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CULTURE カルチャー

2024.04.13

アノ映画のファッションに憧れて。Vol.41
『ゾンビランド』のタープハット。



ルーベン・フライシャー監督のゾンビコメディ『ゾンビランド』(2009年)は、地上にゾンビが溢れ返るディストピアを舞台に、偶然出会った4人の男女がユートピアを目指して旅するロードムービーだ。面白いのは、ジェシー・アイゼンバーグ扮するサバイバーの一人、大学生のコロンバスが作った”ゾンビの世界で生き残るための32のルール”が、旅の途中で効力を発揮する点。2度撃ちしてトドメを刺せとか、人の集まる場所は避けろとか、人を見たらゾンビと思えとか、いちいち過去のゾンビ映画を踏襲しているところが笑える。
 

 
旅の仲間たちも個性的だ。生き残るためなら嘘をつくことも厭わない詐欺師姉妹、ウィチタ(エマ・ストーン)とリトル・ロック(アビゲイル・ブレスリン)、そして、過去の苦い経験からゾンビ殲滅に異常な執念を燃やすタラハシーのキャラ設定は、演じるウディ・ハレルソンの怪演にも助けられ終始場をさらいまくる。ゾンビを心底軽蔑していて彼らを殺したり拷問したりすることを楽しんでいる感じなんて、この映画の世界観にピッタリだ。
 
  

 


だからだろうか、本作でハレルソンが着るコスチュームにまで注目が集まり、タラハシーの衣装を解説したYouTubeや、タラハシーになるための衣装コーデガイドがウェブ上にアップされたりもしている。ディテールを上から下の順番で紹介しよう。まず、リサイクル素材で作られた〈THE REAL DEAL BRAZIL〉のタープハット(カウボーイ風)、〈アメリカン・アパレル〉製のVネックシャツ、〈リーバイス〉のデニム(32×34)、レザーのカウボーイブーツ、レザーベルト(38インチ)、そして、聖人の証が描かれたロケット。衣装はいかにもディストピア風のダメージが施されていて、見過ごしそうだがリアリティ満点だ。ハレルソンも衣装について、『かつてここまで一生懸命に衣装作りに取り組んだことはない』とコメントしている。その最たるものは前記のタラハシーが被る帽子だ。この帽子、〈THE REAL DEAL BRAZIL〉が貨物トラックの防水シートと古いトラックタイヤのワイヤーをリサイクルしてブラジルの工場で手作りした物だとか。それは、環境保護活動家としても知られるハレルソン自身の強い思いの表れであり、映画が描く環境破壊というテーマにも通じるアイデアだ。
 

  

 


映画がクランクアップした直後、ニューヨークのラガーディア空港に降り立ったハレルソンは、待ち構えていたカメラマンと口論になってメディアを騒がせた。その時の言い訳は、『タラハシーがまだ抜けてなかったから』というものだった。意外になりきり派。トラブルメーカーとしても知られるウディ・ハレルソンの生き方と環境に対する意識が衣装に投影されたのが『ゾンビランド』なのだ。

『ゾンビランド』
製作年/2009年 監督/ルーベン・フライシャー 脚本/レット・リース、ポール・ワーニック 出演/ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーン、アビゲイル・ブレスリン、ビル・マーレイ

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文=清藤秀人 text:Kiyoto Hideto
Photo by AFLO
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