映画『もしもの愛』 イ・チャンドンが描く闇の感情にハラハラする!
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『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞で作品賞に輝いて以来、毎年のように世界的に注目が集まる韓国映画が出現している。今年はどの作品なのか? 次のアカデミー賞国際長編映画部門の韓国代表に選ばれた『もしもの愛』で決まりだろう。
9月のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)に輝いた本作は、2組の夫婦の運命が思わぬかたちで重なっていく。ジャンルで分けるなら一応、ヒューマンドラマになるのだが、どちらかといえば危険でセンセーショナルなイメージが濃厚。物語がどんな方向に導かれるか、まったく予想できない流れなうえに、観ながら心が動揺してしまう瞬間が何度も訪れる。2組の夫婦とは、長年勤めた会社を解雇されたホソクと、その妻のミオク、そしてドキュメンタリー映画監督のイェジと、どこか洗練された雰囲気の夫サンウ。企業の不当な行為を訴える映画を作ろうと、イェジはホソクとミオクに取材をはじめる。撮影には応じたくない夫に代わり、ミオクが協力することになり、彼女とイェジは深い友情で結ばれていくが……。
監督は『ペパーミント・キャンディー』や『シークレット・サンシャイン』のイ・チャンドン。現在の韓国映画を代表する名匠で、その作風を知っている人なら、一筋縄でいかない展開に期待が高まるはず。そして今回は、その期待を軽々と超えて、嫉妬心やプライド、憧れ、弱さ、邪悪な欲など人間の心に眠る数々の“闇”の感情がストーリーとともに炙り出される感覚。これがなかなかスリリング! ミオクの家族と、イェジの家族の“格差”も重要なトピックになり、このあたりは『パラサイト』の2つの家族とも重なるが、エンタメ的な味もあった同作とは完全に別のテイストなのもイ・チャンドンらしい。ホソク役が『ペパーミント・キャンディー』のソル・ギョング、ミオク役が『シークレット・サンシャイン』のチョン・ドヨンなので、監督との信頼感からか、明らかに次元の違う名演技を披露。イェジ役のチョ・ヨジョンは『パラサイト』での役柄(お金持ち側の妻)とシンクロするのも味わい深い。人にとって、本当の幸せとは何なのか? 映画を観る人のこれまでの経験、性格によって答えが分かれるはずで、そこも本作の凄さだ
『もしもの愛』10月23日公開
監督・脚本/イ・チャンドン 脚本/オ・ジョンミ 出演/チョン・ドヨン、ソル・ギョング、チョ・インソン、チョ・ヨジョン 配給/日活/KDDI
2023年/韓国/上映時間144分
©Lewis Pictures All Rights Reserved







































































