【7選】初夏の涼を滝に求めて!
巡りくる季節の楽しみや喜びを、世界中を旅するように感じたい。そんな一期一会の四季の絶景やイベントを、お届けする新連載。第1回のテーマは、涼を感じる滝。新緑が輝き、次第に汗ばんでくる初夏は、清涼な音と飛沫を感じるにはもってこい。どこかの滝を訪れてみませんか?
- SERIES:
- 春夏秋冬 季節のトラベラー! vol.1
アルゼンチン/ブラジル
アルゼンチンとブラジルに跨る世界三大瀑布のひとつ。イグアスの滝とは、周辺に点在する大小275の滝の総称。滝幅は約4.5㎞、水量は毎秒6万5千トンと世界最大量。ハイライトは最大落差80m超の“悪魔の喉笛”。遊歩道やボートツアーですぐ目の前まで行けるものの、マイナスイオンを浴びるというよりは全身ずぶ濡れ!
ベネズエラ
地球最後の秘境とされるギアナ高地。断崖絶壁のテーブルマウンテン、アウヤンテプイから流れ落ちる滝がエンジェルフォールだ。落差979mは世界最大。東京タワー3本分に当たる。あまりの落差により、滝は途中で霧となり、なんと滝壺が存在しない。アクセスは小型ボートで川を遡るか、セスナ機で上空から眺めるか。
日本
大分県豊後大野市緒方町に広がるのどかな田園地帯に、突如として現れる幅約120m、高さ約20mの半円形の滝。周囲の静かな風景から一変する、ダイナミズムが魅力的。9万年前に起きた阿蘇山大噴火による溶結凝灰岩が崩落してできたとか。日本の滝100選にも選ばれ、滝の正面に架かる吊り橋からの眺めも壮観!
アイスランド
北欧の島国アイスランドの荒涼とした大地を流れ落ちる落差約60mの名瀑。滝壺の裏側まで回りこめる遊歩道があり、アイスランドの大空と北大西洋をバックにした“裏見の滝”はまさに絶景。太陽の光が差し込むと、ダブル(時にはトリプル)レインボウが現れることも。あたり一面がグリーンに染まる夏がベストシーズン。
ジンバブエ/ザンビア
アフリカ大陸南東部、ザンベジ川中流部にある幅約1.7㎞、高さ約108mの大瀑布。落下口がほぼ一直線ゆえ、滝はまるで1枚の水のカーテンのよう。耳をつんざくほどの轟音から、現地では“モシ・オ・トゥニャ(雷鳴とどろく水煙)”と呼ばれ、畏怖の対象とされる。
日本
熊本・黒川温泉からクルマで約20分。某緑茶のCMで一躍人気となった名所。幅約20m、高さ約10mのこぢんまりとした滝だが、カーテンのように流れ落ちる水が木漏れ日に反射するさまは、息をのむほど神秘的。滝の裏側からのランドスケープも最高。入園は事前予約制。
ガイアナ
国土の8割が未開とされる熱帯雨林の秘境、ガイアナ共和国。その奥深くを流れるポタロ川が生んだ巨大な滝がこちら。落差は約226m。直瀑(一段の滝)としては世界最大だ。アクセスは小型セスナのみ。未舗装の滑走路に着陸し、滝のすぐ目の前まで近づくことが可能。
自然の生命力を感じる
科学的な根拠はわからないけれど、人類が滝に惹かれるのは、歴史的に見ても世界共通の事実。滝はときに人々を癒し、ときに驚愕させ、ときに涼を運ぶ名所となってきた。
たとえばアルゼンチンとブラジルの国境にある、イグアスの滝。マチュピチュやウユニ塩湖と並んで“死ぬまでに行きたい南米の絶景”として、世界中からツーリストが押し寄せている。ちなみにアメリカのルーズベルト大統領夫人はイグアスのダイナミックな絶景を目の前にして、「かわいそうなナイアガラ……」と自国の名瀑との違いにため息を漏らしたとか。
一方、滝には旅好き・冒険好きの『サファリ』読者を魅了してやまないアドベンチャー的側面も強い。アフリカの未開の地に潜むヴィクトリアの滝を再発見したのは探検家リヴィングストンだし、エンジェルフォールの名前の由来になったのは探検家のジミー・エンジェルだ。
秘境の大瀑布は、ワイルドな大自然も含めて、超大迫力。それゆえ先住民たちは滝に対して畏怖の念を抱き、先住民たちの伝説が色濃く残る。滝を見るためだけに旅に出る。そんな強烈な磁力を持っているといえるだろう。優美で清涼なものから、轟音を上げて落ちる猛々しいものまで、滝の表情は千差万別。暑さを吹き飛ばす、この季節の滝の絶景は、自然が作り出した最高のエンターテイメントなのかも。
雑誌『Safari』6月号 P85~90掲載
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text : Takehisa Mashimo photo by AFLO