『エターナルズ』(2021年)
『エターナルズ』(2021年)でマーベルの仲間入りを果たしたほか、『悪人伝』(2019年)のハリウッドリメイクも予定されるなど、すっかり国際派スターと化したマ・ドンソクだが、韓国内でもきっちりと成績を収めているのがすごいところ。2月23日から日本公開される『犯罪都市 NO WAY OUT』の成功は、そもそもシリーズ第1作が製作された2017年にさかのぼる。2017年10月に韓国で公開された『犯罪都市』は動員数680万人超えの大ヒットを記録。エンタメ性の高いアクション映画ながら、各映画賞でも存在感を見せつけた。
『犯罪都市』(2017年)
その主人公がマ・ドンソク演じる刑事マ・ソクトなのだが、ほとんどの作品のマ・ドンソクがそうであるように、ソクトもとてつもなく屈強。犯罪者たちをも恐れされる剛腕で街の悪をねじ伏せてきたソクトが、中国マフィアと地元暴力団の抗争を収めるために奔走するのがシリーズ第1作の主な流れだった。警察署の仲間たちやチンピラを相手に軽口を叩くユーモアを備えながら、拳で悪党どもを豪快に蹴散らすソクトはマ・ドンソクの集大成的キャラクターであり、「犯罪者を相手にしても全く躊躇うことなく、自分が正しいと思ったことは何が何でも押し通すタフガイでありながら、少しヌケていて茶目っ気があるソクトが好き」と彼自身も気に入っている様子。さらに、警察官になりたかった子供時代の憧れや、刑事アクションに出演したいと願いながらも役が回ってこなかった過去の自分を救済する気持ちも役に込めているという。「オファーがないのであれば、そういった作品を自分で作るしかない」。その信念は、自らの発案で企画が動き出した『犯罪都市』シリーズをはじめ、近年プロデューサーとしての顔を積極的に見せているマ・ドンソクの活動の軸にもなっているよう。2022年のシリーズ第2作『犯罪都市 THE ROUNDUP』からは、クレジットにも製作者として名を連ねている。
『犯罪都市 THE ROUNDUP』(2022年)
その『犯罪都市 THE ROUNDUP』では、ソン・ソック演じるベトナム帰りの凶悪犯と対決。コロナ禍の影響を受けた作品でありながら、前作を上回る動員数1200万人超えの大ヒットを記録した。そして、続くシリーズ第3作では、日本のヤクザと汚職刑事がソクトの前に立ちはだかる。しかも、日本のヤクザ役を演じるのは、青木崇高や國村隼。第2作では最旬俳優ソン・ソックの起用にプロデューサーとして関わり、「僕は色々な作品を見て、素晴らしい俳優に目をつけておくんです」と明かしていたマ・ドンソクだが、青木のキャスティングにあたっても彼の過去作すべてを鑑賞したそう。國村の出演も、マ・ドンソクたってのオファーで実現した。また、スクリーンの中で頼もしい男マ・ドンソクは撮影現場でも頼もしい男のようで、アクションシーンはもちろん、各登場人物のキャラクター作りにおいても共演者たちに寄り添って意見を交わしていたそう。それは『犯罪都市』シリーズに限ったことではなく、2016年のドラマ『元カレは天才詐欺師 〜38師機動隊〜』で共演したソ・イングクは今でも「撮影現場の楽しさを教えてくれた作品」と言い、マ・ドンソクとの時間を懐かしんでいる様子。マ・ドンソク自身、「撮影現場の空気を悪くする人との共演はお断り」と公言していることからも、ものづくりにおける姿勢と人柄がうかがえる。
『犯罪都市 NO WAY OUT』(2月23日公開)監督/イ・サンヨン 出演/マ・ドンソク、イ・ジュニョク、青木崇高、國村隼 配給/ツイン
『犯罪都市』シリーズはすでに第4作が撮影済みで、構想自体はまだまだ何作もあるとか。となると、マ・ソクトのワンパンチでノックアウトされる悪党はまだまだ増え続けるはず。もちろん、そのほかの作品にも引っ張りだこの現状だろうが、かなりのハマり役であるため、このままマ・ソクトと一緒に年齢を重ねていくマ・ドンソクも見てみたい気がする。
【Profile /マ・ドンソク】
1971年3月1日生まれ。18歳で家族と共に韓国からアメリカへ移住。1994年にアメリカでミュージカル俳優としてデビュー。
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