楽園のような空間でとびきりの懐石料理が楽しめる〈アマン京都〉鷹庵!
〈アマン京都〉は静謐な森に包まれたラグジュアリーホテル。市の中心部の喧騒から離れ、山から湧き出る小川のせせらぎや鳥のさえずりが心を癒やしてくれる。こんな楽園のような空間で、とびきりの美食も楽しめる。日本料理の〈鷹庵〉では、二十四節気という考え方のもと、その時期に最も美味しい食材を使い、最も美味しい料理に仕上げている。
総料理長の髙木慎一朗さん
総料理長を務めるのは、髙木慎一朗さん。大学卒業後〈京都吉兆〉で修業し、1996年に実家である金沢の料亭〈銭屋〉に戻り、2008年に2代目主人に就任した。ミシュランガイドで2つ星を獲得し、2020年4月に〈鷹庵〉総料理長に就任したという日本を代表する逸材。
髙木さんの料理を最大限に体験したいのなら、ディナーコースの懐石料理“天”(4万円)をチョイスしたい。9品前後から構成されたコースになっていて、日本の四季を存分に味わえる。2週間程度で新しくなり、常に最旬を堪能できるのが嬉しい。取材時のコースを紹介しよう。
“ひろっこ 烏賊 鰯 水前寺のり 菜の花 酢味噌和え”
先付は“ひろっこ 烏賊 鰯 水前寺のり 菜の花 酢味噌和え”。アサツキの若芽である“ひろっこ”を用いた“ファーストディッシュ”で、アサツキと菜の花の青い滋味、赤貝と鰯が醸す潮の香りが、よいコントラスト。
“焼胡麻豆腐 蒸し鮑”
“焼胡麻豆腐 蒸し鮑”は体が芯から温まる椀盛。目の前で汁を入れられ、香気が心地よく広がる。鮑の磯の香りと弾力が出色で、生姜がピリっとしたアクセント。輪島塗の艶やかな椀が、目も楽しませてくれる。
“河豚 白子 煮凝り”
造里は2回にわけてサーブ。“河豚 白子 煮凝り”は、河豚の薄造り“てっさ”に、その白子と煮凝りも堪能できて、非常に贅沢。コンディメントは、ちり酢(=ポン酢醤油)に加えて、オリーブオイルと塩も添えられる。塩をつけてからオリーブオイルに軽く浸すと、醤油では体験できない、和洋折衷の“新食味”に。
“甘海老 梅貝”
“甘海老 梅貝”は驚きのプレゼンテーション。ショープレートとしても登場した中村卓夫氏の琳派をモチーフにした器が趣向を変え、刺身を盛り付けるというサプライズな演出で再登場。甘海老は氷に漬けて寝かせているので、甘味が引き出されていて、ねっとりと妖艶なテクスチャー。白の梅貝は、鮮度抜群なので、サクサクとして小気味いい。
“雲丹蕎麦”
箸休として提供されたのが、“雲丹蕎麦”。真っ白な更科蕎麦は、出汁がなく、塩だけで味付けされている。食味に定評のある北海道“浜中 小川のうに”がのせられているので、よく混ぜて食すといい。この後には、真鱈の白子を用いた“雲子茹で上げ”がレンゲにのせて提供される。雲丹に劣らない濃厚さがあるものの、さっぱりとした後口。“雲子茹で上げ”
“真名鰹幽庵焼き 編み笠柚子”
魚料理は“真名鰹幽庵焼き 編み笠柚子”。通常の鰹幽庵焼きとは異なり、柑橘の酸味には、髙木さんが2日間かけて作ったオリジナルの“柚子ピール”が添えられる。真魚鰹は適度な弾力を残していて、上味もたっぷり。
“平井牛ザブトンたれ焼き トリュフ”
メインディッシュは、京都のブランド黒毛和牛である平井牛を用いた“平井牛ザブトンたれ焼き トリュフ”。たれ焼きによって味わいが多層化され、目の前で惜しげもなく削られたトリュフの幽香が和牛香に複雑さをもたらす。次いで出される“諸江芹炒め”は、香り高くてみずみずしいので、口直しに完璧。“諸江芹炒め”
“鶏と九条葱 赤出汁 香の物”の土鍋ご飯
“鶏と九条葱 赤出汁 香の物”は締めのご飯。鶏肉の慎ましやかな旨味に、ふんだんに加えられた九条葱の凝縮された香味がよく合う。
“せとか 古都華”
果物は愛媛県の柑橘“せとか”と奈良県のイチゴ“古都華”という極みのブランドフルーツで、最後の菓子は、カラッと揚げたホクホクのムカゴ。“むかご”
髙木さんの創造的な料理にぴったりなのは、マネージャーでソムリエの七黒祥二郎さんがおすすめする日本酒やワイン。“ペアリング”(1万2000円~)では5種類のワインや日本酒をマリアージュしてくれる。ノンアルコールでもペアリングしてくれるので、お酒を飲まない人も注文してみて。左から、“シャルトーニュ・タイエ キュヴェ サンタンヌ ブリュット”、“陰翳 - in/ei - Ver.4.0”、“アイ・ブランド・アンド・ファミリー ラ・マレーア アルバリーニョ 2023”、“日日 秋津山田錦”
“シャルトーニュ・タイエ キュヴェ サンタンヌ ブリュット”はバランスのとれた辛口のシャンパーニュ。エレガントな香りが心地よく、華やかな味わいも感じられる。京都府にある〈竹野酒造〉の“陰翳 - in/ei - Ver.4.0”は、丁寧に醸した日本酒。とろっとした舌触りから、爽やかな酸味や旨味が広がる。“アイ・ブランド・アンド・ファミリー ラ・マレーア アルバリーニョ 2023”はアメリカの白ワインで、白桃やミネラル感が存分に体験できる。“日日 秋津山田錦”も京都府にある〈日々醸造〉のお酒で、完成されたバランス感が素晴らしい。最上級の酒造好適米である“山田錦”のポテンシャルが引き出されていて、どんな料理にも寄り添う。
カウンター席、テーブル席はお好みで
カウンター10席、テーブル24席という広い空間。前者では臨場感あふれるダイニング体験ができて、後者では落ち着いたセミプライベートな雰囲気の中で食事ができる。
〈鷹庵〉で格別な懐石料理を体験するためだけに、京都に足を運んでみる価値あり!
●懐石料理“天” 4万円
・先付
ひろっこ 烏賊 鰯 水前寺のり 菜の花 酢味噌和え
・椀盛
焼胡麻豆腐 蒸し鮑
・造里
河豚 白子 煮凝り
甘海老 梅貝
・箸休
雲丹蕎麦
・強肴
雲子茹で上げ
・焼物
真名鰹幽庵焼き 編み笠柚子
平井牛ザブトンたれ焼き トリュフ
諸江芹炒め
・御飯
鶏と九条葱 赤出汁 香の物
・果物
せとか 古都華
・菓子
むかご
●〈アマン京都〉鷹庵
住所:京都府京都市北区大北山鷲峯町1 アマン京都 1F
営業時間:12.00~15:00(13:00LO)、18:00~22:00(20:00LO)
TEL:075-496-1335
URL:https://www.takaan.jp/
※サービス料込み
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1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。