Bリーグ・アルティーリ千葉の若き司令塔【黒川虎徹】、多くの支えがあって“自分の殻”を破った1戦!
悲願のB2リーグ優勝を経て、今季からB1で戦っているアルティーリ千葉のポイントガードを担う黒川虎徹。“自分の殻”を破り、ブレイクスルーを果たすことができたレギュラーシーズンの試合で思い至ったこととは!?
- SERIES:
- 【アーティスト 田村大】アスリートの分岐点!
バスケットボール選手 黒川虎徹
2001年、長崎県生まれ。東海大学付属諏訪高校を卒業後、東海大学へ入学。4年次にはキャプテンを務め、U22日本代表にも選出。特別指定選手として、2023-24シーズンにアルティーリ千葉に加入。2024-25シーズンにB2プレーオフMVPを受賞。
昨シーズンに、B2レギュラーシーズン歴代最高勝率でプレイオフに勝ち進み、優勝とB1昇格を果たしたアルティーリ千葉。そのプレイオフで最優秀選手賞を獲得する活躍を見せたのが、加入2年めにしてポイントガードを担った黒川虎徹だ。そんな黒川が分岐点として語ってくれた試合は、その2024-25シーズン第8節の福井ブローウィンズ戦。ゲーム1では連勝していたチームに初黒星をつけられてしまったが、一夜明けたゲーム2では快勝。第1クォーターの立ち上がりから黒川や前田怜緒の3ポイントでスコアを伸ばし、第3クォーターで一時点差を詰められてしまうものの、スピードを生かした黒川のゲームメイク、リングアタックで応戦。激闘のゲームを91-65で制した。
「ゲーム1で負けてしまった後、一度なにも考えずにやってみようと思い、それがうまくいった試合でした。セットプレイなどのチームとしてやりたいことを必要以上に遂行しようとしすぎて萎縮してしまい、自分の殻を破れていなかった感覚があった。だから、逆にもう自分のやりたいことを思い切りやってみようと思ったら、うまくハマったという感覚がありました。象徴的なシーンを挙げるとしたら、福井の木村圭吾選手と僕がマッチアップした場面。バックコートからボールキャリーをしながら木村選手を抜いて、そのままレイアップを決めることができた。そこから勢いに乗ることができたという感覚がありましたね」
手応えを得て、それまで支えてくれた人たちの存在の大切さを感じたという。
「この試合の前もゲームには出させてもらっていましたが、コーチや選手たちの信頼を得るまでには至っていなかったので、自分の殻を破れたことは本当に嬉しかった。そこに至るまでは、アシスタントコーチのみなさんがいつもマンツーマンでワークアウトをしてくれるなど、本当に多くの人たちが僕のことを支えてくれてきた。だからこそ、活躍できたんだということを実感しました」
この試合での経験を経た黒川は、その後、司令塔としてアシストやアシスト/ターンオーバー比率を着実に上昇させ、杉本 慶、大崎裕太、前田怜緒といったスタイルが異なるタレントが揃うアルティーリ千葉のガード陣に、さらなる厚みを加える存在になっていった。レギュラーシーズンでは、アシスト部門でB2ランキング11位、フリースロー成功率では2位に。アシスト/ターンオーバー比率は、公式戦の85%以上に出場したプレイヤーではリーグ7位となった。そんなブレイクスルーを経て自信を得た黒川は今シーズン、悲願の昇格を果たしたB1リーグで新たな戦いに挑んでいる。
「できている部分とできていない部分が、ハーフ&ハーフ。チームを勝たせることができていないし、自分を証明しきれていない。現時点では、そこが1番感じているところかなと思います。相手が嫌なところを攻めるなど、ポイントガードとしてやるべきことがシーズン序盤はできず。それがここ数試合はできている感覚があるので、それはポジティブな要素。最後まで勝ちきれないのは、やっぱりポイントガードである僕のせいだなと思うところはありますね。まずは、安定したパフォーマンスをすることが大切。ディフェンスで抜かれないことだったり、シュートもペイントエリアで決めるだけでなく、3ポイントもしっかり決めることで対戦チームのディフェンスも守りにくくなるし、チームの仲間もより生かせるようになってくる。だからこそ、この後の試合では、そういった全体のバランスというものをもっともっと大事にプレイする必要があると思っています」
黒川は、年明けの1月に開催される“Bリーグ オールスターゲーム ウィークエンド2026 イン 長崎”への初出場を果たす。地元である長崎での開催ということで熱い声援を受けることになりそうだが、そんな黒川に目指すべきアスリート像を聞くと、こんな答えが帰ってきた。
「これは僕がプロになる前からずっと考えていたことなのですが、小さい子供たちから憧れられる選手になりたい。僕自身が長崎のめちゃめちゃ田舎のほうの出身なのですが、小さい頃はプロのバスケットボールの試合を見たり、触れたりする機会がほとんどありませんでした。そういった環境にいる子供たちにも、夢を見させてあげられる存在になりたいですね。将来的には、子供たちがバスケットをするための環境作りができるようにもなりたいと思っています」
アーティスト 田村 大
1983年、東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会であるISCAカリカチュア世界大会で、総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のフォロワーは15万人以上。その中にはNBA選手も名を連ねる。Instagram:@dai.tamura
※『Safari』2月号190〜192ページ掲載
●『Safari』2月号の購入はコチラ!
●『Safari』定期購読はコチラ!
●『Safari』公式 Instagram(@safarimagazine_official)もチェック!
illustration : Dai Tamura composition&text : Takumi Endo











































































