【エバーグレーズ国立公園】独特のエコシステムに不思議な動植物が楽園を作る、世界有数の亜熱帯大湿原!
北アメリカ大陸の南東、フロリダ半島の先端に大陸唯一の亜熱帯大湿地帯がある。独特のエコシステムが多くの植物や野生動物を守り鳥たちの楽園を作っている。ワニが群れ、ペリカンが飛び、マナティが泳ぐ不思議の国のナショナルパークだ。
- SERIES:
- アメリカ ナショナルパークへの旅! vol.18
フロリダ州
エバーグレーズ国立公園
延々と広がる広大な亜熱帯湿地。ユニークな環境に多くの野生動物や植物が生きている。湧き上がった雲から局地的に雨が降る。これもダイナミックな自然の力だ
フロリダ半島の最南端に広がる他に類を見ない広大な亜熱帯湿地帯。それがエバーグレーズ国立公園だ。この特別な環境には、当然ながら独特のエコシステムが存在する。その中で、700種類の植物、300種類の鳥が生息しているというからすごい。
パーク入り口近くのアンヒンガ・トレイルは800mの短いトレイルだが、ここを歩くだけで自然のパワーを十分に感じることができる。
トレイルから見られるのは、植物や鳥だけではない。湿地に住む小動物や魚をエサにし、食物連鎖の頂点に立つ大型のワニがいる。しかも、折り重なるようにして群れている。この光景は目を疑うばかりだ。野生の動植物についてもっと知りたいなら、ロイヤルパーム・ビジターセンターから出る無料のレンジャーツアーがおすすめだ。
大型動物といえば、海に住むマナティがいる。人魚のモデルになったことで知られる不思議な哺乳類だ。もし、マナティに会いたければ、フラミンゴマリーナから出ているボートツアーに参加するといいだろう。遭遇する確率がかなり高くなるはずだ。また、沖合にはイルカ、ペリカンなどのサンクチュアリもある。
マリーナでは、カヌーやカヤックのレンタルも行っている。水路でしかいけないキャンプ場もある。静かな湿地の中で過ごす特別な経験ができるはずだ。
エバーグレーズ国立公園を訪れるなら、キーウエストも旅程に入れたい。メキシコ湾に突き出す海のハイウエイは、一度は体験したい夢のドライブコースだ。
最後に、季節に触れておこう。この地域は雨季と乾季にはっきりと分かれている。4月から10月の雨季には、水位が上がり行動範囲が狭まるとともに、蚊の大群が発生する。旅行は乾季に限る。
人魚のモデルになったというマナティは、エバーグレーズのアイコン的存在。ボートツアーに参加すれば、その愛らしい姿に遭遇できるかもしれない
珍しい動物たちが!
興奮がおさまらない水上アクティビティ!
パークを存分に楽しむためにはカヌーがおすすめだ。フラミンゴマリーナでカヌーをレンタルすれば、3~12㎞のカヌー用トレイルを紹介してくれる。12㎞のコースで5、6時間の行程となる。そのときに釣り竿と簡単なルアーセットを積んでいくといい。マングローブ、珊瑚、シャローなど、バラエティ富かなポイントで、スヌーク、シートラウト、レッドフィッシュなどが釣れる。また、余裕があれば、水路でしか行けないキャンプ場に泊まるのもいい。
目を凝らすと美しい野鳥たち!
湿地帯の王様、獰猛なワニも目前に!
湿地帯には昆虫、爬虫類、小動物など、様々な生き物が住んでいる。それらを獰猛に捕食する食物連鎖の頂点に君臨するのが、ワニだ。水陸両生のワニにとって、湿地の環境はまさにベストといえる。野生のワニがこれほどの群れを作って生きる姿を見られるところはほかにない。ワニは、口が尖っていて獰猛なクロコダイルと、口先が丸くて比較的おとなしいアリゲーターの2種に分けられるが、エバーグレーズにはその両方が生息している。
ダイビングもできるビスケーン湾!
フロリダ半島先端の東側に大西洋に面したビスケーン国立公園がある。エバーグレーズからはエントランス・シティのホームステッドを挟んで1時間ほどの距離。セットで訪ねてみよう。ビスケーン湾は世界で3番めに大きな珊瑚礁が広がり、ショアにはマングローブの森が茂っている。また、6隻の沈没船があり、ダイビングのスポットとしても人気だ。ビジターセンター近くのコンヴォイ・ポイントから、ダイビング、シュノーケリングのボートツアーが出ている。
電話:+1-305-242-7700
URL:https://www.nps.gov/ever/index.htm
開園:年中無休
入場料:自動車$30、オートバイ$25、自転車・徒歩$15 ※7日間有効
国立公園指定:1947年12月6日
面積:約6102㎢
旅の準備
ハイキングトレイルが少ない代わりに、カヌーやカヤックで気軽に遊べる。レンタルショップが充実しているので、チェックして準備をしておくといい。
旅のヒント
世界的にも有数の湿地帯のエコシステムが楽しめる。特に植物と鳥の種類は多い。ビジターセンターから出る無料のレンジャーツアーがおすすめ。
注意点
ワニがとても多い。あまり動かないので油断しがちだが、近づきすぎると襲われるので注意。マナティやパンサーなど絶滅危惧種との接触も避けるように。
ベストシーズン
4月から10月は雨季、9月から5月は乾季、とはっきりと分かれている。雨季は湿度が高いうえ、蚊の大群が発生する。観光シーズンは乾季に限られる。
行き方
マイアミからアーネスト・F・コー・ビジターセンターまで、わずか80㎞とアクセスは非常に便利。北側にあるもうひとつのエントランス、シャークバレー・ビジターセンターも、ほぼ同じ距離。
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雑誌『Safari』1月号 P196~199掲載
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text : Shintaro Makino photo by AFLO