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CULTURE カルチャー

2018.11.16


『ア・ゴースト・ストーリー』『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』

ケイシー・アフレックとルーニー・マーラ出演による新感覚ホラー『ア・ゴースト・ストーリー』と、ベニチオ・デル・トロの渋い魅力が光る『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』をピックアップ!

物語で観る編
『ア・ゴースト・ストーリー』
ムネアツなポイントは?

・今までにない斬新な感覚が味わえる作品
・事故で死んだ夫が幽霊となり妻を見守る
・シーツのシワで感情を表現するスゴさ!
・観客のイマジネーションをひたすらに刺激する!
・死後の世界が本作のようだったら幸せかも
 


今までにない斬新な感覚が味わえる作品

主人公は幽霊。しかもその外見は、全身にかぶった白いシーツで、目の部分に黒い丸が付いているスタイル。ハロウィンの仮装みたいでもある。何かのパロディなのか? それともホラーなのか? そういった予想をことごとく裏切る、超斬新な感覚を味わえる一作だ。
 


事故で死んだ夫が幽霊となり妻を見守る

作曲家のCが自動車事故で亡くなり、残された妻のMは病院でその遺体を確認する。やがてシーツをかけられたままの遺体が起き上がり、自宅へと戻ってくる。しかしMにその姿は見えない。Cのゴーストは妻を見守るも、やがて彼女は引っ越しを決意。その家には新たな家族が住みはじめ、時は過ぎていき……。
 


シーツのシワで感情を表現するスゴさ!

C役は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したケイシー・アフレック。シーツ姿も彼が中で演じているが、その部分がメインなので、顔が見えるシーンはわずかである。しかし、シーツでの立ち姿から漂う哀しさや、微妙な動きが醸す感情などが、観ているこちらに伝わってくるから不思議! 愛する人の近くにいるのに、その気持ちを伝えられないもどかしさがシーツのシワで表現されたりして、じわじわと胸が締めつけられていくのだ。
 


観客のイマジネーションをひたすらに刺激する!

やがて、ほかの家に佇むゴーストが現れる。このあたりから、映画は未知の領域に突入。そして、自宅から“なにか”を見つけたことをきっけかに、Cのゴーストは壮大な運命に導かれていくことにことに。これほど観客のイマジネーションを刺激してくる展開も珍しい。1つの解釈に縛られない“わかりにくさ”も感じられるものの、その“わからない”感じさえも心地よいってわけ。
 


死後の世界が本作のようだったら幸せかも

人間は死んだらどうなるのか。もし本作のような世界が待っていたら……と、ちょっぴり幸せな気分も味わえる。ラブストーリーであり、感動の人間ドラマでもあり、SFっぽい部分もあって、さらにホラーテイストも感じられ。はっきり言って、ジャンルの枠なんて軽々と超えてしまっている超個性派の映画。でも、もし深く入りこむことができたら、“何年かに1本”という忘れがたい作品になる可能性もある!
 




『ア・ゴースト・ストーリー』
監督・脚本/デヴィッド・ロウリー 出演/ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ 配給/パルコ
2017年/アメリカ/上映時間92分

11月17日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
©2017 Scared Sheetless, LLC. All Rights Reserved.
 


セレブで観る編
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』
ムネアツなポイントは?

・ベニチオ・デル・トロがダークな魅力を発揮
・オスカーも獲得しているハリウッドの名脇役
・今回は作戦失敗で絶望的な状況に陥る!
・新監督の演出ぶりがお見事!
 


ベニチオ・デル・トロがダークな魅力を発揮

たるんだ目の下のクマに、深〜いシワ。銃を握って突っ立っているだけでも、背中に背負ったストーリーが読めてくる、なんとも画になるオヤジ。それがベニチオ・デル・トロ。名匠スティーブン・ソダーバーグ監督はそんなベニチオの特長をよく理解していて、『トラフィック』や『チェ』2部作で、彼を起用。前者では、アカデミー賞助演男優賞を獲得している。近年では、その武骨さを武器に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』といった娯楽大作にも出演。自身の“男臭さ”を生かしたキャラクターを演じている。
 


オスカーも獲得しているハリウッドの名脇役

非情で、過酷な世界を生き抜く男を演じたら、彼ほど様になる俳優はいないだろう。『007 消されたライセンス』の殺し屋役で注目を集めたのち、歳をとるごとにその顔の凄みは増す一方。以前は、見方によってはブラピに見えなくもないイケメンな時期もあったのだが、今では犯罪モノには欠かせないバイプレイヤーに。正義のために悪事を働くアンチヒーローを演じた本作は、ベニチオのダークな魅力が存分に発揮されている役柄だ。
 


今回は作戦失敗で絶望的な状況に陥る!

さて、本作の役どころは元検察の殺し屋アレハンドロ。前作『ボーダーライン』で、メキシコの麻薬カルテルに家族が殺されたという過去が判明したものの、エミリー・ブラント演じる主人公へのあまりの非情さに、観る者は同情も共感もできなかった。しかし、一匹狼がお似合いのベニチオにとっては真骨頂。続編の本作では、主人公へと格上げ。作戦の失敗からCIAと麻薬カルテルから追われる絶望的な状況に陥る身となる。劇中では、保護する少女と殺された娘を重ね合わせるなど、人間味ある一面も見せている。
 


新監督の演出ぶりがお見事!

監督は、新たにステファノ・ソッリマが担当。聞き慣れない名だが、闇社会と正義の境界を描くのが得意とのこと。それは本作を観ると十分うなずける。悪に見えるが、その動機は単純ではない、そんな社会のグレーな部分を切り取り、エンターテイメントに仕上げた手腕はお見事。今後の活躍を期待したくなるはず。デル・トロのファンはもとより、全編にわたり緊迫感のある作品なので、骨太なクライムものをお求めの人にも強くおすすめしたい1本だ。
 

 



『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』
監督/ステファノ・ソッリマ 脚本/テイラー・シェリダン 出演/ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ジェフリー・ドノヴァン 配給/KADOKAWA
2018年/アメリカ/上映時間122分

11月16日(金)より角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
©2018 SOLDADO MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. 
 


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文=斉藤博昭(『ア・ゴースト・ストーリー』) text:Hiroaki Saito
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