三遠ネオフェニックスを主将として牽引する【佐々木隆成】、いつか「成長の糧になった」と語りたい痛恨の負傷離脱!
三遠ネオフェニックスの司令塔として、中地区の強豪となったチームを支えてきた佐々木隆成。圧倒的な強さでクラブ史上初進出を果たしたセミファイナルの1戦は、はたしてどんな意味を持つ試合になったのか。
- SERIES:
- 【アーティスト 田村大】アスリートの分岐点!
バスケットボール選手 佐々木隆成
1996年、山口県生まれ。熊本ヴォルターズを経て、2022-23シーズンに三遠ネオフェニックスに加入。2024-25シーズンはリーグトップの6.5アシストと1試合平均11.5得点という得点力の高さで地区優勝に導いた。'24年は、パリ五輪の日本代表最終候補にも選出。
就任4季めを迎えた大野篤史ヘッドコーチの指揮のもと、リーグ屈指の攻撃的チームへと生まれ変わった三遠ネオフェニックス。昨シーズンは、リーグ最高勝率も視野に捉える成績で中地区を席巻し、セミファイナルに初進出。その勢いを後押ししてきたのが、チームの中心的役割を担う司令塔の佐々木隆成だ。2019-20シーズンに熊本ヴォルターズでプロキャリアをスタートさせた佐々木は、2022-23シーズンに三遠ネオフェニックスへ移籍すると、大野HCのもとでその才能を開花。昨シーズンはレギュラーシーズンのアシスト王に輝く活躍ぶりで、チームの強さを支えてきた。そんな佐々木にとって大きな意味を持つ試合となったのが、昨シーズンのチャンピオンシップ準決勝のゲーム2。セミファイナルまで駆け上がったチームは、決勝進出を懸けて琉球ゴールデンキングスと対戦。一進一退の攻防を僅差で制したゲーム1を経て挑んだこの試合で、佐々木は負傷することに。左アキレス腱断裂の診断を受けて手術を行い、戦いから離脱することになった。
「負傷したのは、第1クォーター。試合には2分くらいしか出られていません。負傷した瞬間はもちろん痛かったのですが、捻挫よりは痛くなくて。アドレナリンが出ていたせいもあるかもしれませんが、これくらいなら大丈夫だと思ってみんなのところに戻ろうとしたら歩くことができず。ベンチに戻ったら、これはアキレス腱をやっているなということで。僕の中での試合はそこで終了しました」
佐々木の離脱後もチームは奮闘したが試合は98-100の僅差で敗れ、通算1勝1敗で挑んだゲーム3を琉球が69-77で勝ち切る結果に。チーム悲願の決勝進出は、果たすことができなかった。
「今の段階でそれがいいほうに行くのか悪いほうに行くのかどうかはわかりませんが、いつか振り返ったときに、あのときケガをしたからこそこういうことがわかったとか、これでよかったんだとか思えるような経験にしたい。そういった意味での分岐点になればいいなと思っています。この試合でのケガを無駄にしたくない。その思いが強くあります」
セミファイナル進出を果たした昨シーズンは、佐々木自身にも成長している手応えのようなものがあったという。
「シーズンを通して、成長を実感してはいました。接戦になったときの勝負強さというか、クロスゲームで最後に決め切る力のようなものがかつての自分にはなかったので、そこをどうしたらいいんだろうなということを、ここ2年くらい自分の中で探していました。どれがなんだったのかはなかなか説明できないのですが、そうやって探していたものを掴みかけそうな感覚がありました」
成長を感じながら挑んだチャンピオンシップ直前には、大舞台に挑むために必要なマインドセットを求め、マイケル・ジョーダンのドキュメンタリー『ラストダンス』を見直したという。シカゴ・ブルズの黄金時代を築いたジョーダンだが、意外にもチームを初優勝に導くまでに7年を費やした苦労人でもある。
「ジョーダンは、シカゴ・ブルズをレイカーズのようなビッグクラブとして認められるような存在にしたいと思って戦っていた。そういった部分に自分と重なるところがあって、めちゃくちゃ心の中に湧き上がるものがありました。誰のために戦わなくてはならないのかということや、どういう気持ちでゲームに挑むのかといったジョーダンのマインドセットを、自分の中に落とし込んで昨シーズンのチャンピオンシップに挑んでいました」
自身の成長において、大野HCの存在も大きかった。大野HCは「佐々木本人が考える“佐々木隆成”よりも、僕が思い描く“佐々木隆成”の存在はもっと大きい」と語り、大きな期待を寄せてきた。
「大野HCは、移籍1年めから“隆成はチームの責任を負えるような選手になれる”ということをいい続けてくれました。それが本当の気持ちだということをこの4年間で強く感じるようになり、大野HCが思い描いている僕と自分のギャップが縮まってきたという感覚があります」
セミファイナルまで勝ち上がる過程において、昨シーズンは大きな成長の手応えを得た佐々木。今シーズンはケガからの本格復帰を果たし、再びチームの強さを支える存在になることを目指す。
「チームの目標は、再びチャンピオンシップに出場して優勝すること。チームにとってプラスになることはすべてやり切る気持ちで、挑みたいと思います」
アーティスト 田村 大
1983年、東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会であるISCAカリカチュア世界大会で、総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のフォロワーは10万人以上。その中にはNBA選手も名を連ねる。Instagram:@dai.tamura
※『Safari』1月号198〜200ページ掲載
●『Safari』1月号の購入はコチラ!
●『Safari』定期購読はコチラ!
●『Safari』公式 Instagram(@safarimagazine_official)もチェック!
illustration : Dai Tamura composition&text : Takumi Endo


















































































