Safari Online

SEARCH

CULTURE カルチャー

2023.12.15

MLBの挑戦者たち 〜メジャーリーグに挑んだ全日本人選手の足跡
Vol.5 伊良部秀輝/強烈な輝きを放った豪腕(前編)



西武時代の清原和博との対決は“平成の名勝負”とうたわれ、あのノーラン・ライアンに「世界で最高の肩をもつ投手のひとり」と評された伊良部秀輝。踊るようなフォームから繰り出す最速158㎞の剛球と、140㎞台で鋭く落ちるフォークボール。調子のいいときの彼は、まさに無双というべき投球ぶりだった。大のマスコミ嫌いで、記者に太々しい態度をとったり、暴言を吐いたりすることもしばしば。その一方でチームメイトからは慕われ、ファンからも愛された。強烈な輝きを放ったアンチヒーロー。今年は彼の十三回忌にあたる。
 

  

 

第69回全国高等学校野球選手権大会で甲子園のマウンドに上がる伊良部。3回戦で常総学院に0対6で敗れた。

伊良部は在日アメリカ空軍の兵士だった父と、日本人の母の間に生まれた。幼少期は兵庫県・尼崎で過ごし、高校では香川・尽誠学園のエースとして活躍。1988年にロッテ・オリオンズ(当時)に入団し、初年度から一軍のマウンドを経験した。そこから数年は先発とリリーフを行き来しながら経験を積み、一気に才能が開花したのが’93年。清原との対戦で当時の日本新記録となる158㎞を記録した。翌年からは3年連続で二桁勝利。’96年オフにMLBへの移籍希望を表明した。
 

  

 

1997年6月、ニューヨーク・ヤンキース傘下1Aタンパで調整登板。これが米国でのプロ初投球となった

この移籍が大騒動を巻き起こす。伊良部はニューヨーク・ヤンキースへの入団を強く希望したものの、FA権を持っておらず、ロッテは提携球団であるサンディエゴ・パドレスとの交換トレードという形でメジャー移籍を容認した。ところが、納得のいかない伊良部がパドレスへの入団を拒否し、日米球界を巻き込む騒動に発展。結局、3球団による三角トレードというアクロバティックな方法でヤンキース入団を果たした。

伊良部は記者に対し「あんたらにミケランジェロや作家の心境がわかるか」と発言したという。彼の傲慢ぶりを表す言葉と捉えられがちだが、真意はどうだったのだろうか。彼がいうように、150㎞を投げる才能の心の内は、凡人には到底理解できるものではない。また、この騒動をきっかけにMLB球団から機会均等を求める声が高まり、NPBのポスティング制度が整備された。その意味で、伊良部の移籍は現代の野球界における重要な布石となったのだ。
 

  

 

ジュリアーニ市長(当時)は「すべてのニューヨーク市民を代表し、伊良部秀輝を歓迎したい」と述べた

ニューヨーカーの伊良部への歓迎ぶりは、もの凄かった。ジュリアーニ市長(当時)からはティファニー製の水晶のリンゴが贈られ、歓迎のボードを掲げたファンがスタジアムに詰めかけた。「日本のノーラン・ライアンがやってくる」という期待感が、恐ろしいほどに高まっていたのだ。’97年7月10日、本拠地でのデトロイト・タイガース戦でメジャーデビュー。6回2/3を投げて5安打2失点、9奪三振の内容で、見事に初白星を挙げた。
 

  

 

初登板を終え、ベンチに戻る際に観客の声援に応える

初登板初勝利の喜びも束の間、2回目の先発登板では5回5失点、7月20日の3回目の登板でも6回2/3を6失点と調子が上向かない。降板する際、ファンのブーイングに対してツバを吐いたことが地元メディアに大きく取り上げられた。伊良部は早くも実力に疑問符がつけられ、苦しい立場に追い込まれる。熱しやすく冷めやすいニューヨーカーとはいえ、もともとメディア対応の苦手な男にとっては厳しい状況。伊良部も記者を「金魚のフン」となじるなど、ヒールのイメージを強めていくことになる。MLBでの1年目は5勝4敗、防御率7.09という惨憺たるものになった。(後編https://safarilounge.jp/online/culture/detail.php?id=14841に続く)
 

  

 

 
文=野中邦彦  text : Kunihiko Nonaka
photo by AFLO
これでライフスタイルが見違える!新鮮アイテムでいつもの夏をアップデイト!
SPONSORED
2025.06.25

これでライフスタイルが見違える!
新鮮アイテムでいつもの夏をアップデイト!

いよいよ待ちに待った夏。バカンスを楽しみにしている人も多いだろう。たとえ予定がなくても、気温の上昇とともに気分をぐっと上げていきたい。そんなときに必要なのが、ライフスタイルをアップデイトするためのアイテムだ。これさえあれば、いつもとはひと…

〈オメガ〉の“プロフェッショナルライン”に注目。復活した“レイルマスター”と 新色の“シーマスター”、心躍るふたつの名作。
SPONSORED
2025.06.27

〈オメガ〉の“プロフェッショナルライン”に注目。
復活した“レイルマスター”と 新色の“シーマスター”、心躍るふたつの名作。

〈オメガ〉を象徴するコレクションとして、1957年に創設された“プロフェッショナルライン”3部作。その中でも“レイルマスター”は、鉄道職員や電気技師といった強い電磁場が発生する場所で作業する人々を耐磁性の高さで支えた名作。そして、“シーマ…

TAGS:   Urban Safari Watches
〈ブランパン〉の名シリーズから新作登場。大人の休日にはシックなダイバーズを。
SPONSORED
2025.06.27

〈ブランパン〉の名シリーズから新作登場。
大人の休日にはシックなダイバーズを。

時計の人気トレンドにヴィンテージスタイルがある。1953年に誕生し、基本デザインを継承する“フィフティ ファゾムス”もそのひとつかもしれない。だがそこに懐古趣味はなく、常に新鮮な魅力を感じさせる。機能美という不変の価値があるからだろう。新…

TAGS:   Urban Safari Watches
リーダーにふさわしい〈グラスヒュッテ・オリジナル〉の一本。端正な機械式時計で仕事にも優雅さを。
SPONSORED
2025.06.27

リーダーにふさわしい〈グラスヒュッテ・オリジナル〉の一本。
端正な機械式時計で仕事にも優雅さを。

クルマやカメラなどドイツの工業製品の高い機能と品質は世界的に知られる。時計も例外ではない。〈グラスヒュッテ・オリジナル〉はその代表格だ。クラシカルなスタイルに決して派手さはない。だが漂う気品は、伝統に培われた揺らがぬ時計作りの哲学と美学を…

TAGS:   Urban Safari Watches
〈パネライ〉の傑作がさらなる進化。タフさと品格を併せ持つエレガントダイバーズ。
SPONSORED
2025.06.27

〈パネライ〉の傑作がさらなる進化。
タフさと品格を併せ持つエレガントダイバーズ。

歴史に裏打ちされた信頼性と機能。そして、存在感を放ちながら、品を保つデザイン性。そのすべてを兼ね備えた〈パネライ〉の“ルミノール マリーナ”は、知性と余裕をまとう大人にふさわしい腕時計だ。その傑作コレクションが今年、大胆な進化を遂げたとい…

TAGS:   Urban Safari Watches
〈エドックス〉の人気ダイバーズ時計が日本限定で登場!“とろやわ”ストラップで夏のビーチを満喫!
SPONSORED
2025.06.25

〈エドックス〉の人気ダイバーズ時計が日本限定で登場!
“とろやわ”ストラップで夏のビーチを満喫!

煌めく太陽に、白い砂浜、青い海。夏のビーチ遊びの季節がやってくる! ラフなビーチコーデの手元だって、やっぱり快適さを求めておきたい。そんな海遊びにはラバーストラップのダイバーズ時計が最適だ。そこでプッシュしておきたいのが〈エドックス〉の日…

TAGS:   Fashion Watches
〈ザ・ブセナテラス〉で過ごす憩いの時間!沖縄バカンスは贅沢でリラクシングなステイを!
SPONSORED
2025.06.25

〈ザ・ブセナテラス〉で過ごす憩いの時間!
沖縄バカンスは贅沢でリラクシングなステイを!

〈ザ・ブセナテラス〉は、日々の疲れを癒し、日常では味わえない贅沢な時間を過ごせる。充実したホテルの設備・サービス、海に面した立地を生かしたマリンアクティビティプログラム。ここは1泊2日くらいでは気づけない、魅力を秘めている。パートナーとと…

TAGS:   Stay&Travel
サンダルは履き心地と見た目のよさで選ぶ!夏に大活躍するサンダルは、〈ロンハーマン〉別注が優秀!
SPONSORED
2025.06.23

サンダルは履き心地と見た目のよさで選ぶ!
夏に大活躍するサンダルは、〈ロンハーマン〉別注が優秀!

夏がやってくると気分も開放的になり、休日はお出かけモードに。街にショッピングに行くのもいいし、たまにはアウトドアで自然の中に身を置くのも気持ちよさそうだ。もちろん、ご近所を散歩する程度で、家でゆっくり過ごすというのも幸せ。で、そのどんなシ…

TAGS:   Fashion
〈ジラール・ペルゴ〉夏の限定モデルが登場!サマーバカンスの相棒は“懐色”の復刻ダイバーズで!
SPONSORED
2025.06.20

〈ジラール・ペルゴ〉夏の限定モデルが登場!
サマーバカンスの相棒は“懐色”の復刻ダイバーズで!

マニュファクチュール=自社一貫生産体制を2世紀以上も貫き続けるスイス、ラ・ショー・ド・フォンの名門時計ブランド〈ジラール・ペルゴ〉。そのコレクションはどれもクラシカルかつドレッシーで気品に満ちたもの。そんなイメージを、文字どおりあざやかに…

TAGS:   Fashion Watches

NEWS ニュース

More

loading

ページトップへ