アルティーリ千葉の強さを創設時から築く主将【大塚裕土】が、2年連続敗退の悔しさを強さに変えた1戦!
B2トップクラスの3P成功率の高さとリーダーシップで、悲願のB1昇格を目指すアルティーリ千葉の強さを支える大塚裕土。優勝という栄冠を簡単には得られないことを知るベテランが、悔しさから大切なものを得た1戦を語る。
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- アスリートの分岐点!
YUTO OTSUKA
TURNING POINT2024年5月11・12日
B2プレーオフ 2023-24
セミファイナル
越谷アルファーズ戦
リーグ最強といわれるオフェンス力でB2東地区首位独走中のアルティーリ千葉を、キャプテンとして牽引している大塚裕土。強豪・川崎ブレイブサンダースの主力選手だった大塚が、当時B3の新規参入チームだったアルティーリ千葉への移籍を決断したのは2021–22シーズンのこと。わずか1年でB2昇格を果たしたチームを創設時からまとめ、その後も2シーズン連続のB2リーグ最高勝率で東地区優勝を飾ったチームの強さを支えてきた。
そんな大塚が分岐点として語ってくれた試合は、2023–24シーズンのプレーオフセミファイナルの越谷アルファーズ戦。アルティーリ千葉は、その前シーズンに東地区優勝を飾るもセミファイナルで長崎ヴェルカに1勝2敗で惜敗し、B1昇格を逃した。その雪辱を果たすベく、悲願のB1昇格を懸けて再び立ったのが、この舞台だった。しかし、両チームとも最後の最後まで執念を見せ合う大熱戦となったこのセミファイナルのゲーム1では、アウェイの越谷がオーバータイムの激闘を97–93で制して先勝。ゲーム2では、クラブの歴代最多入場者記録を更新する6031人の大観衆の9割を占めたファンの大声援を受けながらダブルオーバータイムの死闘を戦い抜いたが、75–72のスコアでシーズン初の2連敗を喫し、2期連続でセミファイナル敗退という苦杯をなめた。
「アルティーリ千葉は、僕が加入する前から最短でB1昇格を果たしてBリーグプレミアに参入するという明確な目標を掲げていました。そんな高い目標をもつチームに入って戦い、初年度はコロナ禍の影響がありながらもB2昇格を決め、その勢いでB1へというところで戦った2022–23シーズンは、その思いを果たすことができず。それでも“次こそは”という思いで挑んだ翌シーズンのセミファイナルで2年連続で敗退してしまったことは本当に悔しいのと同時に、自分の中で大きな意味を持つ試合になりました」
チームとして戦う仲間の思いも感じていたからこその悔しさもあったという。
「僕自身、シーズン終了後に休む間もなく次のシーズンに向けて準備をして挑んだのは、長いキャリアの中でもこの2023–24シーズンがはじめてでした。そういった強い思いで戦っていたのは、ほかの選手もきっと同じだったのだと思います。絶対に負けたくないという思いをみんな抱いていたので、1敗するだけでシーズンが終わってしまったんじゃないかというくらいロッカールームの雰囲気が重くなったことも。そういった選手たちの上に上がりたいという気持ちに加え、クラブに関わってくださっている多くの人たちの思いも強く感じていたからこそ、さらに強い気持ちでキャプテンとしてこのチームを引っ張っていかなくてはならない。セミファイナルでの悔しい結果を受け、その思いはより強くなりました」
死闘を戦い抜いたセミファイナルを通し、チームとしての課題も見えた。
「56勝4敗でプレーオフに進出し、チームとして大きな自信を抱いていたのですが、逆にそういった気持ちがあったために縛り付けられて、臨機応変に対応できない部分があったかなと思います。今までやってきたことで勝ててしまっていたとはいえ、そこの成績や結果にとらわれず、いろんな引き出しをもって戦うべきだった。また、試合が進むにつれ、外国籍選手の経験値といったものの差が少しずつ出て、最後はそこにやられたという印象でした。特にコート上で起きることに対してどうリアクションして、アジャストするのかといったプラスアルファの動きは、主力の若手選手には必要だったんじゃないかと主将として思います。個人として結果を出さなきゃならない部分があると同時に主将としてチームを引っ張って若手を育て上げる役割も担わなくてはならない。その両立は決して簡単ではないのですが、犠牲心をもってチームをよくする取り組みは絶対に必要だと思っています」
3度めの正直となるB1昇格を懸け、戦っている今シーズン。後半戦は、どんな思いで戦っていくのだろう。
「同じ経験をしてきた選手が多いぶん、劣勢のときに多くのことを話さなくても“今、ここで頑張らないと結果に繋がらない”ということを共有できるようになってきました。そういったいい形になってきた部分を生かしながら、自分の経験を還元する。自分の強みであるそこを出しながら、みんなの思いを力にしていくことで、必ずB1昇格を果たしたい」
©アルティーリ千葉
バスケットボール選手
大塚裕土
YUTO OTSUKA
1987年、北海道生まれ。2016-17シーズンにサンロッカーズ渋谷でBリーグ開幕を迎え、富山グラウジーズのシューターとして活躍。2021年に川崎ブレイブサンダースで天皇杯獲得に貢献したのち、2021-22シーズンにB3参入を果たしたアルティーリ千葉に移籍。
TAMURA’S NEW WORK
スペシャルアートエキシビション 田村 大×増上寺「個人の作家による個展は、600年以上に及ぶ増上寺の歴史においてもはじめてのことだと伺い、身が引き 締まる思いで作品を描きました」。描き下ろしの新作が公開される個展は、3月20日(木)~23日(日)に開催。 田村本人が期間中在廊する。会場などの詳細は、下記のプロフィールに記載したインスタグラムで。
日常を特別なものとして感じるために
アスリートを描く作品とはまた違う、繊細ながら見るものを引き込むような力強さを静かに放つアート作品。これらは、3月20日(木)~23日(日)の3日間にわたり東京の増上寺で開催される、田村 大の個展のために描き下ろした作品だ。
「僕には世界的なアーティストになるという夢があるのですが、世界に評価されるためには、まず日本という場所で確立しなければならないものがある。今回、ご縁があって日本を象徴する場所である増上寺で個展ができるのは、その点で大きな意味があることだと思っています」
展示作品に込めた想いとは?
「作品はすべて、増上寺という場所にあるエネルギーを僕なりに表現しています。いつも“日常にアートを”という思いで作品を描いているのですが、今回の個展でも来てくれた方が帰り道にいつも見えなかったものが見えるような気持ちになれ、日常を少し特別なものとして感じられる。そんな個展になれば嬉しいです」アーティスト
田村 大
DAI TAMURA
1983年、東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会であるISCAカリカチュア世界大会で、総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のフォロワーは10万人以上。その中にはNBA選手も名を連ねる。Instagram:@dai.tamura
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illustration : Dai Tamura composition&text : Takumi Endo