【ヨセミテ国立公園】驚くべき自然の造形はまるで神が作り出したアート作品!
ジョン・ミューアが国立公園の理念を唱えたのがヨセミテ渓谷。自然保護発祥の地といえるヨセミテには、想像を超える美しさの岩、滝、川が連なる。世界中の人々を惹きつけてやまない別世界へ案内しよう!
- SERIES:
- アメリカ ナショナルパークへの旅! vol.4
カリフォルニア州
ヨセミテ国立公園
ビューポイントによって角度が異なるハーフドームが楽しめる。頂上へのハイキング・トレイルも人気。ヨセミテ渓谷の象徴的存在だ
ヨセミテ国立公園は、知名度、人気、内容、どれをとってもトップクラス。年間400万人が訪れる世界でも有数の観光デスティネーション。その一方で、雪に閉ざされる期間が長く、ベストシーズンが6~8月と短いのが難点。有名ポイントの混雑は避けられない。
観光の中心は、ヨセミテ・ヴァレー。氷河の移動によって削り取られた渓谷に素晴らしい自然のアートが立ち並ぶ。ドーム状の岩の半分だけが残ったハーフドーム、約1㎞の高さの一枚岩エル・キャピタン、北米一といわれる740mの落差を持つヨセミテ滝など、一度は見てみたい絶景が狭いエリアに集中している。
名所を回るには無料の巡回バスが便利。効率よく回れば、1日の観光でも主要ポイントはカバーできる。ヴァレーに次ぐおすすめエリアは、パークを横断するタイオガロードだ。シエラネバダ山脈の亜高山帯を行くドライブは、雪をいただく霊峰と透明な湖が作る異次元世界の連続となる。
その中でも、標高約2500mに広がるトゥルム・メドウの美しさは感動的。潤沢な地下水を得て咲く花々と、そこにすむ鳥や昆虫が作る大きなエコシステムの景観は特別だ。この自然の牧草地帯にはレベルに合わせたトレイルが数多く用意されている。是非とも体験してほしい。
3つめの観光エリアとして挙げたいのがマリポサ・グローブ。ヨセミテ・ヴァレーの喧騒とは対照的にセコイアの森が静かに広がっている。ひときわそそり立つグリズリー・ジャイアントと名づけられた巨木は一見の価値がある。
また、ヨセミテ・ヴァレーからドライブでマリポサに行くなら、途中のトンネルビューとグレーシアポイントを忘れずに回ってほしい。ヨセミテの有名ポイントを一望するパノラマに思わず息を呑むはずだ。
クックス・メドウと3段階に流れ落ちるヨセミテ滝。ビレッジからすぐにこの景色が見られる
美しい湿地帯のトレイルコース
シエラネバダのトレイルを歩いていて、誰もがはっと息を呑むのがメドゥと呼ばれる自然の牧草地。薄暗い森から明るい陽が差し込むメドウに出ると気持ちが高揚する。タイオガロードのトゥオルム・メドウはその代表。ペイントブラッシュなど様々な高山植物が風景を彩る。日程に余裕がない人は、ビレッジの近くのクックス・メドウがいい。
一度は泊まりたい4つ星ホテル!
ヨセミテ国立公園内に宿泊するなら、是非クラシック・ホテルを選びたい。便利なヨセミテ・ビレッジにありながら、喧騒から離れて立つ1927年創業の〈ジ アワニー〉は重厚感が漂う。パーク内の花崗岩を使った建築もさることながら、特に評判が高いのがグレートラウンジと呼ばれるロビー。ネイティブ・アメリカンのラグ、クラシックな窓、彫刻などが美しい。お茶を飲みにいくだけでも価値はある。ギフトショップには地元アーティストの作品が所蔵され、大切な人への贈りものに最適だ。
●ジ アワニー
住所:1 Ahwahnee Drive, YOSEMITE NATIONAL PARK, Yosemite, CA, 95389
TEL:+1-602-278-8888
URL:https://www.travelyosemite.com/lodging/the-ahwahnee/
公園の歴史を学べる体験型博物館!
パーク内にはヨセミテの歴史を学べる博物館がいくつもある。〈ヨセミテ・ミュージアム・アンド・インディアン・ビレッジ〉では、1850年代からヨセミテ・ヴァレーに暮らしたネイティブ、アワニーの文化を紹介している。バスケット作りやビーズ・ワークのデモンストレーションもあり家族で楽しめる。また、マリポサの〈パオニア・ヨセミテ・ヒストリー・センター〉では先人たちの開拓の歴史が展示されている。
センターおすすめヨセミテ滝トレイルへ!
ヨセミテに足を踏み入れたら、まずはビレッジを散策したい。ビジターセンターで無料バスの路線図を手に入れ、博物館、写真家アンセル・アダムスを記念するギャラリー、レストラン、ギフトショップを見てまわろう。ロワ・ヨセミテ・フォールは400mの初心者向けトレイルだが迫力満点。アッパー・フォールは一転して1日がかりの難コース。しっかりした装備が必要だ。
世界最大の一枚岩はクライマーの聖地!
素晴らしい景観が並ぶヴァレーの中で、ひときわ聳え立つのが世界最大の一枚岩、エル・キャピタンだ。見上げると小さな点に見えるのが、なんとロッククライマーたち。1958年に初登頂が記録されて以来、世界中から猛者が集まる。ヴァレービューやサウスサイド・ドライブにはクライマーを見物するための有名ポイントも存在する。夜間にはクライマーのヘッドライトが点々と見える。
TEL:+1-209-372-0200
URL:https://www.nps.gov/yose
開園:年中無休
入場料:自動車1台$35、オートバイ1台$30、歩行者・自転車$20(いずれも7日間有効)
国立公園指定:1890年10月1日
面積:約3081㎢
旅の準備
混雑が予想されるので宿泊、ツアーなどの予約は早めにすませておきたい。1日から1週間程度まで楽しめるパークだけに旅のコンセプト作りが重要。
旅のヒント
夏のハイシーズンはとにかく混んで、タイオガロードなどは渋滞が激しくなる。ピークをずらした9月中旬あたりに訪れるのがおすすめ。
注意点
パーク内にはトレイルがたくさんあるが、サンダルで行けるところとトレッキングシューズが必要なところまで様々。計画によってふさわしい装備を整えたい。
ベストシーズン
タイオガロードは標高が高いため雪が深く、開通するのが例年5月末(要確認)になる。メドウに花が咲く6月から8月がもっともきれいな時期となる。
行き方
ヨセミテ・ビレッジまで、ロサンゼルス、サンフランシスコどちらからもクルマで4時間くらい。様々な規模のツアーが数多く企画されている。ヨセミテ・ヴァレー、タイオガロード、マリポサとルートが異なるので注意。
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text : Shintaro Makino photo by AFLO