〈ハトス バー〉の“BBQポーク”
イタリア料理をベースにした独自の表現とカウンターのライブ感で、多くの食通を惹きつけてやまない恵比寿〈ゴロシタ.〉。東京に限らず、地方、海外を食べ歩く料理人界きっての食いしん坊・長谷川慎シェフが、知る人ぞ知るメディア初登場の一軒を紹介してくれた。
- SERIES:
- 注目シェフが教える感動の「名店メニュー」 vol.07
BBQポーク ロイン バック リブス(コースの一品。フル6200円、ハーフ3200円)
長時間燻してじっくり火を入れる伝統的な製法で作られるBBQは、しっとりとした柔らかさが格別。表面のクリスピーさとのコントラストがリズムになり、迫力の塊だが意外なほどするする食べ進んでしまう(写真はハーフ)
オススメしてくれたのはこの人!
〈ゴロシタ.〉長谷川 慎シェフ
食欲をダイレクトに刺激する旨いもん劇場
「イタリアンの枠を超えた料理」といっても、昨今のモダンガストロノミーのトレンドとは一線を画す。各地の郷土の味と日本料理の素材使い、その双方を舌と手で深く追求した皿は、潔くシンプルで最高地点の旨さを突いてくる。目も楽しませてくれる劇場型カウンターで。
住所:東京都渋谷区恵比寿南1-18-9 タイムゾーンヒルトップビル4F-A
営業時間:18:30~20:30L.O
休日:不定休
TEL: 03- 5794-8568
URL:ebisu-golosita.tokyo/
長谷川シェフ
ありそうでなかなかない本格BBQ
今年春にはイギリス、スペイン、イタリアで約2週間、食べ歩きの旅をした長谷川慎シェフ。インプットのためには距離もコストも厭わず、が身上だ。どの地に行っても求めるのは“絶対にそこでしか食べられない味”。
「東京は美味しいものがたくさんあるけれど、絶対的にユニークな味というのが実はあまりない。その文脈で思い出すのがこちらの料理なんです」
はじめて訪れたのは8年前、お客さんを通じてオーナーと知り合ったのがきっかけ。
「なんだこの旨さは!と驚きました。肉の脂が多かったり、ソースの風味だけ似せて肉が頼りなかったりと、国内で旨いバーベキュー料理に当たったことがなかったので。バックリブは極上部位で、赤身と脂身のバランスがよく、食べ応え十分。どこまでも柔らかいのに、煮込みとはまたひと味違う、肉の味がぎゅっと閉じこめられた火入れは感動的。店が推すビールと一緒に、が正解です」
家城シェフ
伝統的なアメリカの味を忠実に再現
厨房を任されているのは、アメリカ在住経験もある家城聡シェフ。
「ソウルフードなので地域ごとに使う肉の種類や部位も違えば、ソースを含めた味つけも違います。自分で足を運んで食べたものからベストを選び、肉の種類部位それぞれに合った味つけ、調理方法でお出ししています」
シンプルな料理ゆえ、素材や道具選び、火入れの手法など、ひとつひとつの要素がダイレクトに味に出るという。
「特注で作った鉄製の窯で午前11時から火を入れ、低温で5~6時間燻すことで、ほどよい燻香と肉の柔らかさを楽しんでいただけるよう焼き上げます。仕上がる少し前から、スパイスを効かせたソースを重ねて塗り、表面から芯部にかけて味わいのレイヤーを出すのもポイントです」
手でほおばるカジュアルな料理だが、シンプルかつ豪快な一皿にかけられた手間とこだわりは想像以上。外国人客にも大人気、常連客で混み合うのも納得だ。
Check1 スモークピット
10年前の開業時からメンテナンスしつつ使い続ける特注スモークピット。ロインバックは肩ロースから続く骨付きの背肉で、米国の指定生産者から取り寄せたものを使用している
Check2 レアなクラフトビール
自社でアメリカ産クラフトビールの輸入も行っている。BBQに合うアイテムが揃うほか、ここでしか飲むことができないレアものに出合えることも。ボトルビールは1000円~
HATOS BAR[ハトス バー]
再開発が進む中目黒の中でも変わらない街並みを残す一画。18時のオープン直後から満員御礼の賑わいぶりを見せるのがここ〈ハトス バー〉である。アメリアカ南部のソウルフードとして親しまれてきた本格BBQ料理の店として2009年にオープン。甘辛いソースの味つけだけでなく、肉の部位選びから長時間かけて行う火入れまで徹底し、オーセンティックな味を伝えている。タップで6アイテム、ボトルで約20アイテムのクラフトビールの品揃えも秀逸で、ビール好きの間でも有名。まさに大人の隠れ家のような雰囲気。
●HATOS BAR[ハトス バー]
住所:東京都目黒区中目黒1-3-5 プリンスコーポ106
営業時間:18:00~翌1:00
休日:日曜
TEL:03-6452-4505
URL:http://hatosbar.org/
雑誌『Safari』10月号 P244・245掲載
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photo : Jiro Otani text : Kei Sasaki