富山の旬の郷土料理と手の込んだお酒にぐっと酔いしれる
富山・砺波市にある〈楽土庵〉は、“アズマダチ”と呼ばれる富山の伝統的な民家を生かした、1日3組限定のスモール・ラグジュアリーな宿。併設する和食レストラン〈寧 nei〉で味わえる “現代の郷土料理”は、国内外のゲストに絶賛されている。
世界中から人々が訪れる、富山の〈楽土庵〉。土・木・和紙・絹といった天然素材を使い、周囲の自然環境や歴史と繋がる空間と、民藝、工芸や現代アートの設えが調和する宿として、広く知られている。
そして2025年10月、開業3周年を迎えたのを機にレストランをリニューアル。富山の食材を生かした“現代の郷土料理”=郷味(きょうみ)をテーマとする和食レストラン〈寧 nei〉をオープンした。ランチ、ディナーともに宿泊者に限らず、富山の旬を堪能できるダイニングとして開かれている。
築200年の古民家を再生した宿〈楽土庵〉
大きく作られたガラス窓からの自然を目に食事ができる。全20席
和食の技を使い食材そのものの魅力を最大限に引き出す野菜料理。また、散居村の民家にある屋敷林(カイニョ)の間伐材などを薪として使い火入れする、富山の山海の幸。どちらも富山をはじめとする北陸の食材と食文化の知恵を生かしている。まさに“現代の郷土料理”が味わえる。
“コース寧”(1万3200円~)はその日の仕入れによって内容・品数が変わるが、およそ、Prologue、前菜、椀物、冷菜、温菜、魚料理、肉料理、食事、デザートという流れ。一緒にオーダーした “ハーフペアリング“(4杯5500円〈“IWA 5”含む〉)は、その日の料理や食材、ゲストの好みによってカスタマイズされる。
“コース寧”より“Prologue”(かぶらずし)
まずは、“Prologue”(かぶらずし)。一般的には、塩漬けしたかぶら(かぶ)に塩漬けしたぶりを挟んだ、北陸を代表する伝統的発酵食品。けれどこちらは、生のぶりに塩味を加え、麹をまとわせた浅漬けのかぶで挟んだ、至極、爽やかな味わい。これからのコースの展開に期待が高まる。
本日の1杯目は、同じ砺波市にある〈三郎丸蒸留所〉の“サンシャインウィスキー”の水割り。こちらは、1週間ほど前からこの地の水を加えて割り水にしてある。同じエリアで作られたウイスキーと水は馴染みもいい。ひと品目の“青利 雲丹”とともに味わう。スモーキーな香りにこだわったウイスキーと、薪火の香りを纏った、あおりいかのマッチングでコースはスタート!
コースより“朝採れ鰤”
“朝採れ鰤”は、脂の乗った鰤をしゃぶしゃぶに。ほんの少し火が入った鰤の甘みと旨みを存分に。寄り添うのは、福井の黒龍酒造が手がける〈ESHIKOTO〉の“行雲流水 五百万石 純米大吟醸”。優しくふくよかな旨味、ほんのりとした苦みを感じ、飲んだ後はすっきりとした味わい。
コースより“香の物”
“香の物”は、クラフトビールにさっと漬けたかぶ、酒粕を纏わせた生ハムのほか、ぴりっと辛いなす、春菊のベビーリーフなどを合わせ、シソと梅が香るサラダ仕立てに。一緒に味わったのは、富山県南砺市のワイナリー、ドメーヌ・ボーの“タテノガハラ プリムール2023”。できる限り自然のままに育成したシャルドネと日本酒醸造に使われる酵母を使って醸す。とても穏やかな酸、ふくよかさが印象的だ。春菊のベビーリーフなど料理に使われているハーブ類の産地と同じエリアで育まれたワイン。

コースより“蟹真薯”
ぷりっと弾力のある蟹真薯をひと口。ソースはコースで使った食材の未利用部位を煮詰めた、魚介主体のブロススープ。この濃厚な味わいには、かつて〈ドンペリニヨン〉の5代目醸造責任者であった、リシャール・ジェフロワさんが日本で手がける日本酒〈IWA 5〉を合わせた。複数の日本酒をアッサンブラージュし、旨味を重ねて作られる日本酒と料理との旨味の相乗効果はかつて味わったことのない体験となった。
濱多雄太シェフは、日本料理店で研鑽を積み、2016年に地元・富山で自身の店をオープン。オーナーシェフとして手がけた2店舗はいずれも北陸ミシュランガイドに掲載され、RED U-35 や Gault & Millau 2019 に選出されている。そして、なんと日本に36名しかいない“名誉唎酒師”の最年少認定者で、〈IWA〉のアンバサダーでもある。日本酒に合うという視点での料理が出されるのも楽しみのひとつだ。
コースより、メインの肉料理“むぎや豚”
魚介をはじめとする豊かな富山の恵み、そして発酵文化の知恵が詰まった和食のコースは、とても軽やかで繊細。この地味・滋味深い現代の郷土料理、予約が殺到しないうちに、是非味わってほしい。
⚫︎寧 nei
住所:富山県砺波市野村島645 楽土庵内
営業時間:ランチ11:30~13:00(最終入店)、ディナー18:00~20:00(最終入店)
定休日:月曜・火曜のランチ、火曜のディナー(祝日の場合は営業、翌水曜休)、不定休あり
TEL:0763-77-3999
URL:https://www.rakudoan.jp/
※ディナーはサービス料10%別。
●はまだふくこの発見! 料理とお酒のベストマッチング!の記事をもっと読みたい人はコチラ!
●『Safari』公式 Instagram(@safarimagazine_official)もチェック!
ライフスタイルジャーナリスト
美酒と美食はもちろん、ホテル、ビューティ、インテリアなどライフスタイル全般を得意とする。現在はラグジュアリーメディア、ビジネス誌、ホテル専門誌など幅広い媒体に寄稿。美味しいもの探求家でもあり、日々のシャンパーニュは欠かせない。






































































