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2020.03.09


若きシェイパーは’60年代の申し子⁉

注目の若手シェイパーの1人として知名度を上げているクリス。’60年代のクラシックなボードに魅せられ、10代の頃からシェイピングを学んできた早熟の天才だ。有名サーフショップをはじめ、ヨーロッパや日本などから殺到するオーダーを、日々こなしている。そんな現在に至るまでの、短くも濃いサーフヒストリーを見ていこう。

●今月のサーファー
クリス・ホール[KRISS HALL]

ティーンの頃から’60年代オタク


レジェンドと呼ばれるサーファーたちは、幼少期にサーフィンデビューしていることがほとんど。とはいえ、クリスほど幼い頃から波乗りに親しんでいるケースはなかなかレアかも。というのも、彼のサーフィンデビューはわずか2歳。サーファーの父から手ほどきを受け、波乗りをはじめたという。

「最初はマンハッタンビーチで父と一緒に練習していたんだ。鮮明には覚えていないけれど、幼いながらに少しずつ上達することに喜びを感じていたよ」

時間があれば海に通いスキルを磨いたというクリス。ティーンエージャーになる頃には、ビーチで注目を集めるほどの腕前に。それと同時に、父の影響でクラシックなロングボードに乗ることがこだわりになっていたと語る。

「父がいつも’60年代のサーフシーンの素晴らしさについて語っていたんだ。自分たちで納得のいくサーフボードを作っていた当時のサーファーのように、いつかこの手で自分のボードを削りたいと、夢を抱くようになったんだ」

彼の当時の憧れの人を聞いてみると、フィル・エドワーズ、デューイ・ウェーバー、ランス・カーソンなど、’60年代をメインに活躍したシェイパー兼サーファーばかり。クリスの世代からするとかなり渋いラインナップのように思えるが、彼にとっては当然のメンツだったのかもしれない。

やがて高校に入るとサーフチームに所属し、ほぼ毎日のように波乗りに明け暮れるようになったクリス。憧れのレジェンドやシェイパーの映像を見て彼らのライディングを研究。自身のフォームや板の動かし方に取り入れ、自分なりに昇華しようと試みる毎日だったという。そんな末に完成した彼のパフォーマンスは、「フィル・エドワーズとショーン・オブライアンのライディングを見事に取り入れ自分のものにしている」と、あるローカル誌から賞賛も送られている。地元・ハモサビーチでの注目度が上がるにつれ、複数のブランドスポンサーも獲得。そんな、サーファーとしてのキャリアを順調に歩んでいたクリスが、シェイパーの道へ進むようになったきっかけは、軽い気持ちで地元のファクトリーを見学したことだった。


「理想のボードを削ってみたい」


当時のサーフチームのアシスタントコーチが、ある日連れていってくれたローカルのファクトリー。そこに入っていたシェイプルームで働く1人のシェイパーの仕事ぶりが、クリスはどうしても気になった。勇気を出して話しかけてみると、興味があるなら教えてあげるよ、と答えてくれたのだそう。そのシェイパーこそが、クリスの師匠となるダン(〈ダン・コブレイ・サーフボード〉のオーナー)だった。

「昔から、’60年代レジェンドのように波乗りも理想のシェイピングもできたら、周囲からリスペクトされ一目置かれるようになると思っていたんだ。あそこでダンに話しかけたのも、そんな考えがどこかにあったからだと思う」

今ではすっかり一人前となったクリス。クラシックなスタイルを継承するボードは、クオリティが高いと業界でも評判だ。

「僕のボードは細部にわたり’50~ ’60年代のボードを手本にしつつ、自分なりにアップデイトさせたスタイルだよ。優秀なボードを作るべく常にテストライディングを繰り返して研究しているんだ」

“ジャズピン”“デイリーカップ”“マネーメイカー”というユニークなネーミングが冠された彼のボードたち。特に“ジャズピン”は彼のシグネチャーモデルとして人気で、ピンテイルを巧みに取り入れたボードなのだとか。

そんな彼のボードの魅力は、機械で大量生産されているボードでは味わえないもの。マシンシェイプのボードも多い昨今、ハンドシェイプにこだわる若手シェイパーも増えている。そのシーンを牽引する存在が、まさしくクリス。彼らの出現により波乗りのルーツが見直され、レトロなスタイルに戻る若手サーファーも増えているという。

「海にはいろんなタイプのサーファーがいて、それぞれのボードで楽しんでいる。彼らを観察するのもある意味、勉強になっているよ」

そう語りつつも、むやみやたらにボードの種類は増やさず品質をキープ。カスタムも必要最低限に抑え、ボード本来の個性を損なわないようにしているとこだわりを語ってくれた。

サーフパートナーは最愛の妻

クリスの朝は早い。たいてい4 ~ 5時には起床し、はじめにシェイプルームのあるファクトリーへと向かい数時間ほど作業する。いち段落して波があれば、近くの海で朝サーフィンを楽しみ、再びファクトリーに戻りランチをとる。彼の妻、テイラーが時間のあるときは、彼女とランチをとり、その後、日が暮れるまでボードビルドに没頭する。オーダーが多いときは夜遅くまで残るときもあるが、なるべくディナーの時間には帰宅するように心掛けているそう。仕事以外はほとんど彼女と一緒にいることが多く、周囲からはナイスカップルとの声が絶えない。

「僕が16歳、彼女が14歳のときに地元の海で出会ったんだ。一緒に波乗りを楽しむようになって、それ以降ずっと一緒にいるね。サーフィンだけでなく、いろんなアクティビティを2人で一緒に楽しんでいるよ」

また休みの日には、彼女とサーフトリップにも。なかでもサンオノフレはよく訪れる2人のお気に入りサーフスポット。ここでは一日中ビーチでハングアウトするのがお決まりだそう。

「先週はバハ・カリフォルニア(メキシコ)のサンミゲルでサーフィンを楽しんだんだ。波は思ったより小さかったけれど、道中の風景やキャンプなどロードトリップを満喫したよ」

基本的には、そんな楽しい時間を共有することが多いが、ビジネス面や精神的な部分でも彼女からのサポートが大きいそうだ。

そんなシェイパー界の若き才能の次なるプロジェクトは、今年の秋、フランスのビアリッツにボードシェイプしに行くこと。もちろん、妻のテイラーと一緒に、だそうだ。

ホームポイントはココ!
ハモサビーチ[HERMOSA BEACH]
LAXからクルマで15分ほどのお洒落なビーチ。かつてはLAサーフカルチャーの中心だった。基本的にはビーチブレイクでピア脇に波が立ち、ロング~ショートを楽しめる。冬のオフショアな日はチューブができることもある。


自身のボードのロゴも’60年代風のクラシックなタイポグラフィーを思わせるデザイン。メッセージもお洒落


シェイプルームで真剣に作業中のクリス。ブランクスにテンプレートを当てがいアウトラインを描いているところ


自身のレトロなボードとマッチするフィンもオリジナルで製作



休憩時間はシェイプルーム隣の〈サイプレスサーフショップ〉で師匠のダンとビリヤードを楽しむ


気分転換にギターをプレイ。いつでも弾けるようにギターはクルマの中に常に置いてある。不定期だが友人と一緒にライブも行っているそう

最愛の妻テイラーとはどこへ行くのも一緒。彼女はクリスの親友でもあり癒しの存在だ

 
Information

雑誌『Safari』4月号 P220・221掲載

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