〈ブルガリ〉ブルガリ・ブルガリ BVLGARI “BVLGARI BVLGARI”
幅広のベゼルに、BVLGARIの文字を上下にダブルで刻む。 ブルガリ・ブルガリは、ブルガリ ウォッチ最初のヒット作。 極めてアイコニックな外観は、エレガントかつスポーティで、 時代を超えて愛され続けるロングセラーとなった。
❶ベゼルのダブルロゴ
外観を最も特徴づけるデザインコードが、これ。この下の写真にあるのはブルガリが1960年代にジュエリーに用いた古代ローマ時代のコインで、その周囲に都市名が取り囲んでいる様子から、インスピレーションを得た。
❷シリンダー型ケース
ベゼルとケースサイドとが垂直に切り立つ、 シンプルなシリンダー型が長く用いられてきた。現行モデルは、2006年に初採用されたシリンダー型を上下にわずかにカーブさせたフォルムによって、フィット感を高めている。
❸12・6のアラビア数字
インデックスの12と6とをスリムなアラビア数字とし、それら以外はバーインデックスに。 前身であるブルガリ・ローマ(P. 246参照)で試みられたダイヤルデザインは、以降多くのコレクションで使われるデザインコードに。
名作時計には、ひと目でそれとわかるアイコニックかつ美しいデザインが不可欠だ。ブルガリ・ブルガリにおけるそれは、むろんベゼルに刻んだダブルロゴである。初代誕生は、1977年。 ダイヤルではなくベゼルにロゴを置くという試みは、実に大胆。同時にシンプルなシリンダー型ケースやスリムな時分針とインデックスなど、エレガントな印象も兼ね備えていたブルガリ・ブルガリは、当初ローマ本店のみの販売だったが、予想以上の反響を受け、世界各地のブティックへ販路を広げてゆくこととなる。
1977年:初代モデル登場!
まずローマ本店のみで販売された初代ブルガリ・ブルガリ。ダイヤルにロゴはなく、ベゼルのみ2つのBVLGARIの文字を置くスタイルだった。4つのサイズが展開され、 30m防水と実用性も高かった。事実上のブルガリ初のウォッチコレクションでもあり、のちにニューヨーク、モンテカルロ、ジュネーブのブティックでも販売された
こうしてブルガリウォッチ最初のヒット作となったブルガリ・ブルガリからは、多くの話題作が登場する。極めて斬新なクリエーションが最初に試みられたのは、1993年。漆黒の外観が与えられた、その限定モデルのケースは、なんとプラスチック製だった。〈ブルガリ〉は、今あるレジン(樹脂)系ケースの先駆者でもあったのだ。
1993年:限定モデル登場!
美麗な外観を持つプラスチック製ケースの限定モデルは、 今あるブラックウォッチの先駆けでもあった。リュウズが、ゴールド製。修理時の代用品として貸し出していた時計は、その原型だとか。初代ブルガリ・ブルガリはクォーツだったが、これはブランド初の自動巻き搭載モデル
そして1998年には、新たなケース素材としてアルミニウムを採用。ベゼルをラバー製とし、異素材の組み合わせでも時代の先を行った、 その名もずばり"ブルガリ アルミニウム"は、世界的な大ヒットモデルとなった。また2001年にはパーペチュアルカレンダー、2004年にトゥールビヨンと、複雑時計もラインナップ。2006年に登場した"ブルガリ・ブルガリ パワーリザーブ"では、スリムなベゼルと上下に湾曲した新フォルムが、生まれた。
1998年:アルミニウムを採用!
ブルガリ・ブルガリのデザインを受け継ぐベゼルをラバーで造作。ラバーストラップと一体化する幅広のラグが備わるケースは、アルミニウム製。極めて斬新な素材使いで時計界の常識を覆した〝ブルガリ アルミニウム〞は、空前の大ヒット作となった。誕生時にアリタリア航空とコラボし、ボーイング747の機体をアルミ色に染め、ブルガリアルミニウムを描いた
当時、ムーブメントやケース、ダイヤルなどの工房を傘下に収めていったブルガリは2010年、垂直統合し"ウォッチ メーカー宣言"を果たす。そして2013年、ブルガリ・ブルガリに待望の自社製ムーブメントが搭載された。素材でもムーブメントでも、新たな試みに挑み続けたことで、ブルガリ・ブリガリは、ロングセラーモデルとなったのだ。
2013年:自社製ムーブメント搭載
2006年に限定モデルで試みられた湾曲フォルムをコレクション全体に採用し、刷新。ベゼルもややスリムになって、エレガントさを増した。外装のフルリニューアルに伴い、自社製初の量産型ムーブメントCal.BVL 19(1 現 Cal. ソロテンポ)を搭載。回転効率に優れる両方向巻き上げの自動巻きで、テンプを両サイドから支える頑強な設計も特徴の1つだ
ブルガリ・ブルガリには、実はその前身となったモデルがある。 1975年に100個だけが作られたデジタル式のノベルティウォッチと、 その翌年誕生したアナログ式の〝ブルガリ・ローマ〞である。 いずれも幅広のベゼルの上部にBVLGARIの文字が刻まれ、さらにアナログ式のダイヤルは、ブルガリ・ブルガリに酷似する。 ブルガリのウォッチコレクションは、これら2つのモデルにはじまり、 ブルガリ・ブルガリへと進化して、一気に名声を獲得したのだ。
ブルガリ ウォッチの物語は、1975年にはじまる。この年のクリスマスイブ、ローマの本店で選ばれし上顧客100名にノベルティウォッチが贈られた。当時最新であったLCD式のデジタルウォッチで、シリンダー型ケースのベゼルには、BVLGARIとROMA、2つの文字が打刻されていた。非売品であり、わずか100個が配られただけにもかかわらず、この時計は大きな反響を呼んだ。
ブルガリは1918年から女性用のブレスレットウォッチを製作しているが、限られた顧客に向けたものだった。そしてノベルティウォッチの反響に手応えを感じ、本格的に時計市場に参入することを決意する。
クォーツショックのさなかであり、デジタル時計が全盛期を迎えていた1975年、上顧客に向けた、このノベルティウォッチが100本製作された。デジタル式だったため、ブランドのロゴはベゼルに移され、これが大きな評判を呼んだ。ストラップは麻の組み紐製で、当時のファッショントレンドを取り入れていた
翌年、デジタル時計で用いられたケースのフォルムを受け継いだ機械式時計が誕生。その幅広のベゼルには、やはりBVLGARIとROMAの文字が新たな書体で刻まれていた。モチーフとしたのは、前述した古代ローマのコインに加え、ローマ建築物の円柱。ダイヤルは、ブラック。スリムな時分針だけが備わり、インデックスはバーを主体に12と6のアラビア数字の組み合わせ。
このローマ本店限定販売だった"ブルガリ・ローマ"こそが、ブルガリ・ ブルガリの前身である。そのデザインを手掛けたのは、かのジェラルド・ジェンタというのが、長く定説だった。幅広のベゼルは、1970年代にジェンタが好んだデザインである。そして実際に当時、 彼は〈ブルガリ〉にコンタクトを取っていたとの記録も残る。
デジタル式のノベルティウォッチのケースを受け継いだ機械式時計が、翌年に誕生。幅広いベゼルに、新たな書体BVLGARI ROMAの文字がクッキリと刻まれている。プレーンな2針モデルはカジュアルかつエレガント。これをベースにブルガリ・ブルガリは生まれた
しかしブルガリ・ロ ーマがジェンタデザインとする明快な資料はなく、アドバイザー程度の関わりだったともいわれている。真偽のほどはさておき、ブルガリ・ローマは翌年に丁寧に焼き直され、ROMAに代わってBVLGARIのダブルロゴに改めたブルガリ・ブリガリが誕生。ブルガリ ウォッチの快進撃は、こうしてはじまった。
うってつけ!
ファン待望の新作時計が、ついに登場した! 長らくカタログから姿を消していた、〝ブルガリ アルミニウム〞が復活したのだ。 前述のようにブルガリ・ブルガリのコンセプトを受け継ぎながら、よりスポーティに仕立て直した軽量なアルミニウムケースやラバー製ベゼルは、 むろんそのまま継承し、機械式ムーブメントを搭載。 アルミニウムとラバー素材の堅牢性も格段にアップし、100m防水も頼もしい。
ケース径 40mm、自動巻き、アルミニウムケース、ラバー+アルミニウ ムブレス。31万5000円(ブルガリ/ブルガリ ジャパン)
1998年の初代の姿を、ほぼそのまま継承。一方ケースを拡大し、 ブラックダイヤルとの組み合わせで精悍に装った。
ケース径40mm、自動巻き、アルミニウムケース、ラバー+アルミニウムブレス。31万5000円(ブルガリ/ブルガリ ジャパン)
ウォームグレーのダイヤルは、より初代に近い。リュウズと裏蓋はDLC 仕上げのチタン製。
ケース径40mm、自動巻き、アルミニウムケース、ラバー+アルミニウムブレス。 45万5000円(ブルガリ/ブルガリ ジャパン)
機械式クロノもラインナップ。黒いインダイヤルが浮き立つ姿は、サーキットに似合う。
ブルガリ・ブルガリの新作は、刺激的な9つの都市にオマージュを捧げる。選ばれたのは、ローマ、ミラノ、ドバイ、パリ、ロンドン、メキシコシティ、イビサ、ニューヨーク、そして東京。ダブルロゴの下側を欧文の各都市名に置き換えた〝ブルガリ・ブルガリ シティーズ限定モデル〞である。SSをDLC加工 した漆黒のケースとゴールドカラーのリュウズの組み合わせは、前出のプラスチック製限定モデルから着想を得た。都市ごとに異なるアーティストが手掛けたアートプリントとのセットなのも魅力。
背景に写るのがアートプリントで、これはローマを讃える。ストラップは工具なしで交換可能。ケース径41mm、自動巻き、SSケース、カーフストラップ(ラバーストラッ プ付属)。46万5000円(ブルガリ/ブルガリ ジャパン)
●ブルガリジャパン
TEL:03-6362-0100