〈エトロ〉クリエイティブ・ディレクター、マルコ・デ・ヴィンチェンツォに聞く20の質問!
雑誌『Safari』創刊20周年記念企画として、世界を舞台に活躍する人にインタビュー。今回は、〈エトロ〉の新クリエイティブ・ディレクターに就任した、マルコ・デ・ヴィンチェンツォが登場。イタリアファッションの未来を担うと注目され続ける、時代の寵児のその思考とは?
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- 世界で成功した人への20の質問!
Q1 最近感動したことは?
A1 ミラノ・スカラ座でのバレエです。
ブレイクの音楽とともに踊ったウィリアム・フォーサイスのミラノ・スカラ座でのバレエです。1時間の完璧な映像・音響を堪能しました。
Q2 ファッションに興味をもつようになったきっかけは?
A2 直感です。
子供の頃から服のデザインは私のクリエイティビティを解放してくれました。
Q3 子供の頃、夢見た将来(仕事)は?
A3 漫画家。
漫画家になるのが長年の夢でした。今でも漫画やアニメに魅了されています。
Q4 20歳の頃はなにをしていた?
A4 ローマで暮らしていました。
自己肯定感の頂点にいましたね。ファッションを勉強している学生たちと一緒にローマに住んでいました。そのときはじめて、ファッションの夢が具体的に見えてきました。
Q5 クローゼット(ワードローブ)に必ず入っているアイテムは?
A5 デニム、白Tなどです。
私のワードローブはつまらないけど、タイムレス。デニム、白T、黒いレースアップシューズが入っています。
Q6 旅に必ず持っていく洋服や靴は?
A6 特別ありません。
私は、期間や目的地にかかわらず、いつもカバンだけで旅行しています。だから、そのために必要なものを詰め込んでいます。その小さなスペースを埋めること以外には決まりはないです。
Q7 FW23コレクションのキーアイテムは?
A7 レザークロッグ。
オリエンタルな雰囲気のつま先(トウ)が特徴的なレザークロッグ。都会で着用するアーバンアウトドアスタイルに最適です。
上質なカーフレザーを使用することで、クロッグ特有の小僧感は皆無。むしろ、新しいジャンルとして成立する大人のレザークロッグ。ゴールドのビス、ウッドのソールなども相まって、足元にアクセントをつけたい人に抜群の1足。21万4500円(エトロ/エトロ ジャパン)
Q8 過去最大のピンチはなに?
A8 オートクチュールのショーをはじめて開催したとき。
パリではじめてオートクチュールのショーを行ったことです。独立したブランドを立ち上げるというのは、本当に大変なことで、そのときはなにがなんでも成功させたいと思っていました。その日の午後、パリで私の意志と運命が一致したのです。
Q9 オンオフでよく履いている靴は?
A9 レースアップシューズ、スウェードのサボ。
冬はクラシックな〈チャーチ〉のレースアップシューズ、夏は〈ビルケンシュトック〉のスウェードのサボ。ふたつの靴をふたつの季節に履く。これは本当にルールなんです。
Q10 人生で成功するには?
A10 思想を自由にすること。
自由であることだと思います。しかし、なによりも思想の自由は、自分のものだと確信していても、そう簡単に手に入るものではないと思っています。
Q11 仕事や人生に行きづまったとき、どうやって気分転換をしている?
A11 音楽を聴きながらの散歩です。
音楽を聴きながら早足で歩くと、とても楽になります。音楽にはその力があります。
Q12 メンズのワードローブにおいて、Tシャツとは?
A12 日常の一部です。
Tシャツは私の日常、毎日のルーティンの一部です。私のワードローブだけでなく、すべてのワードローブに不可欠な要素だと考えています。
Q13 FW23コレクションで、最も印象的だと思うアイテムは?
A13 オーバーサイズコートとジャカードセーター。
メンズのファーストルックに登場した、ブランケットを思わせる柄のオーバーサイズコートと、サイケデリックな波柄のジャカードセーターです。
右:独特なグラデーションが美しいジャカードセーター。23万9800円 左:色味とデザインでヴィンテージ感を演出するオーバーサイズコート。ダークトーンが多い冬のアクセントに。76万2300円(以上エトロ/エトロ ジャパン)
Q14 なにかコレクションしているものはある?
A14 主に雑貨です。
雑食的に昔のモノを集めています。本格的なコレクションはありませんが、家のあちこちに蚤の市のようになっている場所があります。
独創的なデザインのアイテムが並ぶマルコの自宅。欲しいと思ってもなかなか手が出なそうなアイテムたちを、空間に馴染ませるそのディスプレイ感覚はさすがのひと言。真似したくても真似できないセンスあふれる空間が、自宅には広がっているんだとか。それぞれの用途やどこで購入したかなど、詳細も聞いてみたかった!
Q15 思い出の映画は?
A15 『乾いたローマ』
私の好きなイタリア人監督の1人であるパオロ・ヴィルズィ監督の『乾いたローマ』です。この映画は、イタリアにおける気候変動がもたらす結果を、独創的かつ予兆的な方法で扱っています。
招待されたベネチア国際映画祭でポーズをとる、監督のパオロ・ヴィルズィ。作品は3年間雨が降らないローマで、危急の問題に直面した市民たちを描く群像劇となっている。現代に生きるすべての人々の、“心の渇き”にシニカルに訴えかける
Q16 好きなスポーツはなに?
A16 テニスです。
テニスを見るのが好きです。リラックスできるし、感情移入もできる。それ以外はスポーツマンではありませんが、週に2回、体操の練習をしています。
Q17 雑誌『Safari』についてひと言。
A17 リラックスできるムードが最高です!
20周年、おめでとうございます。『Safari』マガジンのお祝いに参加できて嬉しいです。『Safari』が作り出す、ラグジュアリーでありながらリラックスできるという全体のムードが大好きです!
Q18 改めて、ファッションの魅力とは?
A18 自身を表現し、可能性を広げてくれるところ。
私は中毒という言葉を使いたいと思います。ファッションは、それを作る人にとっても、それを追いかける人にとっても、中毒のようなものです。なぜなら、ファッションは、私たちが自分自身を表現することを可能にし、また、自分自身の可能性を夢見ることができるからです。
Q19 ファッションデザイナー以外に、やってみたかった職業は?
A19 作家です。
本を書いてみたいですね。
Q20 最近、行った国はどこ?
A20 アフリカ。
数カ月前、はじめてアフリカを訪れました。自然が支配する、信じられないような場所です。
限りがない地平線に燃えるような美しい夕日が沈む。人に作られたものはいっさいなく、ただただ本当の自然だけが広がる。マルコはアフリカでなにを思い、なにを感じたのだろう
●エトロ ジャパン
TEL:03-3406-2655
雑誌『Safari』8月号 P49~52掲載
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