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2025.12.13 NEW


Apple TVおすすめ映画6選!【まとめ】

これまでSafari Onlineで紹介してきたApple TV作品をまとめてご紹介! 休日にゆっくり鑑賞してみてはいかが?

『ファミリー・プラン2
製作・出演/マーク・ウォールバーグ 製作総指揮・監督/サイモン・セラン・ジョーンズ 脚本/デヴィッド・コッゲシャル 出演/ミシェル・モナハン、キット・ハリントン、ゾーイ・コレッティ 



映画の主人公で魅力的なのが“いろんな顔”を持つキャラクター。世の中で知られている姿と、そこに隠された素顔のギャップが大きいほど、作品自体が面白くなるからだ。このシリーズのダン・モーガンも、妻には優しい夫で、子供たちを愛する父親。自動車セールスマンとして仕事も優秀。しかし本当の顔は……という設定を、軽快なエンタメアクションに仕立てた『ファミリー・プラン』。好評を得て、すぐさま2年後にこの続編が完成した!

前作では、アメリカ北東部のバッファローに暮らすモーガンが、“裏の仕事”である殺し屋として最大のピンチに陥ったことから、家族旅行と偽ってラスベガスへ向かった。そこで家族の協力も得て、大事態に立ち向かったため、妻はもちろん、3人の子供のうち上の2人は、父の裏稼業を何となく察知。そして今回は、クリスマスは絶対に家族一緒に過ごそうと、娘ニーナが生活しているロンドンへの旅行が決まる。旅行先のロンドンでは“因縁の相手”と会い、妻のジェシカがさらわれるなど、ダンはかつてない試練に立たされる。ダン自身も命の危機を迎える瞬間が何度もあるうえに、ニーナから恋人を紹介され、その恋人から“おとうさん”と呼ばれて腹を立てたりと、暗殺者+良きパパの二面性が、この続編でも最大限に生かされた。

いちばん下の次男は4歳だが、長女のニーナは20歳で長男のカイルは18歳。彼らが十分に大人になったことで、父のピンチに家族一丸となって協力する“チーム感”はさらに濃厚に! カイルはプロゲーマーの能力を生かし、GPSなど数々のシステムを駆使。そしてニーナの恋人のオマールが、たまたまパルクール(街の中でアクロバティックな動きを見せるスポーツ)の達人だったことから、ダグと一緒に曲芸のようなミッションもこなす。このあたりも“ファミリー”の楽しさで、観ているこちらのテンションは急上昇。やがてロンドンでの攻防はフランスのパリへと移り、凱旋門近くでのカーチェイスなど、ヨーロッパの2大都市で繰り広げられるアクションの数々が、ゴージャスな気分にさせてくれるのは事実。そして何より、クリスマスシーズンのロンドンとパリの風景を満喫できるので、これからのシーズンに最高な作りになっている!
 

 
『ロスト・バス』
製作総指揮・原作/リジー・ジョンソン 製作・脚本/ブラッド・イングルスビー 監督・脚本/ポール・グリーングラス 出演/マシュー・マコノヒー、アメリカ・フェレーラ、ユール・バスケス、アシュリー・アトキンソン 



時として新作映画が、そこで描いた背景だけでなく、記憶に新しい出来事とリンクすることがある。まったくの偶然だが、これも映画が起こすマジックのひとつ。この『ロスト・バス』は、2018年に起こった山火事を描いた作品だが、2025年初めのロサンゼルスでの大規模な山火事とどうしたって頭の中で重なってしまい、衝撃がさらに生々しくもたらされるはず!

カリフォルニア州の北部で、シエラネバダ山脈の麓にある町、パラダイスの近郊で大規模な山火事が発生する。炎が急速に広まるなか、孤立無縁となった小学校に生徒たちが取り残され、スクールバスの運転手が助けに行くことに。2018年、実際に起こった救出劇が映画化された。緊急無線で学校へ向かったドライバーのケビンが、教師のメアリーと、22人の小学生たちを避難所へ送り届けようとするが、道路の大渋滞、バスに迫る炎……と次から次へと難関が待ち受け、文字どおり究極のサバイバルが展開していく。監督を務めたのは、ポール・グリーングラス。『ジェイソン・ボーン』シリーズでリアリティ満点のアクションを演出し、9.11テロを再現した『ユナイテッド93』など、ドキュメンタリーのような臨場体験をもたらす腕が天才的。冒頭の強風や山崩れにはじまり、住民の脱出劇、そして消防士たちの消火と救援活動が、怒涛の勢いで描かれ、観ているこちらは山火事の真っ只中に放り込まれた錯覚をおぼえる。

VFXが進化した近年は、炎の映像はCGなのが一般的。しかし本作は、ガス管を巡らせた広大なセットを用意し、本物の炎をかなりの量、使っている。電柱が倒れて電線が火を噴き、スクールバスの壁面や窓ガラスが真っ黒になるなど“本物”が伝える恐ろしさは、火災パニック映画の歴史でも最上級だろう。ケビンは子供たちを守りながら、複雑な事情も抱えた自身の家族の安否も心配する。難しい役どころを、オスカー俳優のマシュー・マコノヒーが全身全霊で演じているが、驚くのはケビンの息子と母に、マコノヒーの実の息子と母がキャスティングされた点。特に息子役のリーヴァイ・マコノヒーは、これが映画初出演とは思えない屈折感まで見事に表現。サラブレッド俳優として、父の跡を継ぐ活躍に期待できそう!
 
 
『天国と地獄 Highest 2 Lowest』
製作総指揮・監督/スパイク・リー 脚本/アラン・フォックス 出演/デンゼル・ワシントン、ジェフリー・ライト、エイサップ・ロッキー、イルフェネシュ・ハデラ 



ここ数年、日本映画がグローバルな人気を獲得しているが、映画の歴史の中で世界中からのリスペクトが絶えない巨匠が、黒澤明。その傑作群から影響を受けたクリエイターは数多く、ゆえにリメイクの企画の“宝庫”でもある。スパイク・リー監督が、5度目のタッグとなる盟友デンゼル・ワシントンを起用して挑んだのが、1961年、エド・マクベインの小説を黒澤が映画化した『天国と地獄』だ。

2022年にも黒澤明の代表作『生きる』が、舞台をイギリスに変えて『生きる LIVING』として再生された。今回はリー監督の本拠であるニューヨークで、黒澤の名作が甦る。リー監督によると“リメイクではなく新解釈”とのこと。黒澤版では靴会社の常務の息子が誘拐犯に狙われ、間違って常務の運転手の息子がさらわれた。本作でターゲットになるのは、スタンキンヒッツ・レコードの創始者で、グラミー賞を50回受賞したという音楽界のレジェンド、デヴィッド・キング。息子のトロイを誘拐したという相手から連絡を受け、1750万ドル(約26億円)の身代金を要求される。ただし誘拐されたのは、キングの下で働くポールの息子だった。基本のストーリーは同じながら、時代や場所、人物のキャラによって、ここまでイメージが変わるとは……と驚く仕上がり。名作を“新解釈”した意味がひしひしと伝わってくる。

黒澤版で重要なシーンとして使われたのが特急の“こだま”(東海道本線の当時の特急)。今回はNYということで、地下鉄がその役割を果たす。しかもNYヤンキースのゲームや、音楽フェスティバルとも重ねられ、映画的ダイナミズムに溢れたテンションで展開。この辺り、リー監督のセンスが冴え渡る。キングの自宅が、ブルックリン橋を望む超高級タワーマンションというのも、黒澤版と同じく作品のテーマを象徴している。そして音楽業界が背景ということで、人気ラッパーのエイサップ・ロッキーも重要な役で出演。キング役のデンゼルと堂々と渡り合うシーンは、本作でも最大の見どころかも。ロッキーはサウンドトラックにも参加。そうした音楽の新鮮さに加え、GPSによる捜査、SNSの炎上など現代ならではのアップデートが施されつつ、面白いドラマは時代を経ても色褪せないと実感させるのが、この“新解釈版”だろう。
 
 
『ブリッツ ロンドン大空襲』
監督・脚本/スティーヴ・マックイーン 出演/シアーシャ・ローナン、エリオット・へファーナン、ハリス・ディキンソン、ベンジャミン・クレメンティン 



舞台は第二次世界大戦下のロンドン。毎日のように空襲警報が発令され、市民は生死ギリギリの生活を強いられている。子供たちの命だけでも救おうと疎開が進み、9歳のジョージも母親リタの判断で、遠くの町へ向かう列車に乗せられた。しかし車内でイジメに遭った彼は、どうしても母の元へ戻りたくなり、走る列車から飛び降りてしまう。そこから彼の苦難の旅がはじまることに……。“学童疎開”という日本の戦争作品でも馴染み深いトピックなので、時代や国境を超えて思わぬ共感も誘う本作。ただしジョージは、白人と黒人の間に生まれた子供なので、人種問題がスパイスとしてドラマを動かすのが今っぽいかも。列車から飛び降りた後、ロンドンを目指す彼はさまざまな人たちと出会うのだが、善人もいれば明らかに怪しい人もいて、最後まで緊迫感が途切れない作りに引き込まれる。

アカデミー賞作品賞に輝いた『それでも夜は明ける』を撮ったスティーヴ・マックイーンが監督で、母親リタ役は、『レディ・バード』などで4回のアカデミー賞ノミネートを誇るシアーシャ・ローナンと、完璧な組み合わせ。ザ・ジャムやスタイル・カウンシルで有名なミュージシャン、ポール・ウェラーが祖父役というのも妙に感慨深い。しかし最もインパクトを残すのは、これがデビュー作となるジョージ役のエリオット・ヘファーナンかも。駅で母と別れるシーンの複雑な表情から、不運なアクシデントに見舞われた時の覚悟と悲しみの表現まで、天才子役が現れた瞬間に立ち会う喜びを感じられるはず。ジョージ=子供の視点で戦争を体感させるのが、本作の持ち味。ロンドン地下鉄構内での避難風景や、空襲の独創的な描き方など、戦争映画としてもハッとさせられるビジュアルが多い力作だ。
 
 
『ウルフズ』
製作・監督・脚本/ジョン・ワッツ 出演/ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、エイミー・ライアン、オースティン・エイブラムス 



現在のハリウッドで、共演に期待値が上がるスターの組み合わせは何パターンかあるだろう。その中でも最高ランクを決めるとしたら、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットではないか。2人の16年ぶりの共演となるのが、『ウルフズ』。その役どころも彼らにぴったりなのが、ファンにはうれしい!

ジョージとブラピの過去の共演といえば、2001年から2007年までの『オーシャンズ』シリーズが有名。その後、2008年のコーエン兄弟監督の『バーン・アフター・リーディング』でも共演しており、『ウルフズ』はそれ以来のタッグとなる。今回2人が演じたのは、ベテランの“フィクサー”。世の中に知られてはいけない事件や事故を、すべてなかったことにする裏社会のプロフェッショナル。しかも単独で処理することから、一匹狼=ウルフというイメージだ。そんな彼らが、ある現場で鉢合わせしてしまう。ニューヨークの高級ホテルのスイートルームで、ある著名人がスキャンダル的な事件に巻き込まれ、すぐさま処理が必要だったことから、2人が別ルートで呼ばれたのだ。いわゆるダブルブッキング。両者にとっても予想外の事態によって、危険な一夜がスタートすることに……。

2人のクールさ、カッコよさは異常レベル。要所ではカーアクションや銃撃で冴えまくった動きも披露する。そして黒いファッションに身を包んだ彼らは、夜のニューヨークの風景にしっくり溶け込む。一方で年齢に関する自虐ネタも盛り込まれるし、とにかく相手にマウントを取ろうとする会話は、彼らの素顔も重なっているようで微笑ましい。マウントの取り合いが、運命を大きく左右したりもするので、クライムアクションといいながら、やはり本作はジョージとブラピの“絡み”が最大の見どころだろう。緊迫感やスリルというより、肩の力を抜いて観られるという意味で、これは王道のスター映画なのだ。監督は、トム・ホランドの『スパイダーマン』シリーズを3本手がけたジョン・ワッツだが、明らかにジョージとブラピの魅力を前面に押し出す演出を試みている。
 
 
『インスティゲイターズ 強盗ふたりとセラピスト』
製作ベン・アフレック 製作・出演/マット・デイモン 監督/ダグ・リーマン 脚本・出演/ケイシー・アフレック 脚本/チャック・マクリーン 出演/ホン・チャウ、 マイケル・スタールバーグ、ヴィング・レイムス 
2024年/アメリカ/視聴時間101



ハリウッドの王道ジャンルのひとつといえば、犯罪ムービー。犯罪劇ということでシリアスな衝撃を与える作品もあるけれど、犯罪計画がとんでもない方向へ発展していくノリに、映画の面白さを実感できたりする。本作はまさにそんな一本として、エンタメ的に楽しませる痛快犯罪ムービーだ。

このパターンの近年のヒット作で思い浮かぶのは『オーシャンズ』シリーズ。同作で共演したマット・デイモンとケイシー・アフレックが、この最新作でもタッグを組んだ。しかもマットはプロデューサー、ケイシーは共同脚本で作品に深く関わっている。幼なじみでもある2人なので、その親密さが作品にも刻印され、観ているこちらも何だかハッピーな気分にさせるのだ。ボストン市長が選挙戦のために不正に集めた大金。その存在に気づいた裏組織の男が、強奪計画を立てて協力者を集める。家族との問題で大金を必要とするローリー、前科者のコビーが加わるが、彼らは犯罪に関してはシロウト。しかも市長の金庫に行き着くまでに、計画とは違う状況が次々に発生し、ローリーとコビーは警察および組織に追われる立場になってしまう。

監督を務めたのは、『ボーン・アイデンティティー』でマット・デイモンにアクション俳優としての才能を開花させたダグ・リーマン。『Mr.Mrs.スミス』、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』なども手がけた彼らしく、カーチェイスや銃撃、爆発など要所のシーンを、ド派手&緊迫感たっぷりに見せていく。犯罪計画自体が穴だらけ(だからこそ映画としては面白い!)にもかかわらず、アクションはスーパー級というコントラストが妙味だ。マット・デイモンは『ボーン』シリーズとはうって変わって、頼りないキャラに没入。こっちもマット“らしい”とホッコリさせる。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でオスカー俳優となったケイシー・アフレックも、そんなマットとのやりとりを喜んで演じているようで微笑ましい。タイトルにあるセラピスト役が、このところ出演作にハズレなしのホン・チャウだったりと、まわりのキャストもインパクト大。そしてターゲットとなる市長のビジュアルが、アメリカ大統領選を控えた“あの人”を連想させるなど、思わぬ発見も多い一作だ。

 

 
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
画像・映像提供 Apple
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