Safari Online

SEARCH

LIFESTYLE ライフスタイル

2019.08.05


ストイックな職人魂でオルタナブームをリード

ハイパフォーマンスかつアートのように美しいボードを手掛けるジェフ。シェイプからグラッシングまですべてをこなし、クラフツマンシップにあふれた若手シェイパーとしてリスペクトされている。クリス・クリステンソンはじめ、名シェイパーからの技術を継承したレトロかつモダンなボードを作る彼は、オルタナティブブームの牽引者としても有名だ。

●今月のサーファー
ジェフ・マッカラム[JEFF McCALLUM]

内陸育ち、遅咲きのサーファー


ジェフの育ちは“海なし州”コロラド。サーフィンに魅了されたのは、大学時代にサンディエゴに移住してから。西海岸で活躍するシェイパーの中では、遅めのサーフィンデビューといえるが、ハマるのに時間はかからなかった。

「幼い頃から父の仕事の関係で毎夏ニューポートビーチに滞在していたんだ。そこでボディサーフィンを楽しんでいたから、海遊びは慣れていたし、波乗りにはとても興味があったんだよ」

サーフィンを覚えたのは、サンディエゴのクリスタルピア。当初はロングボードを使い、メローな波を楽しんでいたそう。その後、短い板に興味を持ったものの、ショートボードではなくクラシックなシングルフィンのエッグに魅力を感じた。しかし、当時は長身の彼にしっくりくるボードがなかったため、自らシェイプし自作ボードを楽しむようになる。

ある日、クリスタルピアでいつものように波乗りしているとき、1人のサーファーに出会う。クリス・クリステンソンのシェイプルームで働いていたが数日前に退職した、という彼の話を聞いたジェフは、すぐさまクリステンソンのシェイプルームを訪ね、アシスタントとして働かせてもらうことに。クリステンソンといえば、スキップ・フライやディック・ブリューワーなど歴代名シェイパーの技術を継承し、独自のアイディアを融合させたオルタナティブボードを削る巨匠の1人。通常であればそんな彼の下で働くのは、たとえアシスタントであっても至難の業。だから、シェイプルームの掃除からなにから、勤勉に働いたそう。

「彼のシェイプルームに足を踏み入れるのは大変なことなんだよ。彼にアポイントを取って面接をしてもらったんだけど、それをパスしたのは本当にラッキーだった。アシスタント初日から全力で働いたよ。どんなに大変な雑用でも、積極的に取り組むようにしたんだ」

しばらくすると、そんな働きが認められて、仕事の後に彼のシェイプルームとグラッシングルームを使わせてもらえるようになる。

「日中はクリステンソンの仕事を手伝い、夜は彼のボードのグラッシングをさせてもらえるようになった。すごく嬉しかったよ」


すべてはいいボードを削るために


クリス・クリステンソンのシェイプルームでの下積み経験は、厳しかったけれど多くを学んだというジェフ。シェイパーとしてのキャリアはスムースに見えるが、技術を習得するのにもかなりの時間を要したそう。いい意味で耐えることや最後までやり遂げることを学び、精神面でもかなり鍛えられたと語る。

独立後はサンディエゴのナショナルシティにある大きな倉庫の一角にシェイプルームを設け、シェイプだけでなくグラッシングも行う。工程のほとんどを自分でコントロールすることで、より完成度の高いボードが出来上がるというのがジェフの考え。そんな信念のもと出来上がったボードはたちまち注目を浴びるようになる。さらに名だたるブランドとのコラボを経て、いっそう知名度を上げた彼は、米国内だけでなく世界中にファンを持つように。最近では特にオーストラリア、フランス、日本からのオーダーが多いという。

「海外からオーダーしてくるサーファーは、クラフツマンシップにこだわったハンドシェイプのボードを好み、シェイパーへのリスペクトも強いんだ。彼らは大切にボードを乗ってくれるし、いずれそのボードは彼らの子供に受け継がれていくんだ」

巨匠から受け継いだ昔ながらの技術と、独自の斬新なアイディアを融合させたオルタナティブな彼のボードは、機能性だけでなくアートのような美しいカラーも魅力のひとつ。彼の美的センスに惹かれ、アパレルを展開しないかというオファーも多いそうだが、彼は今ボードをビルドすることに全力を注いでいる。また、通常であればビジネスも考えなければならないが、無駄に大量なボードを生産する気は毛頭ない様子。そんな職人気質な部分も彼の魅力のひとつなのだろう。取材中、そんな彼のこだわりの強さを感じる発言も。

「シェイプルームに着くとすぐにメールをチェックしたり、オーダーシートを書いたりするけれど、意外と時間がかかってしまうんだ。本当はできるだけコンピューターの前に座る時間を減らし、多くの時間をシェイプルームで過ごしたいと思っているよ」


趣味にもオタク気質が見え隠れ⁉

DIY好きのジェフはサーフボードだけでなく、4 WDのトラックもビルドする。巨大なタイヤを履かせたトラックで崖を登ったり下りたりするオフロードでのドライブを楽しむためだそうだ。タイヤを替えるだけでなく、砂利などを避けるガードを取り付けたり、オフロードで遊べるように細かいカスタムを自ら行う。砂利避けのガードは、ステンレスのパイプを購入し、自ら溶接し、マットブラックにペイントするところまでやったというから驚きだ。

「毎週金曜日はトラックをビルドする日と決めているんだ。手掛けるのはトヨタの“タコマ”のみ。耐久性は抜群、信頼性も高いし、パーツなども見つけやすい。今週末は友人とオフロードを楽しみに近くの山へ出かける予定なんだ」 

別の趣味は銃だという。射撃場で撃ったり、大自然の中でアルミ缶を狙って撃ちこんでいく。集中力が養われ、ある種メディテーションのような効果が得られるそうだ。

サーフィンをはじめ、多様な趣味に没頭する彼だが、なによりも大切にしているのは彼の家族だ。精神的にもかなりジェフの支えになっているという妻は、普段別の仕事で忙しいものの、近々ジェフのボードカンパニーのマネジメントも手伝う予定。また、幼い娘は彼にとっての宝。一緒にサーフィンする時間は至福のひとときだと語る。ストイックな雰囲気が漂うシェイプルームの壁にさりげなく飾られた妻と娘の写真が、彼の家族愛をそっと物語っている。

「好きではじめたシェイプの仕事だけど、家族がいるからもっと頑張れる。今は10年後、20年後を見据えて展開を練っている最中なんだ」

ホームポイントはココ!
ブラックスビーチ[BLACK’S BEACH]
サンディエゴのラホヤビーチ近くにある美しいビーチ。10分ほどかけて崖を降りないと、ポイントにたどりつくことができない。ビーチブレイクだが周辺のポイントよりも波が高いことが多く、8フィートほどのビッグウェイブも!
 

シェイプルームでプレーナーを使って板を削る姿は真剣そのもの

ピンクのボードは巨匠スキップ・フライに削ってもらった娘用。このボードに娘と一緒に乗ってタンデムを満喫

シェイプルームのドアに飾られているジェフお気に入りのワイヤーアートは、サンディエゴの有名なローカルアーティストによるもの

シェイプルームの前にあるデスクで毎朝オーダーチェック。到着したら真っ先に行う作業だそう

シェイプルームには愛娘が作ったアートが飾られている。ここには妻の写真もディスプレイ。彼は家族思いのナイスガイなのだ

細部まで自分でカスタマイズした愛車はトヨタのピックアップトラック“タコマ”。近場だけでなく遠出してオフロードを楽しむことも

 

 
Information

雑誌『Safari』9月号P220・221掲載

“波乗り一代記の記事をもっと読みたい人はコチラ!

写真=桝田はやと 文=高橋百々
photo : Hayato Masuda text : Momo Takahash(i Volition & Hope) photo by amanaimages
Urban Safari CLOSE-UP BRAND フレデリック・コンスタントエレガントな時間を、手元に宿す。
SPONSORED
2025.11.28

Urban Safari CLOSE-UP BRAND フレデリック・コンスタント
エレガントな時間を、手元に宿す。

創業地“小矢部”の名を冠した〈ゴールドウイン〉のプレミアムな1着!大人のスキーウエアは上質感と快適さで選ぶ!
SPONSORED
2025.12.01

創業地“小矢部”の名を冠した〈ゴールドウイン〉のプレミアムな1着!
大人のスキーウエアは上質感と快適さで選ぶ!

1950年にはじまった〈ゴールドウイン〉のヒストリー。その新作スキーウエアコレクションの名前は、創業地にちなんだ“オヤベ”だ。歴史の深みを感じさせ、エイジレスなスタンダードデザインでありながら、機能は最新鋭。素材はもちろん、ひとつひとつの…

TAGS:   Fashion
初登場HYDEが〈ハリー・ウィンストン〉をまとう!カリスマに似合うのはいつも最高峰の輝き!
SPONSORED
2025.11.25

初登場HYDEが〈ハリー・ウィンストン〉をまとう!
カリスマに似合うのはいつも最高峰の輝き!

一流は一流を引き寄せるとは、よくいわれること。ロックアーティストHYDEがまとったのは“キング・オブ・ダイヤモンド”として名高い、世界最高峰のジュエリー&ウォッチブランド〈ハリー・ウィンストン〉。常に最高を求め続ける両者が出会うと、どんな…

TAGS:   Fashion Watches
〈タトラス〉で見つけたここぞの1着!さりげに違い出しできる大人の冬アウター
SPONSORED
2025.11.25

〈タトラス〉で見つけたここぞの1着!
さりげに違い出しできる大人の冬アウター

冬カジュアルの主役であるアウターは、さりげなく違いが出せる1着を選びたい。そこで注目すべきなのが、大人のための上質な冬アウターに定評のある〈タトラス〉。定番ベースのシンプルなデザインを基本としつつ、街ゆく人をハッとさせるさりげない“違い”…

TAGS:   Fashion
〈サンローラン〉なら小さくても格上感あり!大人の革小物はさりげなロゴ使いで!
SPONSORED
2025.11.25

〈サンローラン〉なら小さくても格上感あり!
大人の革小物はさりげなロゴ使いで!

普段、バッグや靴ほど目立たないが、意外とセンスを問われるのが財布などの革小物。大人ならシンプルながらも品があって、さりげない上質感のあるものが狙いめだ。となれば〈サンローラン〉の革小物を。小ぶりなアイコンロゴがピリッと効いた財布やカードケ…

TAGS:   Fashion
俳優・桜田 通が〈ベル&ロス〉の希少な限定モデルをつけこなす!“赤き情熱”と“煌めく緑”の衝撃!
SPONSORED
2025.11.25

俳優・桜田 通が〈ベル&ロス〉の希少な限定モデルをつけこなす!
“赤き情熱”と“煌めく緑”の衝撃!

航空計器から着想を得た革新的なデザインが人気の〈ベル&ロス〉から、2本の限定モデルが登場した。情熱的な輝きを放つダイヤルの赤と闇夜にクールに浮かび上がる蓄光の緑。異なる魅力を宿す2本のパワーウォッチがファッションシーンでも注目を集める俳優…

TAGS:   Fashion Watches
大人にこそ持ってほしい〈フルラ〉の新作!冬カジュアルに効く品格バッグ!
SPONSORED
2025.11.25

大人にこそ持ってほしい〈フルラ〉の新作!
冬カジュアルに効く品格バッグ!

大人の冬カジュアルに欠かせない名脇役がバッグ。どんな着こなしにも似合う上質なバッグがあれば、気分よく外出できるというもの。そこでおすすめしたいのが、〈フルラ〉の新作として登場した“アーバン バックパック”。コートなら背負って、短丈ブルゾン…

TAGS:   Fashion
機能美が所有欲をくすぐる〈アシックス〉のワーキングシューズ!こだわる男のための次世代ワークブーツとは!?
SPONSORED
2025.11.25

機能美が所有欲をくすぐる〈アシックス〉のワーキングシューズ!
こだわる男のための次世代ワークブーツとは!?

男のカジュアルウエアは、ワークやミリタリーをモチーフにしたタフで骨太なアイテムが定番。それは服だけでなく、足元も同じだ。とはいえ往年のワークブーツなどでは、履き心地やスペック的に現代の暮らしにフィットしない!? ならば、〈アシックス〉のワ…

TAGS:   Fashion
“とっておき”を、自分にも、大切な人にも!“上質”を贈りたい 大人のギフト!
SPONSORED
2025.11.25

“とっておき”を、自分にも、大切な人にも!
“上質”を贈りたい 大人のギフト!

クリスマスに忘年会、そしてニューイヤー……年末年始は、特別なギフトシーズン。頑張った自分へのご褒美に、大切な人に感謝を込めて、“とっておきの上質”を贈りたい。自分の身と心を一新させるようなワザありの逸品から、相手の顔が思わずほころぶ名品ま…

建築家・クマタイチが〈バルミューダ〉で発見。豊かな暮らしをデザインする、加湿器の新しい選択。
SPONSORED
2025.11.14

建築家・クマタイチが〈バルミューダ〉で発見。
豊かな暮らしをデザインする、加湿器の新しい選択。

〈バルミューダ ザ・ストア 青山〉を訪れた建築家・クマタイチさん。暮らしに寄り添う建築を数多く手掛けてきたからこそ、関心を寄せたのは新しい加湿器“レイン”だ。ただ湿度を調整するだけでなく、暮らしを豊かに導くための機能や造形美を兼ね備えた“…

勝利を呼び込む〈タグ・ホイヤー〉の傑作3選!名作時計はファッション使いするのが決め手!
SPONSORED
2025.11.11

勝利を呼び込む〈タグ・ホイヤー〉の傑作3選!
名作時計はファッション使いするのが決め手!

2025年で創業165周年を迎え、そのうえ、22年ぶりにモータースポーツの最高峰である“F1”公式タイムキーパーにも返り咲いた〈タグ・ホイヤー〉。モータースポーツと密接な関わりをもち、勝利を象徴するウォッチとして君臨してきたそれは、時を経…

素材感と職人技が光る〈アニアリ〉。ミニマルに洗練されたジャパンメイドのトートバッグ。
SPONSORED
2025.11.18

素材感と職人技が光る〈アニアリ〉。
ミニマルに洗練されたジャパンメイドのトートバッグ。

上質なレザーのしなやかな感触と使い勝手の良さで支持を集めている〈アニアリ〉のバッグ。ミニマルで洗練されたデザインは、装いを自然に洗練されたものへと導いてくれる。また、確かな日本の職人技に裏打ちされた使いやすさと安心感が、使うほどに深まる風…

TAGS:   Urban Safari Fashion

NEWS ニュース

loading

ページトップへ