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2025.03.28


W杯通算34勝の圧倒的な強さを誇る【小林陵侑】が五輪デビュー戦の悔しさを、飛躍のためのステップに!

W杯通算勝利は日本人最多の34勝を誇り、W杯の総合優勝2回、北京五輪の金メダリストといった輝かしい実績で、スキージャンプ界を牽引する小林陵侑。ミラノ五輪での活躍も期待される若きエースが、覚醒前夜の1戦を語る。

 
RYOYU KOBAYASHI

TURNING POINT

2018年2月10日
平昌オリンピック スキージャンプ
男子ノーマルヒル決勝

2018-19シーズンにW杯で総合優勝という日本人初の快挙を成し遂げ、シーズン通算13勝をマーク。2位に大差をつけて日本人初の年間総合王者にも輝き、スキージャンプ界におけるトップアスリートの仲間入りを果たした小林陵侑。その後、北京オリンピックでノーマルヒル金メダルとラージヒル銀メダルのふたつのメダルを獲得し、さらに昨年は、アイスランド山中に作られた長野五輪のラージヒルの約2・5倍の規模に及ぶ巨大ジャンプ台で、飛距離291mという命懸けの世界最長ジャンプを成功させたことでも世界の注目を集める存在となった。

そんな小林が分岐点として語ってくれたのは、2018年の平昌オリンピック。五輪代表にはじめて選ばれた小林は、2日めに行われた個人ノーマルヒルジャンプの1回めに108m、2回めに108mを飛び、240・8点で7位に入賞を果たした。ラージヒルでも、10位で日本勢トップの成績をあげた。このときは現在のような圧倒的な強さを見せる前の“期待の新鋭”ともいえる存在で、2016-17シーズンからW杯に参戦してからなかなか結果を残せずにいた中で、翌シーズンの飛躍を予感させる健闘を見せた。

「すごく調子がよかったのですが、表彰台に届くようなジャンプにはなりませんでした。日本人選手最高位ではあるけれど、7位という結果に納得ができず。今のジャンプでは世界で戦うことができない……と思い、このオリンピックを終えたシーズンの夏からジャンプの取り組み方を変えるきっかけになりました。うまく飛べているはずなのに結果が出せないときが、やっぱり一番辛いですからね」

悔しい結果を受け、助走の姿勢や踏み切り方の修正などに貪欲に取り組んだ小林は、翌シーズンの開幕前には理想的なフォームを作り上げた。彼の強さの秘密の一端はジャンプ台での飛び出し方と姿勢にあるといわれるが、持ち前の身体能力の高さを生かし、そんな世界で勝てるフォームを手に入れたのも、平昌オリンピック後の取り組みからだった。

「ヨーロッパのトップ選手など、自分がいいなと思う選手のジャンプを動画で見て参考にしながら、自分に落とし込んでいきました。脳波測定などによるメンタルトレーニングに取り組んでいたのも、この時期。もともとすごく緊張しやすいタイプなのですが、なぜ緊張したのかを分析しながら、緊張とうまく付き合えるようにすることの大切さも学びました」

そんな取り組みを経て迎えた2018-19シーズンは、冒頭でも紹介したようにW杯個人総合優勝を成し遂げ、大ブレイクを果たす1年に。フィンランドで行われたW杯第3戦では、平昌五輪ノーマルヒル金メダリストのウェリンガー、同ラージヒル金メダリストのストッフ、といった実力者を抑えて表彰台に立ち、スキージャンプの本場ヨーロッパの関係者を驚かせる存在となった。

さらに2018年の年末から2019年の年初にドイツとオーストリアで開催された伝統ある大会“ジャンプ週間”では、4試合すべてで優勝し、史上3人め、日本人初のグランドスラムを達成してみせた。世界のトップ選手の仲間入りを果たした小林は、日本人初のワールドカップ年間総合王者として日本代表の“日の丸飛行隊”を牽引する存在となり、2022-23シーズンには史上7人めとなるW杯通算30勝を達成。今シーズンも、2月に行われたW杯札幌大会で飾った2連勝で強さを体現しているが、ジャンプ界の顔となった現在も目の前にある試合を勝つことに集中して戦うスタイルが身上だ。

「あまり先のことは、考えられないんです(笑)。スキージャンプ自体が、1年後にはどうなるかわからないという競技特性だからというのもあります。ルールが頻繁に変わることがあるので、ルールが変わったらそれに適合するために時間がかかることも。1年後、2年後でこういう練習をすればいいという計画が立てにくい部分もあるんです。だからこそ、今の自分を高めながら一歩一歩前に進んでいくことに集中したいと思っています」

一方で、子供を対象としたスキージャンプの普及活動にも力を注ぐ。「この競技に子供たちが触れる機会が少ないので、その機会を増やして地方でも都市部でもスキージャンプをはじめたいと思ってくれる子供たちが増えればいいなと思っています。そして競技の面でも子供たちから憧れられる存在となって、もっともっとスキージャンプを盛り上げられる選手でありたいですね」

 
スキージャンプ選手
小林陵侑
RYOYU KOBAYASHI
1996年、岩手県生まれ。高校生まではノルディック複合の選手だったが、2015年の土屋ホームに入社と同時にジャンプに転向。2022年に北京五輪でノーマルヒル金メダル、ラージヒル銀メダルを獲得し、W杯で2度めの年間総合優勝。2023年4月にプロ選手として独立。

 
TAMURA’S NEW WORK
 田村 大×アメイジング
“振るだけで理想のスウィングモーションが習得できるバット”というコンセプトで開発された、トレーニング用の竹製バット。スイートスポットが狭く、芯を外して捉えた打球は力なく飛ばない打球になるのが特徴。これで練習することで自然に芯で捉えられるようになり、ミート力が身につく。炎の隈取りが映える4色から選べる。5月末頃発売予定。

 
燃えたぎる熱い気持ちを伝えるために
田村 大というアーティストを象徴する絵柄である歌舞伎の隈取りモチーフを、迫力あるタッチで描いた野球用バット。大阪府・八尾市で野球塾も運営する〈アメイジング〉というブランドとのコラボレーションアイテムだ。

「〈アメイジング〉は、亜細亜大学とJR東海で活躍し、野球指導者経験もある廣畑 実さんが手掛ける野球用品ブランド。〝現役時代にあったら絶対に使いたかった商品”をテーマに、革新的なバットを作っています。〝世界に認められる存在を目指す”という共通する夢をもっていることに共感し合い、今回のコラボが実現しました。僕の代表作である隈取りのモチーフは、炎のように燃えたぎる熱い気持ちや戦う姿勢を表現しているもの。このバットを手にした選手たちにもそんな燃えたぎる思いが伝わり、モチベーションを上げるきっかけになる。そんな存在になってくれたら最高ですね」

アーティスト

田村 大
DAI TAMURA
1983年、東京都生まれ。2016年にアリゾナで開催された似顔絵の世界大会であるISCAカリカチュア世界大会で、総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のフォロワーは10万人以上。その中にはNBA選手も名を連ねる。Instagram:@dai.tamura
 

  

 
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Information

雑誌『Safari』5月号 P214〜216掲載

 アラン・リッチソンが表紙を飾る
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illustration : Dai Tamura composition&text : Takumi Endo
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