Safari Online

SEARCH

CULTURE カルチャー

2023.11.14

MLBの挑戦者たち 〜メジャーリーグに挑んだ全日本人選手の足跡 
Vol.1 野茂英雄/日米球界をつなぐパイオニア【前編】



大谷翔平を筆頭に、日本人メジャーリーガーの活躍が珍しくなくなった現在。でも、かつてMLBと日本のプロ野球の間には、越えがたい高い壁が存在していた。MLBは憧れどころかファンタジーの世界であり、選手たちは本物のモンスターに見えたものだ。そんなとんでもない場所へ単身乗りこんだのが、日本の怪物・野茂英雄。トルネード投法で米球界を席巻し、引退までの13年間にノーヒットノーラン2回、最多奪三振2回、新人王受賞という偉大な成績を残した。彼がいなければ、現在のような日本人メジャーリーガーの全盛期はなかっただろうともいわれる。その名に違わぬ日本野球界のヒーローである。
 

 
野茂のメジャー挑戦は、決して楽な道のりではなかった。何しろ前例がない。日本人初のメジャーリーガーは村上雅則氏だが、村上氏は野球留学という形で海を渡っており、野茂とは少し事情が異なっていた。渡米前の野茂は、近鉄バファローズの新人として投手四冠(最多勝・最優秀防御率・最多奪三振・最高勝率)を獲得するなど、まさに敵なしの活躍を見せていた。だが、入団から4年目となる1994年、球団や監督との確執が表面化。他球団でプレーする権利のない“任意引退”という立場でMLBへの挑戦を決意した。
 

 

5月2日、当時のサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地キャンドルスティック・パークで初登板を果たした

1995年、野茂はロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結ぶ。近鉄時代の年俸は1億4000万円だったが、この時の年俸は10万ドル。当時のレートでわずか980万円である。日本人選手が数十億、数百億円規模の契約を勝ちとる現代においては、ちょっと考えられないような数字だ。これだけを見ても、米球界のほとんどが「日本人がMLBでやれるわけがない」と考えていたことがわかる。日本の球界やマスコミも同様に、野茂の挑戦を疑問視する論調がほとんどだったはずだ。
 

 

ジャイアンツのマット・ウィリアムズ(写真左)、アストロズのクレイグ・ビジオ(写真右)とともにオールスターゲームで紹介アナウンスを待つ

そんな状況だっただけに、野茂のMLB挑戦1年目はとにかくセンセーショナルだった。5月2日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦で先発としてメジャーデビュー。6月2日のニューヨーク・メッツ戦で初勝利。14日のピッツバーグ・パイレーツ戦では球団新人最多記録となる16奪三振、24日のジャイアンツ戦で初完封勝利を記録。前半戦の13登板で6勝1敗、防御率1.99という好成績を残し、オールスターゲームにも選ばれた。オールスターでは先発投手として登場し、2イニング1安打無失点と見事な投球を披露した。
 

 

ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドでファンサービスに応える

後半戦も野茂の勢いは衰えず、最終的に13勝6敗、防御率2.54(リーグ2位)、236奪三振(リーグ最多)、3完封(リーグ最多)でシーズンを終え、7年ぶりとなるドジャーズの地区優勝に貢献。アジア人初の新人王にも選出された。ちなみに19暴投もリーグ最多だったが、課題とされた四球は近鉄時代より減っている。

独特なトルネード投法から、わかっていても打てないストレートと、エグすぎる落差のフォークボールを繰り出す野茂。ほぼ2つの球種で打者をきりきり舞いにする姿に、日米で“NOMOマニア”が大発生した。折しもこの年のMLBは、春先のストライキによりファン離れが深刻化していた。野茂が三振を奪うたびに熱狂するスタジアムを見て、誰よりも安堵したのはMLBのコミッショナーやチームオーナーたちではなかっただろうか。(後編に続く)
 

  

 

 
文=野中邦彦  text : Kunihiko Nonaka
photo by AFLO
これでライフスタイルが見違える!新鮮アイテムでいつもの夏をアップデイト!
SPONSORED
2025.06.25

これでライフスタイルが見違える!
新鮮アイテムでいつもの夏をアップデイト!

いよいよ待ちに待った夏。バカンスを楽しみにしている人も多いだろう。たとえ予定がなくても、気温の上昇とともに気分をぐっと上げていきたい。そんなときに必要なのが、ライフスタイルをアップデイトするためのアイテムだ。これさえあれば、いつもとはひと…

〈オメガ〉の“プロフェッショナルライン”に注目。復活した“レイルマスター”と 新色の“シーマスター”、心躍るふたつの名作。
SPONSORED
2025.06.27

〈オメガ〉の“プロフェッショナルライン”に注目。
復活した“レイルマスター”と 新色の“シーマスター”、心躍るふたつの名作。

〈オメガ〉を象徴するコレクションとして、1957年に創設された“プロフェッショナルライン”3部作。その中でも“レイルマスター”は、鉄道職員や電気技師といった強い電磁場が発生する場所で作業する人々を耐磁性の高さで支えた名作。そして、“シーマ…

TAGS:   Urban Safari Watches
〈ブランパン〉の名シリーズから新作登場。大人の休日にはシックなダイバーズを。
SPONSORED
2025.06.27

〈ブランパン〉の名シリーズから新作登場。
大人の休日にはシックなダイバーズを。

時計の人気トレンドにヴィンテージスタイルがある。1953年に誕生し、基本デザインを継承する“フィフティ ファゾムス”もそのひとつかもしれない。だがそこに懐古趣味はなく、常に新鮮な魅力を感じさせる。機能美という不変の価値があるからだろう。新…

TAGS:   Urban Safari Watches
リーダーにふさわしい〈グラスヒュッテ・オリジナル〉の一本。端正な機械式時計で仕事にも優雅さを。
SPONSORED
2025.06.27

リーダーにふさわしい〈グラスヒュッテ・オリジナル〉の一本。
端正な機械式時計で仕事にも優雅さを。

クルマやカメラなどドイツの工業製品の高い機能と品質は世界的に知られる。時計も例外ではない。〈グラスヒュッテ・オリジナル〉はその代表格だ。クラシカルなスタイルに決して派手さはない。だが漂う気品は、伝統に培われた揺らがぬ時計作りの哲学と美学を…

TAGS:   Urban Safari Watches
〈パネライ〉の傑作がさらなる進化。タフさと品格を併せ持つエレガントダイバーズ。
SPONSORED
2025.06.27

〈パネライ〉の傑作がさらなる進化。
タフさと品格を併せ持つエレガントダイバーズ。

歴史に裏打ちされた信頼性と機能。そして、存在感を放ちながら、品を保つデザイン性。そのすべてを兼ね備えた〈パネライ〉の“ルミノール マリーナ”は、知性と余裕をまとう大人にふさわしい腕時計だ。その傑作コレクションが今年、大胆な進化を遂げたとい…

TAGS:   Urban Safari Watches
〈エドックス〉の人気ダイバーズ時計が日本限定で登場!“とろやわ”ストラップで夏のビーチを満喫!
SPONSORED
2025.06.25

〈エドックス〉の人気ダイバーズ時計が日本限定で登場!
“とろやわ”ストラップで夏のビーチを満喫!

煌めく太陽に、白い砂浜、青い海。夏のビーチ遊びの季節がやってくる! ラフなビーチコーデの手元だって、やっぱり快適さを求めておきたい。そんな海遊びにはラバーストラップのダイバーズ時計が最適だ。そこでプッシュしておきたいのが〈エドックス〉の日…

TAGS:   Fashion Watches
〈ザ・ブセナテラス〉で過ごす憩いの時間!沖縄バカンスは贅沢でリラクシングなステイを!
SPONSORED
2025.06.25

〈ザ・ブセナテラス〉で過ごす憩いの時間!
沖縄バカンスは贅沢でリラクシングなステイを!

〈ザ・ブセナテラス〉は、日々の疲れを癒し、日常では味わえない贅沢な時間を過ごせる。充実したホテルの設備・サービス、海に面した立地を生かしたマリンアクティビティプログラム。ここは1泊2日くらいでは気づけない、魅力を秘めている。パートナーとと…

TAGS:   Stay&Travel
サンダルは履き心地と見た目のよさで選ぶ!夏に大活躍するサンダルは、〈ロンハーマン〉別注が優秀!
SPONSORED
2025.06.23

サンダルは履き心地と見た目のよさで選ぶ!
夏に大活躍するサンダルは、〈ロンハーマン〉別注が優秀!

夏がやってくると気分も開放的になり、休日はお出かけモードに。街にショッピングに行くのもいいし、たまにはアウトドアで自然の中に身を置くのも気持ちよさそうだ。もちろん、ご近所を散歩する程度で、家でゆっくり過ごすというのも幸せ。で、そのどんなシ…

TAGS:   Fashion
〈ジラール・ペルゴ〉夏の限定モデルが登場!サマーバカンスの相棒は“懐色”の復刻ダイバーズで!
SPONSORED
2025.06.20

〈ジラール・ペルゴ〉夏の限定モデルが登場!
サマーバカンスの相棒は“懐色”の復刻ダイバーズで!

マニュファクチュール=自社一貫生産体制を2世紀以上も貫き続けるスイス、ラ・ショー・ド・フォンの名門時計ブランド〈ジラール・ペルゴ〉。そのコレクションはどれもクラシカルかつドレッシーで気品に満ちたもの。そんなイメージを、文字どおりあざやかに…

TAGS:   Fashion Watches

NEWS ニュース

More

loading

ページトップへ