Apple Original Films『ブリッツ ロンドン大空襲』はアカデミー賞を狙える良作映画!
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毎年この時期になると、配信の各社がアカデミー賞に絡む可能性のある映画を届けはじめる。本命もあれば、何かの部門を狙った作品もあるのだが、基本的に観て損はナシの傑作・良作が揃うのでチェックしておきたい。この戦時下のヒューマンドラマも、そんな新作だ。
舞台は第二次世界大戦下のロンドン。毎日のように空襲警報が発令され、市民は生死ギリギリの生活を強いられている。子供たちの命だけでも救おうと疎開が進み、9歳のジョージも母親リタの判断で、遠くの町へ向かう列車に乗せられた。しかし車内でイジメに遭った彼は、どうしても母の元へ戻りたくなり、走る列車から飛び降りてしまう。そこから彼の苦難の旅がはじまることに……。“学童疎開”という日本の戦争作品でも馴染み深いトピックなので、時代や国境を超えて思わぬ共感も誘う本作。ただしジョージは、白人と黒人の間に生まれた子供なので、人種問題がスパイスとしてドラマを動かすのが今っぽいかも。列車から飛び降りた後、ロンドンを目指す彼はさまざまな人たちと出会うのだが、善人もいれば明らかに怪しい人もいて、最後まで緊迫感が途切れない作りに引き込まれる。
アカデミー賞作品賞に輝いた『それでも夜は明ける』を撮ったスティーヴ・マックイーンが監督で、母親リタ役は、『レディ・バード』などで4回のアカデミー賞ノミネートを誇るシアーシャ・ローナンと、完璧な組み合わせ。ザ・ジャムやスタイル・カウンシルで有名なミュージシャン、ポール・ウェラーが祖父役というのも妙に感慨深い。しかし最もインパクトを残すのは、これがデビュー作となるジョージ役のエリオット・ヘファーナンかも。駅で母と別れるシーンの複雑な表情から、不運なアクシデントに見舞われた時の覚悟と悲しみの表現まで、天才子役が現れた瞬間に立ち会う喜びを感じられるはず。ジョージ=子供の視点で戦争を体感させるのが、本作の持ち味。ロンドン地下鉄構内での避難風景や、空襲の独創的な描き方など、戦争映画としてもハッとさせられるビジュアルが多い力作だ。
Apple Original Films『ブリッツ ロンドン大空襲』11月22日配信
監督・脚本/スティーヴ・マックイーン 出演/シアーシャ・ローナン、エリオット・へファーナン、ハリス・ディキンソン、ベンジャミン・クレメンティン 配信/Apple TV+
2024年/イギリス・アメリカ/視聴時間120分
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画像提供 Apple
Apple TV+にて11月22日(金)より配信開始!