえって胸に迫ってくるのだ。

最大の見どころは、家族がルビーの歌をどうやって受け止めるかというエピソード。聞きたいのに聞こえないやるせなさなど、いくつかのステップが用意されるのだが、思わぬ方向から感動を誘う演出があったりする。これらの要素は下手したら、あざとくなるリスクも抱えるが、ルビー役、エミリア・ジョーンズの爽やかすぎる名演技に惹きこまれ、素直に作品に入りこんでしまう感覚。家族を演じるのが、実際に耳の聞こえない俳優たち(母親は『愛は静けさの中に』でオスカー受賞のマーリー・マトリン)なので、リアリティも満点だ。 

 
 




『LION/ライオン 25年目のただいま』
製作年/2016年 原作/サルー・ブライアリー 監督/ガース・デイビス 出演/デブ・パテル、ルーニー・マーラ、ニコール・キッドマン、デビッド・ウェンハム

迷子になった5歳の少年の過酷な運命!
映画で感動する理由に、フィクションか、実話かは関係ない。ただし、実話と聞くと「こんなことが本当にあったのか?」という驚きが、感動にプラス作用を起こすのも事実。『LION/ライオン 25年目のただいま』は、まさにそんな一作。5歳で迷子になったインドの少年が、オーストラリア人夫婦に養子として迎え入れられ、サルーという名で成長。25年後、大人になった彼が、インドの家族への思いをよみがえらせ、何とか探せないか考えた末に、助けを借りたのはGoogle Earth(グーグルアース)! わずかな記憶を頼りに、サルーは自分が生まれた町を特定しようとする。

この『LION〜』は、いくつもの段階で感動がもたらされるスタイルになっている。まず前半は、インドの町で兄と離ればなれになったサルーの、過酷な運命に胸を締めつけられる。5歳の少年が数々の危険な瞬間に見舞われつつ、命が救われ、新しい家族が見つかるプロセスに引きこまれる。オーストラリアの大人のパートでは、サルーが過去にさいなまれながら、恋人との関係に悩む姿が、これまた切ない。そして、インドの家族との再会がどう実現するのか。そこで涙腺が崩壊するのは確実。オーストラリアの養父母の思いも丁寧に描かれるし、養母役のニコール・キッドマンらキャストの演技も誠実。実話感動映画として申し分ない仕上がりだ。 

 
 

 


『ドリーム』
製作年/2016年 原作/マーゴット・リー・シェッタリー 監督/セオドア・メルフィ 出演/タラジ・P・ヘンソン、オクタビア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケビン・コスナー

有人宇宙飛行を影で支えた3人の黒人女性!
アカデミー賞でも作品賞にノミネートされた本作は、原題が『Hidden Figures』。直訳すれが“隠された人物たち”。つまり歴史に埋もれた重要な人たちということで、そこにスポットを当て、知られざる事実で感動させる。その流れがじつにうまく機能した一作だ。アメリカとソ連が宇宙開発を競い合っていた1961年。NASA(アメリカ航空宇宙局)のラングレー研究所で有人宇宙飛行のために、さまざまなデータの数値を計算するエキスパートたちがいた。そこで優秀な能力を発揮した3人の黒人女性にスポットを当て、彼女たちの奮闘をドラマチックに描いていく。

いくら先進的なNASAとはいえ、1961年は人種およびジェンダー差別への意識は発展途上。有色人種用のトイレが仕事場から歩いて5分以上かかるなど、当時の境遇には驚くべき事実がいっぱい。3人の主人公は、あちこちで反発を受けながら、それでも果敢に立ち向かっていく姿が清々しい。アメリカ人で初の宇宙飛行を成功させたジョン・グレンと彼女たちの接点も、じつにエモーショナル。もちろん映画なので多少、事実や時系列が異なる描写もあるが、その分、エンタテインメントとして楽しませてくれる本作。歴史を動かすのは個人の一歩から始まると、『プロジェクトX』的な感動を味わえるはず。 

 
 

 


『遠い空の向こうに』
製作年/1999年 原作/ホーマー・ヒッカム・Jr. 監督/ジョー・ジョンストン 出演/ジェイク・ギレンホール、クリス・クーパー、ローラ・ダーン

仲間や父親との絆に涙する!
『ドリーム』と同じく、宇宙開発につながる物語からの感動作。こちらは人工衛星の打ち上げに興奮した高校生たちの実話だ。1957年、ウエストヴァージニア州の炭鉱町で、ホーマーを中心とした4人の仲間が『ロケット・ボーイズ』を結成。自宅の地下室や、自分たちで作った山小屋でロケット作りにいそしみ、何度も打ち上げに失敗しながらも試作を重ねていく。主人公のホーマーを演じるのはジェイク・ギレンホール。現在、演技派のトップスターとなった彼の、これは最初の代表作。ホーマーは後にNASAのエンジニアになり、彼の回想録が原作になっている。

最大の感動はラストに用意された『遠い空の向こうに』だが、そこに至るまでの過程で多くのポイントがあり、その描かれ方が真摯なので、観ているこちらの感情がじわじわ高ぶっていく。まず重要なのは、仲間との絆。悪友がいたり、科学の天才がいたりと、4人のバランスも絶妙で必ず誰かに感情移入させられる。そしてホーマーと父の関係。息子を炭鉱で働かせたい父と、それに反発するホーマーが、どうやって和解するかは本作の見せ場となる。さらにホーマーを応援する教師の存在もフィーチャーされ、夢を叶えるまでの周囲とのドラマにここまで没入させる作品も珍しい。 

 
 

 


『グリーンブック』
製作年/2018年 監督・脚本/ピーター・ファレリー 出演/ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリニ

真逆な2人のロードムービー!
実話の映画化と聞くと、すべて正確に再現されているかと思われるが、あくまでも映画は“作り物”。実際の出来事にインスパイアされ、かなり脚色された作品も多数。『グリーンブック』はその代表例だ。1960年代、人種差別の意識が色濃いアメリカ南部を、黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーがツアーで巡る物語。ピアニストのドライバー兼ボディガードとして雇われたのが、イタリア系のトニー。天才アーティストで裕福、知的で育ちの良さも感じさせるシャーリーに対し、トニーは気が短く、相手に遠慮しないタイプ。何もかも真逆な2人のロードムービーは、予想どおり彼らに育まれる絆にフォーカスしていく。

『グリーンブック』は基本、コメディ。とくに前半は、シャーリーとトニーのまったく噛み合わない会話やカルチャーギャップで笑わせていく。監督は『メリーに首ったけ』などのピーター・ファレリーなので、きわどいギャグも楽しさに変えるテクニックは抜群だ。しかしツアー先で、シャーリーが黒人であることから不当な扱いを受け、そこにトニーが不満を感じる中盤あたりから胸が痛む瞬間も相次ぎ、温かさと切なさが入り混じったクライマックスが導かれる。トニー役のヴィゴ・モーテンセン、シャーリー役のマハーシャラ・アリが、終盤にかけてドラマチックな演技の変化をみせ、感動を盛り上げる。トニーの息子が製作を手がけ、2人の生涯にわたった友情の事実が映画に刻まれた。 

 
 

 


『ソウル・サーファー』
製作年/2011年 原案・製作・監督・脚本/ショーン・マクナマラ 出演/アナソフィア・ロブ、ヘレン・ハント、デニス・クエイド

左腕を失ったヒロインの復活劇に感動!
不運に巻きこまれても、強い意志さえあれば人生は自分で前に進ませることができる……。そんな事実を教えてくれるのが、実在の人物の再起ストーリー。『ソウル・サーファー』のモデルとなったのは、ハワイのサーファー、ベサニー・ハミルトン。子供時代からサーフィンに親しみ、コンテストでも優勝を重ねた彼女が、13歳の時にサメに襲われて左腕切断という大ケガを負ってしまう。退院して間もなくサーフィンを再開するという不屈の闘志をみせるベサニーだが、かつてのような実力は取り戻せない。しかしタイの津波の被災地でボランティアを行うなど、多くの経験を通して彼女はプロサーファーとして復活する。

青春映画として素直に感動させる本作。ベサニーの失意からの復活、ライバルとのシビアな争い、親友との絆、そしてもちろん家族の支えなどが過不足なくストーリーに散りばめられている。心に残るセリフも多い。「人生はサーフィンに似ている。波に飲み込まれたら、また次の波に乗ればいいのだから」などは、ベサニーの思いとひとつになれば、大いに勇気づけられるはず。そしてハワイのカウアイ島やオアフ島で撮影を行った、雄大な海や大自然の映像も、物語の感動を倍増。サーフィンのシーンではベサニー本人がスタントも務めているし、こうした実話映画によくある、モデルの人物を紹介するエンドロールも、本作は爽やかな後味を残す。 

 
 



『ソフィーの選択』
製作年/1982年 製作・監督/アラン・J・パラク 出演/メリル・ストリープ、ケビン・クライン、ピーター・マクニコル

ソフィーの隠された過去に衝撃を受ける!
1947年、世界大戦の終結から2年後のニューヨーク。小説家を目指して上京した若者スティンゴは、ユダヤ人の生物学者ネイサンと、その恋人でポーランド出身のソフィーと知り合う。ナチスを憎むネイサンは普段は気が良いが、癇癪を起こすこともしばし。そんな彼に寄り添うソフィーには、ナチスの収容所に入れられていた過去が。スティンゴは彼女に心惹かれていくが、ソフィーはネイサンを深く愛しており、一方で決してして癒えない心の傷を抱えていた……。

ウィリアム・スタイロンのピューリッツァー賞に輝く小説を映画化。ネイサンの秘密に加え、ヒロイン、ソフィーの過去がサスペンスフルに解き明かされていく。“何が真実なのか私にもわからない。たくさんの嘘をついてきたから”という彼女の痛ましい“選択”は、観る者の心を動かさずにおかない。ハリウッドを代表する女優メリル・ストリープにとって、ソフィーを演じた本作は初のアカデミー主演女優賞受賞作となった。 

 
 



『イングリッシュ・ペイシェント』
製作年/1996年 原作/マイケル・オンダーチェ 監督・脚本/アンソニー・ミンゲラ 出演/レイフ・ファインズ、ジュリエット・ビノシュ、クリスティン・スコット・トーマス、ウィレム・デフォー

許されぬ恋が男の運命を変える!
1944年、イタリアの野戦病院に全身大火傷を負ったパイロットが運び込まれる。身元もわからず“英国人の患者”と名づけられた、この男の看護に、戦争で恋人や友人を亡くした女性ハナが当たった。記憶を少しずつ取り戻した“英国人の患者”アルマシーが語る過去。英国地理学協会の依頼で、アフリカのサハラ砂漠の地図作りに当たっていた彼は偶然、出会った人妻と許されぬ恋に落ちる。それが彼の運命を変えるとも知らずに……。

アカデミー賞で作品賞など9部門を制した、ミステリアスなドラマ。こちらも主人公の過去を解き明かすことで物語が進む。砂漠での運命的な出会い、熱愛、不倫関係の発覚、そして悲劇へ。貴族の出であるアルマシーの運命の物語はドラマチックで、なおかつ反戦のメッセージも込められており、胸を打つ。彼の話を聞き、影響を受けていく看護師ハナにふんしたジュリエット・ビノシュは、みごとにアカデミー助演女優賞を受賞。 

 
 




『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命』
製作年/2012年 原案・監督・脚本/デレク・シアンフランス 出演/ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、エヴァ・メンデス、ローズ・バーン

親子二代に及ぶ、うねりに満ちた運命!
バイクショーのスタントマン、ルークは昔の恋人が自分の子を産んでいたことを知り、彼らを養うために堅気の仕事に就くがままならず、銀行強盗を画策。しかし逃走に失敗し、若い警官エイブリーに射殺される。十数年後、エイブリーは司法長官選挙に出馬するほどの出世を遂げていたが、子の親であるルークを射殺したことへの後悔の念を抱き続けていた。一方、高校生となった彼らの息子が、たがいの親のことを知らぬまま高校で友人同士となり……。

“親の因果が子に報う”ということわざがあるが、本作はまさにそれを連想させる。警官も強盗も、どちらも息子を愛しているが、彼らが因縁で結ばれ、その息子たちの運命にも影響をあたえる。それは皮肉な結果をもたらしてしまうのか!? ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパーら人気俳優たちの熱演に注目しつつ、親子二代に及ぶ、うねりに満ちた運命の行方を見届けてほしい。 

 
 




『ガープの世界』
製作年/1982年 原作/ジョン・アービング 製作・監督/ジョージ・ロイ・ヒル 出演/ロビン・ウィリアムズ、グレン・クローズ、グレン・クローズ、ヒューム・クローニン 

数奇な人生がユーモアとともに描かれる!
夫はいらないが子どもはほしいという、看護師ジェニーのもとに生まれた男の子ガープ。女手ひとつで育てられた空想好きの彼は、小説の執筆とレスリング、セックスに興味を抱きながら成長。作家としては芽が出ないものの、恋人と結婚して幸福な家庭を築いた。しかし、ガープと妻のそれぞれの浮気がこじれて悲劇が起こる。一方、ジェニーは息子とは裏腹にベストセラー本を出したことで、フェミニストの闘士としてカリスマ視されるようになり……。

ジョン・アーヴィングのベストセラー小説を映画化。瀕死の兵士と無理矢理セックスして子どもを授かった、そんな母の愛を一身に受けて成長する主人公ガープ。性欲とフェミニズムの狭間で、ピンボールのように揺さぶられる彼の数奇な人生がユーモアとともに描かれている。製作から40年を経た映画だが、LGBTに関する議論が活発な今見直すと、新鮮に映るのでは? 当時映画界では芽が出ていなかったロビン・ウィリアムズの出世作でもある。 

 
 




『ビッグフィッシュ』
製作年/2003年 監督/ティム・バートン 脚本/ジョン・オーガスト 出演/ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム・カーター、マリオン・コティヤール

信じられない話はどこまでホント?
ホラ話を語っては、多くの人々を楽しませ、愛されてきた男エドワード。しかし、息子ウィルだけは嘘ばかりつく父を嫌っていた。そんなある日、エドワードの危篤の報を受けた彼は、妊娠中の妻とともに帰省する。巨人と出会った話、戦地でケタ外れの危険な任務に就いた話、そしてウィルの生まれた日に伝説の魚“ビッグ・フィッシュ”を釣った話。父は相変わらず、つくり物の冒険談を語り、ウィルをウンザリさせるが……。

異才ティム・バートンがダニエル・ウォレスの人気小説を映画化。作り話しばかりで、信じられない……そんな思いを父に抱いていた息子が、父の真意に近づいていく。エドワードの話のどこまでがホラなのか明確にはしていないが、そこには確実に“真実”が含まれている。そういう意味では、父の作り話に翻弄されてきた息子の成長談か。クライマックスからにじみ出る、その感動をじっくりと味わってほしい。 

 
 

 
タイ洞窟遭難事故の奇跡の救出劇に心震える!アマゾン プライム・ビデオ『13人の命』

『13人の命』アマゾン プライム・ビデオで配信中
製作・監督/ロン・ハワード 脚本/ウィリアム・ニコルソン 出演/ヴィゴ・モーテンセン、コリン・ファレル、ジョエル・エドガートン、トム・ベイトマン 配信/アマゾン プライム・ビデオ

奇跡の救出劇が胸を打つ!
2018年6月、タイ北部、ミャンマーの国境に近いタムルアン洞窟に、地元のサッカーチームの少年12人とコーチ1人が遊びに出かけた。しかし急な大雨によって大量の水が侵入。13人は洞窟の奥に取り残されてしまう。そのニュースを聞いて世界中から救援チームが駆けつけ、決死の救出劇が開始された。

発生から17日間を克明に描く本作は、最終的な少年たちの運命を知っている人にとっても、改めて手に汗握る緊迫感と、事件の衝撃度を伝えてくれる。少年たちが身動きできなくなったのは、洞窟の入り口から2500mの地点。そこに到達するまで、プロのダイバーでも6時間以上はかかる。まず少年たちの発見、さらに彼らをどうやって洞窟の外に出すかというミッションは、前人未到の過酷な“賭け”でもあった……。

洞窟の奥は酸素濃度がどんどん低下し、食料のなかった少年たちが衰えていく様子などもリアルに再現。洞窟内には、一人がかろうじて通過できるかどうかという狭い場所もあり、岩も突き出ている。わずかな油断で命が危うくなるスリルと、ダイバーたちの必死の動きで、観ているこちらも息苦しくなる瞬間が何度も! そして知られざる事実として心に響くのは、洞窟の外で何とか水の侵入を抑えようとする地元の住民たちの姿。彼らの無償の努力も、クライマックスの怒涛の感動を後押しする。 

 
 

 

『リトル・ダンサー』 

製作年/2000年 監督/スティーヴン・ダルドリー 出演/ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ 


少年の一途な情熱が高らかに跳躍する! 
 

1984年、イギリス北部の炭鉱町で育ったビリーは偶然にもバレエのレッスンを目にして思わず心を奪われる。それをきっかけにはじまるダンスの日々。炭鉱で働く父や兄には内緒で踊り続けるうち、喜びと情熱が抑えきれなくなった彼は、やがてプロを目指してロイヤル・バレエ・スクールを受験したい想いに駆られるがーーー。

折しも各地で炭鉱労働者たちのストライキが加熱する中、ビリーが真剣な思いを伝えようと、父の眼前で披露するダンスのなんと躍動感に満ち感動的なことか。それによって心に火がついたかのように、父や家族、地域社会が一緒になって彼の夢を懸命に応援しはじめる。バレエ教師との交流から受験当日の緊張、合格通知、旅立ちの日の朝、おばあちゃんとの熱い抱擁に至るまで本当に涙の波がいっぱい。その一つ一つが決してありきたりではなく、あらゆる人々の夢の追究や旅立ちを祝福する”普遍性”に達しているからこそ、本作は今なおこれほど愛され続けているのだろう。  

 
 

 



『グリーンマイル』 

製作年/1999年 監督/フランク・ダラボン 出演/トム・ハンクス、マイケル・クラーク・ダンカン

スティーヴン・キングの名作を見事に映像化した奇跡の3時間 
 

『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』と共に“泣けるキング映画”として愛される名作。1930年代の刑務所を舞台に、死刑囚と看守との間で巻き起こる忘れ難い日々を、長尺の中でゆったりと描き出した物語だ。”グリーマイル”とは緑色の通路のこと。囚人たちはそこを通って電気椅子へ向かう。いや、死刑囚だけではない。言うなれば看守も、家族や友人、その他のあらゆる人々も、いつの日か人生を歩み終えて死を迎える意味では、みんな似た存在なのかもしれないーーーそんなキングの深遠な問いかけが聞こえてきそうだ。

トム・ハンクス演じる看守は、”壊れたものを直す”という力を持った死刑囚の無罪を確信しながら、彼を救うことができない。それはまるで人間が抱える重い十字架のようでもあり、観るたびに「神よ、私にはこのグリーンマイルがあまりに長く思えるのです」の一言が様々な響きを伴って染み渡ってくる。そして胸に浮かぶのはマイケル・クラーク・ダンカンの無垢なる笑顔だろう。 

 
 

 



『ライフ・イズ・ビューティフル』 

製作年/1997年 監督/ロベルト・ベニーニ 出演/ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ

父の貫き通した”嘘”が笑いと感動を呼ぶ 
 

時は1939年、イタリア・トスカーナの小さな街で、喋りだすと止まらない陽気な男グイドは可憐なドーラと運命的な恋に落ちる。数年後、二人の間には可愛らしい男の子が誕生。しかし戦況の悪化とユダヤ人迫害によって家族は強制収容所へと送られてしまう・・・。イタリア映画ながら米アカデミー賞3部門(外国語映画賞、主演男優賞、作曲賞)に輝くなど、世界中で感動を呼んだ屈指の名作だ。

「さあゲームのスタートだ!ここではみんな一等賞を目指して競い合ってるんだよ」。父が貫き通すこの優しくも強靭な嘘。いつも周囲をドタバタに巻き込むグイドのお騒がせな人間性が、絶滅収容所という名のこの世の地獄で息子を守るための”愛”へ反転していく様に、胸を射抜かれてやまない。笑いと想像力は絶望の縁で大きな救いとなり、底知れぬ力となる。ある意味、これはチャップリンの『独裁者』(40)にすら並ぶ、笑いと感動の崇高なる一作と言えるのではないだろうか。  

 
 

 



『ミリオンダラー・ベイビー』 

製作年/2004年 監督・出演/クリント・イーストウッド 出演/ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン

名優たちの豊潤なるアンサンブルに涙がこみ上げる 
 

アカデミー賞4冠(作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞)に輝く傑作ヒューマン・ドラマ。ボクシングでのし上がることを夢見るマギーは、自分を鍛えてほしいと老トレーナーのフランキーに懇願する。何度断ってもあきらめないその執念と情熱に彼はやがて折れ、二人は厳しいトレーニングを開始。すると、彼女は一試合ごとにメキメキと頭角をあらわにし、大注目の選手へと成長していくのだがーーー。

数々の名作で歴史に残る”対決”を生み出してきたイーストウッドだけに、本作のリング上におけるファイトシーンの醸成はさすがの凄みが漂う。が、我々が涙を堪えきれなくなるのは、舞台を病室へと変える後半からではないだろうか。リングを降りても命の闘いは続く。父娘にも似た絆を育む二人。静かに、それでいて実に力強く交錯する互いの感情。そっと見守るモーガン・フリーマンの姿。もはや言葉は要らない。まるで映画の神様が宿ったかのような豊潤な香りと味わいをじっくりと味わいたい。  

 
 

 


『海を飛ぶ夢』
製作年/2004年 監督:アレハンドロ・アメナバール 出演:ハビエル・バルデム、ベレン・ルエダ

生きることの意味を問いかける重厚作 
 


抜けるような青空と、優しく照りつける陽光に彩られた眩い一作。海の事故で脊椎を損傷したラモンはもう28年ものあいだベッドで寝たきりの生活を続けている。顔にはいつも笑みを絶やさず、目を閉じればそこには無限の想像力が広がる。かくも本作には生命讃歌と呼ぶべき活力が満ち満ちている一方、ラモンは長きにわたって自らの尊厳死を求め続けている人物でもある。このパラドックスが彼の人間性をより立体的に浮かび上がらせていく。

彼は言う。「決して障がいを理由に死ぬのではない。私はあくまで一人の人間として、自らの意志で人生に終止符を打つ権利を得たいのだ」と。賛否は大きく割れる。スペイン国内の世論も揺れる。彼をサポートする家族や知人たちの中でも意見は分かれる。常に開放的なラモンの生き様を名優ハビエル・バルデムが力強く演じ、「生命とは?」「人生とは?」という崇高なテーマを観る者に柔らかく問いかけた感動作。アカデミー賞では外国語映画賞に輝いた。
 

 
 


少年の君

『少年の君』

製作年/2019年 監督:デレク・ツァン 出演:チョウ・ドンユイ、イー・ヤンチェンシー

苛烈な受験戦争と壮絶なイジメの狭間で育むピュアすぎる絆に涙する!
大学受験を控えた高3のある日、同級生がいじめを苦に自殺した。この衝撃的な事件を前に誰もが無関心を決め込む中、優等生のチェン・ニェンが次なるターゲットとなり、陰湿ないじめはなおも続く。「受験さえ終われば、この地獄から抜け出せる」と必死に耐え忍ぶ彼女。そんな矢先、道すがらチンピラ集団から蹴られ殴られる不良青年を目撃し、とっさに彼を救おうとしたことで思いがけない交流がはじまる。チェン・ニェンは不良青年に「私を守ってほしい」と依頼し、彼は少し離れた場所から見守る守護天使のような存在となっていき…‥。

受験戦争、いじめ問題、青少年の非行といった現代的なテーマをいくつも盛り込み、単にドラマチックなだけでなく、驚くほど丹念かつ繊細な筆致で織り上げた本作。住む世界が全く違う二人が誰よりも深く互いを想い合い、数々の試練を乗り越えながら、受験や富や成功や名誉を超えた掛け替えのない絆を結んでいくさまが胸を打つ。中国では興行的に大ヒットを記録し、香港アカデミー賞8冠を獲得するほか本場の米アカデミー賞でも国際長編映画賞ノミネートを果たした。 

 
 

 
ケス

『ケス』

製作年/1969年 監督/ケン・ローチ 出演/デヴィッド・ブラッドレイ、リン・ベリー

空を舞うハヤブサと行き場のない少年の対比があまりに切ない!
イギリスの労働者階級や移民問題をテーマに重厚な映画を撮り続ける巨匠ケン・ローチによるキャリア初期の傑作。炭鉱の町バーンズリーで暮らす少年ビリーはいつも一人ぼっちだ。父は幼い頃に蒸発し、母はかまってくれず、横暴な兄とはいつも口論ばかり。学校では教師に叱られ、いびられ、同級生とのケンカも絶えない。そんなある日、ハヤブサの雛を見つけたことで、これまで笑顔という笑顔を浮かべることもなかった日常に光が射しはじめる。彼は雛をケスと名付け、本などで学びながら地道に飼いならしていくのだが…‥。

演技経験のない現地の人々を多く起用して、素朴な味わいを地道かつ穏やかに引き出した本作。広大な丘から望む景色はさも少年ビリーの人生を決定づけているかのようで、眼前にはいつも巨大な炭鉱が横たわり、しかしいざケスを放つと思うがままに羽根を広げ、気高く空を舞う。この対比の素晴らしさ。しかし学校も社会もビリーの才能や個性には全く目もくれることはない。その現実を切々と映し出すローチならではの手法が冴え渡る。 

 
 

 


『タクシー運転手 約束は海を越えて』

製作年/2017年 監督/チャン・フン 脚本/オム・ユナ 出演/ソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン、ユ・へジン、リュ・ジュンヨル

タクシー運転手の心の変化に胸が熱くなる!
ソウルのタクシー運転手・マンソプ(ソン・ガンホ)は高額の謝礼につられ、ドイツ人ジャーナリストのピーター(トーマス・クレッチマン)を乗せて光州を目指す。数々の検問を切り抜け、光州にたどり着いた2人だったが、そこは民主化を求める市民と軍が衝突する危険地帯と化していて……。

1980年の韓国で起きた光州事件にまつわる物語を、平凡なタクシー運転手の目線から描いたヒューマンストーリー。激しい闘争を目の当たりにしていく中、自らの使命感と向き合うようになるタクシー運転手の変化が熱い。事件を報道しようと尽力するドイツ人記者との国境を超えた友情にも、涙腺を刺激されてしまうはず。 

  

 


『私の頭の中の消しゴム』
製作年/2004年 監督・脚本/イ・ジェハン 出演/チョン・ウソン、ソン・イェジン、ペク・チョンハク

ソン・イェジン出演の号泣ラヴストーリー!
天真爛漫な社長令嬢のスジン(ソン・イェジン)は、建築家志望のチョルス(チョン・ウソン)と運命的に出会い、すぐさま恋におちる。スジンの献身的な愛はチョルスの孤独な心を癒し、やがて2人は結婚。その幸せな暮らしは永遠に続くかと思われたが、あるときからスジンは物忘れがひどくなり……。

若年性アルツハイマーで記憶を失っていく妻と、妻を一心に支える夫の愛を描いた珠玉のラヴストーリー。チョン・ウソンとソン・イェジンのリアルな演技が観客の心をわしづかみにし、公開当時の日本を涙で濡らす事態に。ロマンティックな愛の芽生えから一転、深刻な展開の描写も真摯で、タイムレスな感動を呼ぶ。 

  

 


『建築学概論』
製作年/2012年 監督・脚本/イ・ヨンジュ 出演/オム・テウン、ハン・ガイン、イ・ジェフン、ペ・スジ

静かな涙を誘うラストが印象的!
建築家のスンミン(オム・テウン)の前に、大学時代に一目惚れしたソヨン(ハン・ガイン)が現れる。15年ぶりに会ったソヨンは、スンミンに家の設計を依頼。再び一緒の時間を過ごす中で、スンミンは初恋の記憶をよみがえらせていくが……。

建築家の男性と初恋相手が織りなす物語を、過去と現在を交錯させながら綴るラヴストーリー。奥手な大学生の初恋がただただ甘酸っぱさを感じさせる一方、大人になった2人を描く現在にはもどかしさやしっとり感も。大学時代を『模範タクシー』のイ・ジェフンと『イ・ドゥナ!』のペ・スジが演じているのも見どころ。過ぎし青春の尊さを感じさせるラストが静かな涙を誘う。 

  

 


『サニー 永遠の仲間たち』
製作年/2011年 監督・脚本/カン・ヒョンチョル 出演/シム・ウンギョン、カン・ソラ、キム・ミニョン、パク・チンジュ

笑って泣ける感動作!
主婦として幸せな毎日を送るナミ(ユ・ホジョン)は、高校時代の親友チュナ(チン・ヒギョン)と再会。25年ぶりに会ったチュナはガンを患っており、余命2カ月の状態だった。ナミはチュナの最後の願いを叶えるため、高校時代の仲間たちを捜しはじめるが……。

40代になった女性たちが青春を謳歌し合った仲間との再会を通し、人生において大切なものと向き合っていく友情ドラマ。仲間たちを訪ねる旅が繰り広げられる現在と、夢や希望に満ちた高校時代。それら2つの物語が、彼女たちの青春を彩った80年代のヒットソングとともに綴られていく。人生の美しさと揺るぎない友情に、笑いと温かい涙が浮かぶ感動作。 

  

 


『82年生まれ、キム・ジヨン』
製作年/2019年 原作/チョ・ナムジュ 監督/キム・ドヨン 出演/チョン・ユミ、コン・ユ、キム・ミギョン、コン・ミンジョン

主人公ジヨンの物語にグッとくる!
結婚と出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われる日々を送るジヨン(チョン・ユミ)。妻として、母として徐々に追い詰められていくジヨンはやがて、不可解な言動を取りはじめる。そんな妻を前に、夫のデヒョン(コン・ユ)はなす術もなく……。

現代の韓国を生きる女性の息苦しさを描き、日本でも共感を呼んだベストセラー小説を映画化。現在のジヨンにつきまとう痛みや苦しみを見つめながら、少女時代に味わった生きづらさ、家族の中ですら感じる女性としての理不尽な負い目、社会に出て気づく困難や疎外感などを1つ1つすくい上げていく。そんなジヨンの物語にはヒリヒリとした涙がこぼれるが、ラストには希望も。
 

  

 


『レナードの朝』
製作年/1990年 原作/オリバー・サックス 監督/ペニー・マーシャル 脚本/スティーヴン・ザイリアン 出演/ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズ、ジョン・ハード

ヒューマンドラマの金字塔!
1969年、内向的で研究者肌の精神科医セイヤーがブロンクスの病院に赴任。嗜眠性脳炎で眠り続けている患者レナードに興味を抱いた彼は、その脳波に反応があることを知り、新薬を投与し続ける。やがてレナードが25年ぶりに目を覚ますという奇跡が起こった。病に奪われた時間を取り戻すように人生を謳歌する彼の姿は、セイヤーの日常にも変化をあたえる。だが、しだいに副作用がレナードの肉体をむしばみはじめ……。

舞台劇化もされたノンフィクションに基づき、医師と難病患者の交流を見つめたヒューマンドラマ。覚醒後のレナードの姿を通して、生きる幸せが謳いあげられる。一方で、そんな彼に接することで、他人との関わりを避けてきたセイヤーの“めざめ”も深い感動を呼び起こす。アカデミー賞では作品賞など3部門にノミネート。ロバート・デ・ニーロとロビン・アウィリアムズの名優共演も見逃せない。
 

  

 


『ゴースト/ニューヨークの幻』
製作年/1990年 監督/ジェリー・ザッカー 脚本/ブルース・ジョエル・ルービン 出演/パトリック・スウェイジ、デミ・ムーア、ウーピー・ゴールドバーグ

ロマンチックファンタジーの傑作!
恋人モリ―と同棲をはじめた矢先、暴漢によって命を奪われた銀行員サム。幽霊となって現世をさまよう彼は、自分を殺した犯人が銀行の汚職と関わっており、モリ―の身にも危険が迫っていることを知る。しかし、彼の姿は人には見えず、それを伝えるすべがない。いかがわしい商売をしている女性霊媒師に自分の存在を知らせることに成功したサムは、彼女の協力を得て、最愛の人を守ろうと奔走する。

世界中で大ヒットを飛ばしたロマンチックファンタジーの大定番。ゴーストになってもなお愛する人を守ろうとする主人公のひたむきさはもちろん、恋人に触れたくても触れ合うことのできない切なさも印象的で、ラヴストーリーとしての味わいも深い。1965年のヒット曲で、ライチャス・ブラザースの珠玉のバラード『アンチェインド・メロディ』も効果的にフィーチャーされ、情感を盛り立てる。
 

  

 


『50回目のファーストキス』
製作年/2004年 監督/ピーター・シーガル 脚本/ジョージ・ウィング 出演/ドリュー・バリモア、アダム・サンドラー、ロブ・シュナイダー

切ないラヴストーリーに涙する!
水族館で働くプレイボーイのヘンリーはある朝、行きつけのダイナーでルーシーという女性と出会い、意気投合して翌日も会う約束を交わす。ところが、次の朝のルーシーはヘンリーとは初対面であると言って譲らない。じつは彼女は1年前の交通事故により、記憶が1日しかもたない障がいを抱えていた。それでもヘンリーは屈託のないルーシーを忘れられず、ルーシーの家族の信頼を得て、彼女に愛を語り続ける。

『ウェディング・シンガー』に続いてアダム・サンドラーとドリュー・バリモアが共演したロマンチックコメディ。お笑いの場面は多いが、根幹をなすラヴストーリーはなかなか切ない。ルーシーのためにふたりの愛の軌跡をビデオにして送るヘンリーの一途さや、自分の障がいを知ったうえで彼の想いに応えようとするルーシーの健気さ。クライマックスに向かうほど、恋心がどんどん胸に迫ってくる。同名の日本版リメイク作と見比べるのも一興。
 

  

 


『パーフェクト ワールド』
製作年/1993年 監督・出演/クリント・イーストウッド 脚本/ジョン・リー・ハンコック 出演/ケヴィン・コスナー、ローラ・ダーン

哀切な結末に泣く!
脱獄囚のブッチは囚人仲間と逃げ込んだ民家でフィリップという幼い少年を人質に取り、逃亡を続けることに。しかし、フィリップに暴力を振るう仲間に我慢ができず、射殺してしまう。数々の悪事に手を染めてきたブッチだが根はやさしく、厳格過ぎる母に育てられてきたフィリップもそんな彼になついていく。一方、ブッチの若い頃を知っている老保安官のレッドは、ある思いを抱いて行方を追い続け……。

巨匠クリント・イーストウッドが監督を務めたロードムービーの傑作。脱獄囚と少年が逃亡の旅の中で、たがいの孤独を寄せ合い、絆を育んでいく。犯罪者であっても悪人ではないブッチの物語の一方で、若い頃の彼を少年院に送り非行に走らせたことを悔やんでいるレッドの追跡劇が重なる。誰もがパーフェクトワールドを求めているが、人間は間違う生き物だ。そんな現実に裏打ちされた哀切な結末は、涙なしでは見られない。
 

  

 


『ワンダー 君は太陽』
製作年/2017年 原作/R・J・パラシオ監督・脚本/スティーヴン・チョボウスキー 出演/ジュリア・ロバーツ、ジェイコブ・トレンブレイ、オーウェン・ウィルソン、マンディ・パティンキン

オギーの頑張りに涙腺崩壊!
病気と手術により、顔が変形してしまった男の子オギー。10歳になった彼は両親に背中を押され、初めて学校に通いはじめた。案の定、そこでイジメの対象となり、オギーは落ち込んでしまう。それでも少しずつ友人ができていき、両親や姉のサポートを受け、少しずつ学校になじんでいくオギー。明るさを失わずにいようとする彼の姿勢は、周囲にも影響をあたえるようになり……。

子どもたちの目線に重きを置き、ポジティブな生を問うヒューマンドラマ。容姿面のハンデを負いながらも、自分の居場所をしだいに築いていくオギーの頑張り。そんな彼を支える友人たちや家族の愛情。人と人のつながりを見据え物語は、社会の理想的なあり方を浮き彫りにしているようで興味深く、また味わいも深い。オギーの母にふんしたジュリア・ロバーツの好助演も光る。
 

  

 

 
Information

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文=斉藤博昭、渡邉ひかる、相馬学、牛津厚信 text:Hiroaki Saito、Hikaru Watanabe、Manabu Souma、Atunobu Ushizu
photo by AFLO
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