この曲を聴けるかどうかは自分たち次第!?
ファレルが100年後に曲をリリース!
ファレル・ウイリアムスが100年後にリリースする曲を制作した。ん〜、なんとも面白い試み。それって、どんな曲なのか気になりますよね? そういえば、どんどん平均寿命が伸び、100年生きることも珍しくない”人生100年時代”も到来するといわれる昨今。
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今の時代を生きている人でも、子供たちなら、ひょっとして聴けるのかも? な〜んて思ったり。だけど、この曲を作った意味は、実はもっと深い。果たして、その意味とは?
そもそも、このプロジェクトが始動したのは、コニャック〈ルイ13世〉とのコラボレーションによるもの。〈ルイ 13世〉といえば、100年のときを越えて生まれるコニャックの至高。長きにわたり熟成した古酒をブレンディングしているというのが有名だ。選び抜かれた素材、時間と手間がかけられ、ラグジュアリーの象徴、なんていわれることも。そう、〈ルイ13世〉は長い時間と、適した自然環境が欠かせないワケだが、ファレルはここに感銘を受けたとか。
「私は〈ルイ 13世〉が1世紀先を見据えて造られているという事実に大変好感を持ちました。〈ルイ 13 世〉の デキャンタも世代を超えて受け継がれ、人々が生涯をかけて完成させているもの。そのすべては未来への遺産であり、”継承”とはなんたるかを物語っているのです。そして、そのために重要なのは環境保護。この星を守るため、未来のために私たちが考えるべきことです」
〈ルイ13世〉は今までも積極的に環境保護について取り組んできている。それに関しては、2015年には俳優のジョン・マルコヴィッチとタッグを組み、100年後に公開する映画を制作したことも。ファレルはそんなところにも共感し、今回『100 Years: The Song We’ll Only Hear If We Care』 という100年後にしか聴けない曲を制作した。
2117年まで、レコードと〈ルイ 13世〉は最新式の特注金庫に納められ、〈ルイ13世〉のセラーのひとつに保管。金庫は2117年11月に自動的に開錠される
左:金庫はフランスのフィシェ・バウチェ社が設計した世界最高峰のもの 右:最上級区域であるグランド・シャンパーニュの葡萄畑
そう、実は今回の曲は、地球温暖化による気候変動に警鐘を鳴らすために作られたものでもある。というのも、この曲は1枚のレコードに録音されているのだが、その素材はコニャック地方の石灰質の土を原料とする粘土。つまり、水に沈むと溶けてしまうのだ。当然そこには、「地球温暖化によって海面が上昇し続けた場合、100年後には世界の陸地の一部が水没する」という科学者の予見に基づいた問題意識がある。
それに、〈ルイ13世〉は、コニャック地方の中でも最上級区域であるグランド・シャンパーニュ産の葡萄のみを使用していることも関係している。もし、この地域が水没してしまったら、もう〈ルイ13世〉は造り続けていくことができなくなってしまう。100年の時間をかけ、4世代のセラーマスターが継承してやっと完成する〈ルイ13世〉。次世代に変わらぬテロワール(土壌・環境)を遺すという目的、また、セラーマスターは自身が手掛けたものの完成品を手にすることができないという危惧から、「100年という時間をかけなければ得られないものがある」ということを多くの人に体感してもらいたいという願いもこめられている。
つまり、この曲を100年後の2117年に聴くには、地球温暖化対策に取り組むしか方法はなく、世界中の人々が暮らし方を変えなければ、未来の世代がこの曲を聴くこともない。そんなメッセージを象徴するのが、このレコードってわけだ。
今はその曲が聴けずとも、子供たちはひょっとしたら聴けるかもしれない。そのときに、地球温暖化の問題が緩和されていていることを願わんばかりだ。そしてそのときに、〈ルイ13世〉を同時に味わえたらどんなにいいことか。みなさんも、是非このプロジェクトの意味を考えてみてほしい。
●レミー コアントロー ジャパン
TEL:03-6441-3025
URL:www.louisxiii-cognac.com