【山内晶大】人生初キャプテンを経験し、新たなメンタルが芽生えた!
クイック攻撃の決定率が高く、高さとスピードを兼ね備えたミドルブロッカーとして、日本代表でも存在感を発揮するパナソニックパンサーズの山内晶大。主将が担うべき重責を身を持って知った一戦について、語ってくれた。
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- アスリートの分岐点! vol.32
AKIHIRO YAMAUCHI
TURNING POINT
2022年4月9日
2021-22 V.LEAGUE DIVISION1
ファイナルステージ ファイナル3
VS サントリーサンバーズ
実感した心の成長!
Vリーグ屈指のミドルブロッカーとして、日本代表でも替えのきかない選手となっているパナソニックパンサーズの山内晶大。東京五輪後に開幕した2021-2022年シーズンにキャプテンに就任し、リーグ戦終了後にはベスト6に選出される活躍を見せた。
そんな山内が分岐点として語ってくれた試合は、まさしくその主将として挑んだ同シーズンのファイナルステージでの一戦。Vリーグ1部のレギュラーラウンド上位3チームが優勝をかけて戦う同ステージで、3位通過のパナソニックパンサーズは2位通過のサントリーサンバーズと決勝進出をかけた大一番を戦うことになった。
試合は2戦行われ、1戦めは僅差の戦いを制したが、2位のサントリーにアドバンテージがあるため、25点制(1セット)のゴールデンセットで2戦めを戦うことになった。試合の立ち上がりはサントリーがリードを広げたが、序盤以降はパナソニックがチーム一丸となって押し返す展開に。しかし、勝利への執念も一歩及ばず、決勝進出を逃して3位でシーズンを終えることになった。
「この一戦は、僕が敗戦後にはじめて公の場で涙を流した試合でした。もちろん、優勝をかけて戦った試合で負けたことは過去にもありましたが、やはり人生ではじめてキャプテンを任せられて挑んだシーズンはなにかが違った。これまでにない気持ちで戦っていました。本気でチームのみんなと優勝したいと願っていましたし、新しく入ってきた選手たちに優勝を経験させてあげたいという思いも強かった。枚方市の方々をはじめ、サポートしてくれている人たちの応援に応えられなかったことも、非常に辛かったですね。試合を終えてメダルをかけてもらってから観客席のみなさんに挨拶をしていたら、そういった思いが一気に込み上げてきて。涙を堪えられませんでした」
チームとしてのタイトルを逃したが、山内個人としては2年連続でベスト6のタイトルを獲得したシーズンでもあった。
「2015-2016年シーズンから試合に出させてもらえるようになって以来、僕自身のパフォーマンスは徐々に上がってきて、非常にいい状態でプレイできてはいます。でも、100%納得してはいません。まだまだ、全然へたくそだと思っているので。また一方で、キャプテンになったからには、1プレイヤーとして自分のパフォーマンスのことだけを考えているわけにはいきません。チームを客観的に見て、チームが今どういった状態なのかということを常に理解して行動しなければならない。そのうえで、若手選手が持っている力を発揮できるようにリラックスできる雰囲気を作ったり、ベテラン選手が持っているものや考えていることをもっと外に出してもらい、若手と融合することなどを考えなくてはならない。特に若手の優秀な選手がストロングポイントを伸ばすことが重要で、彼らが伸び伸びとプレイできれば、その勢いに乗ってチームにもいい影響を与えてくれるはず。だからこそ、そのための環境作りは、非常に大切なことだと思っています」
主将就任は、青天の霹靂だったという。
「GMに呼ばれて『監督から聞いていると思うけど、今シーズンからキャプテンを任せるから』という形で話があって。いや、聞いてないですけど、みたいな感じで通達を受けました(笑)。実はその当時の自分はパフォーマンスの面で調子が悪く、キャプテンに任命されるときとしてはある意味、一番最悪なときでした。またそのときは、東京五輪の代表選手の選考が行われていた時期でもありました。代表を落ちてからキャプテンをやるのは、絶対に嫌でしたね。だから、とにかく絶対にオリンピックに出て活躍してからキャプテンをやろうって心に決めたんです。そこは意地ではないですけど、主将になるのであれば、胸を張れる状態でやりたいという気持ちが強かったですね」
Vリーグが4月にシーズンを終えたら、日本代表としての戦いが待っている。
「パリ五輪の選考トーナメントとなる予選大会が、9月から10月にかけて開催されます。この大会の出場チームは世界ランキングで決まり、さらにパリ五輪の出場資格を得るためにはこの大会で上位チームになる必要がある。だから、5月のネーションズリーグやアジア大会での戦いが重要になってきます。現在、日本はイランや中国とポイントが近い状態ですが、そういった国との試合をしっかり勝ちきってオリンピックの切符を獲得して、パリで日本の強さを証明したい。今はもうそのことだけを考えています」
バレーボール選手
山内晶大
AKIHIRO YAMAUCHI
1993年、愛知県生まれ。名古屋市立工芸高等学校時代に、バスケからバレーボールに転向。愛知学院大学3年時の2014年に、日本代表初選出。2015年にパナソニックパンサーズ入団。中心選手として2018年、2019年のリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンからキャプテンに。
TAMURA'S NEW WORK
U18日清食品トップリーグ バスケットボール競技大会 2022
男子は福岡第一高校、女子は桜花学園高校がそれぞれ全勝でU18日清食品トップリーグの初代王者となった。選出基準を満たしたU18世代のトップチーム(男女各8チーム)が、リーグ戦日本一というU18世代の新たなタイトルをかけて、数カ月にわたるリーグ戦を戦った。
未来を担う選手にエールを送る作品
優勝トロフィーの前に、誇らしげに並ぶバスケットボール部の選手たち。“U18日清食品トップリーグ バスケットボール競技大会 2022”の初代優勝チームだ。
「日本バスケットボール協会によって、公益財団法人 安藤スポーツ・食文化振興財団および日清食品株式会社の支援のもと、U18世代のトップチームが参戦する最高峰のリーグが昨年新たに設立されました。そのリーグの男女の優勝チームを讃えるため、優勝記念品を描かせていただくことになったんです」
プロ選手を描くことが多い田村には、アマチュア選手を描くことが新鮮だった。
「このリーグからプロになって活躍する選手はひと握り。選手たちがここからどんな道を歩んでいくのかと想いを馳せながら描いたのですが、僕自身もインターハイ出場まではバスケをやっていたので感慨深いものがありました。彼らにエールを送る気持ちで、これからも優勝チームの作品を描いていきたいと思います」
アーティスト
田村 大
DAI TAMURA
1983年、東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会であるISCAカリカチュア世界大会で、総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のフォロワーは10万人以上。その中にはNBA選手も名を連ねる。海外での圧倒的な知名度を誇る。Instagram:@dai.tamura
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illustration : Dai Tamura text : Takumi Endo photo by AFLO