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2025.03.01


Vol.26 岩村明憲/悲運のチームリーダー【MLBの挑戦者たち〜メジャーリーグに挑んだ全日本人選手の足跡】


岩村明憲(いわむら あきのり)/1979年2月9日生まれ、愛媛出身。日米通算1585安打209本塁打(1998〜2014年)

1996年のドラフト会議でヤクルトスワローズ(当時)に2位指名され、愛媛・宇和島東高校からプロ入りした岩村明憲。スワローズでは1年目から頭角を表し、在籍10年間(晩年の2年間は除く)で1073安打、188本塁打を記録するなど、チームの中心選手として活躍した。3年連続3割30本塁打を達成した2006年、ポスティング・システムを利用しての渡米を決意。タンパベイ・デビルレイズ(当時)と3年契約を結び、入団会見では「メジャーに入ることではなく、そこで活躍することが大事」と語っている。

日本では三塁を主戦場としていた岩村だったが、キャンプ当初は守備位置が定まらず、一塁手や外野手の準備もしていたという。開幕戦となるニューヨーク・ヤンキース戦では、6番・三塁手として先発出場。第3打席にヒットを放ち、メジャー初安打を記録した。以降、9試合連続安打を記録するなど、好調なスタートを切ったかに見えた。しかし4月23日に脇腹を痛め、約1カ月の休養を余儀なくされてしまう。結局この年は123試合に出場し、打率.285、7本塁打、34打点。メジャー1年目としては十分な活躍を見せた。
 

 

2008年10月19日、フロリダのトロピカーナ・フィールドで行われたにア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦。セカンドを守る岩村が最後のアウトを奪い、球団初のワールドシリーズ進出を決めた

3年連続地区最下位に終わったチームは、翌’08年にデビルレイズからレイズに名称を変更。29歳になっていた岩村には、チームの奮起を促すリーダーの役割も求められた。また、この年から二塁手へのコンバートが決定。オフ期間には守備を猛特訓したという。生まれ変わったレイズは、開幕当初こそ最下位に沈んだものの、4月の6連勝で波に乗る。終盤まで激しい首位争いを演じ、最終的に創設11年目にして初のア・リーグ東地区優勝を果たした。

岩村は慣れないポジションを堅実に守りきり、152試合に出場して打率.274、6本塁打、48打点を記録した。6月には死球が絡んだ乱闘に加わり、3試合の出場停止処分。本人は「味方がどうこうされるのも黙っていられない。止めなければならなかった」と話している。臆さずにチームの先頭に立つ、いかにも岩村らしいエピソードだ。また、8月にチームが7連敗を喫すると、ジョー・マドン監督に緊急ミーティングの開催を直訴。若手主体のチームにおいて、期待通りのリーダーシップを発揮した。シカゴ・ホワイトソックスとのディビジョンシリーズでは、劇的な2点本塁打を放つなど勝利に貢献。念願のワールドシリーズ進出を果たすも、フィラデルフィア・フィリーズに敗れている。

‘09年も好調なスタートを切った岩村だったが、彼にとって悪夢のような出来事が起きたのは、5月24日のフロリダ・マーリンズ戦であった。8回、二塁守備についていた岩村は、一塁走者の激しいスライディングを受けて左膝を負傷。精密検査の結果、左膝前十字靭帯断裂と診断された。当然ながらシーズン中の復帰は絶望的と思われたが、6月になって部分断裂であったことが判明。8月末に復帰すると、この年唯一の本塁打を放っている。
 
 

2010年3月、ヒューストン・アストロズに所属する松井稼頭央とオープン戦で顔を合わせる

そのオフ、トレードでピッツバーグ・パイレーツに移籍。日本に帰国した際、四国八十八箇所巡り(お遍路さん)を行う姿が多くのメディアで報道された。’10年シーズンは怪我の影響もあって打撃が低迷。6月にはメジャー40人枠から外れ、3Aに降格となる。9月に解雇を言い渡されたが、急遽オークランド・アスレチックスとメジャー契約を結ぶ。故障選手の代役として、岩村に白羽の矢が立ったのだ。しかし10試合に出場して打率.129と活躍できず、10月に再び解雇された。
 
 

球団創設25年を記念して、2008年のア・リーグ優勝を決めた岩村の姿を銅像に

以降は日本球界に復帰し、東北楽天ゴールデンイーグルス、古巣の東京ヤクルトスワローズに計4年間在籍。’14年オフにスワローズを戦力外になると、独立リーグに所属する福島ホープス(現・福島レッドホープス)の選手兼任監督に就任した。「もうNPBはない。俺はいま、福島県のために野球をやっている」と語り、’17年には現役引退を表明した。現在は同チームの運営会社の代表取締役会長/総監督として、野球界の発展に貢献している。

走攻守にわたるダイナミックな躍動が持ち味だった岩村にとって、膝の大怪我はまさに致命的だった。いまさら仕方のないことではあるが、すべての野球ファンを代表して再びこう呟きたい。もしあれがなければ……と。

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文=野中邦彦  text : Kunihiko Nonaka
photo by AFLO
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