ネットフリックス『グッドニュース』 よど号事件を題材に“もしかしたら、こうだったかも”と描くブラックコメディ作!
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ここ数年、映画の“ボーダーレス化”がどんどん加速するなか、日本人俳優の海外作品への出演も急増している。特に配信作品は、そのケースが目立ち、しかも日本の実力派が名演することで作品に説得力をプラス。『グッドニュース』は最高のサンプルかもしれない。
題材になったのは、1970年に実際に起こった日本航空351便ハイジャック、通称“よど号事件”。羽田から福岡の板付空港に飛び立った国内線が、北朝鮮へ向かいたい赤軍派グループに乗っ取られる。本作は基本的にその事件を忠実に再現していく。“基本的に”と紹介したのは、事件の大枠は守っているからなのだが、作品としては要所でナンセンスやブラックなネタがたっぷり注ぎ込まれ、エンタメとして楽しませる作り。そのまま映画化したらハードで深刻なムードに支配される事件を、コメディ色を強めに茶化して描けば“不謹慎”と思われそうだが、本作のユーモアは“もしかしたら、こうだったかも”という妙なリアリティがある。日本と韓国、北朝鮮、それぞれの政府や軍のドタバタも、1970年という時代を考慮すれば思わず納得してしまう!? 漫画『あしたのジョー』や、クリント・イーストウッドの映画『続・夕陽のガンマン』へのオマージュも用意され、映画的面白さに満ちた一作だ。
韓国と日本、それぞれの人気俳優が各キャラクターにふさわしい存在感で挑んでいる本作。パイロット役の椎名桔平、犯行グループのリーダー役の笠松将、そして事件解決に向けて重要な人物となる運輸政務次官役の山田孝之が、インパクトのある見せ場を任されて大活躍する。一方の韓国側は、国民的名優のソル・ギョングが匿名のフィクサー役(アムゲ=某氏、と呼ばれる)で、怪しさたっぷりの謎の有力人物を好演。ギョングは以前、日韓合作の『力道山』に主演し、日本語のセリフもこなしていたが、今回も日本語を巧みに操り、さすがの一言だ。そのアムゲが仕掛ける中盤の特大サプライズ作戦など、数々の見せ場で飽きさせない作りながら、今の世界情勢や政治の裏工作にも重なる部分をシビアに入れ込んだりと、多層的な仕上がりこそ本作の魅力かも!
『グッドニュース』配信中
監督・脚本/ピョン・ソンヒョン 出演/ソル・ギョング、ホン・ギョン、リュ・スンボム、山田孝之、椎名桔平、笠松将 配信/ネットフリックス
2025年/韓国/視聴時間136分
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