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2024.09.21


Vol.23 中村紀洋/生涯現役を貫くスラッガー【MLBの挑戦者たち〜メジャーリーグに挑んだ全日本人選手の足跡】


中村紀洋(なかむら・のりひろ)/1973年7月24日生まれ、大阪府出身。日米通算2106安打404本塁打(1992〜2014年)

NPB通算404本塁打(歴代19位)、1348打点(歴代14位)の記録を残し、日本を代表するスラッガーのひとりに数えられる中村紀洋。生まれも育ちも大阪で、無名の府立高校の4番打者として甲子園に出場。初戦で敗れはしたものの、地元の近鉄バファローズ(当時)からドラフト4位で指名されてプロ入りを果たした。

4年目からレギュラーに定着した中村は、打率.228ながら20本塁打を記録。以降はコンスタントに成績を残し、2000年には39本塁打、110打点で二冠王を獲得。翌’01年には46本塁打、132打点、’02年も42本塁打、115打点という驚異的な成績を残している。

この年の夏にFA権を取得した中村だったが、周囲には「メジャー移籍はあまり頭にない」と話していたという。しかし熟慮の末、オフにFAを宣言。MLBのニューヨーク・メッツと契約合意したという報道があり、メッツの公式HPにも記載されたが、これが球団側の勇み足だったようである。「ルールを破るような球団は信用できない」と激怒した中村が、交渉を白紙に戻してしまったのだ。
 

  

 

2004年2月、当時近鉄に所属していた中村はドジャースのキャンプに初参加。フリー打撃で47スイング中9本のさく越えを放つなど、自慢の長打力を披露した

その後、近鉄と再交渉して中村の残留が決定。その契約には、2年後にポスティングシステムによるMLB移籍を容認する条件が含まれた。この一連の騒動については誤解・誤認もあったようで、後にMLBやメッツ側から「ルール破りはなかった」旨の声明が出され、中村側も一部を認めているようだ。

翌年、中村は右膝半月板損傷の怪我を負う。無理をして試合には出続けたが、オフには手術も経験した。もともと豪快なスイングが持ち味の選手。以降は怪我がちになり、スラッガーとしてのベスト・パフォーマンスが難しくなっていった。’02年オフの出来事を思い返すたび、もしあの時にアメリカへ渡っていたら……と考えざるを得ない。
 

  

 

2005年3月、フロリダ州ポートセントルーシーで行われたオープン戦で、松井稼頭央が所属するニューヨーク・メッツと対戦

‘05年1月、ポスティング申請した中村に対し、近鉄の業務提携先であったロサンゼルス・ドジャースが落札。ドジャースとマイナー契約を交わし、3Aからのスタートを予定していたものの、故障者との入れ替えで4月にメジャー昇格。しかし17試合に出場して5安打を記録したのみで、再び降格をいいわたされる。3Aでの打撃成績は平均的なもので、チーム最多の20失策を犯すなど、三塁と一塁(遊撃も1試合守った)の守備にも苦しめられた。

シーズン終了後は日本球界復帰を目指し、古巣というべきオリックス・バファローズと契約。まだ32歳の中村への期待は大きかったが、相次ぐ故障や負傷で思うように力を発揮できず、交渉を繰り返した末に自由契約となる。その後は入団テストを経て、育成選手枠で中日ドラゴンズに入団。さらに東北楽天ゴールデンイーグルス、横浜ベイスターズ(当時)を渡り歩き、日本復帰後に合計9シーズンを過ごしている。故障とも戦いながら、6度も二桁本塁打(うち2 度は20本以上)を記録したのは流石である。

‘14年、ベイスターズから戦力外通告を受け、引退セレモニーを提案されたが、これを拒否。現役続行を表明するも、すでに40歳を超えた中村へのオファーはなかった。そして50歳を過ぎた現在、中村はいまだ正式に引退していない。文字どおり“生涯現役”を貫き通しているのだ。本人いわく「引退は死んだ時。カラダが動くうちはチャレンジし続けることが本来の生き方」という。

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文=野中邦彦  text : Kunihiko Nonaka
photo by AFLO
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