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2025.04.26


Vol.28 松坂大輔/平成の怪物からDice-Kへ 後編【MLBの挑戦者たち〜メジャーリーグに挑んだ全日本人選手の足跡】

 

  

 


メジャー3年目となる2009年。松坂は3月に行われた第2回WBCに日本代表として出場し、大会最多勝と2大会連続の最優秀選手に選ばれた。しかしシーズンに入ると開幕から不調が続き、右肩の疲労から故障者リスト入りとなる。6月になってようやく初勝利を挙げるも、再び故障者リスト入り。この間、チーム批判を疑われる発言をしたとして、釈明文を出す騒動に発展。米メディアからも非難される事態となった。ままならないシーズンが終了すると、記者会見でWBC前から股関節を痛めていたことを公表。シーズンの成績は、わずか12登板、4勝6敗に終わった。

翌2010年は背中と首の張りにより開幕から故障者リスト入り。5月に戦線復帰すると、22日には8回2死までノーヒットに抑える好投を披露した。久々に完全復活を予感させる内容だったが、次戦では9四死球と大乱調。好不調の激しい投球が続いたものの、6月7日には日本プロ野球史上最速でNPB/MLB通算150勝を達成している。また8月には、球団史上2番目のペースで500奪三振を達成した。規定投球回には届かなかったものの、9勝6敗、防御率4.69でシーズン終了。速球に力強さが戻りつつあり、来季への期待が膨らんだ。

2011年も好不調の波が激しく、メジャー初のリリーフ登板も経験。しかしその頃から右肘に違和感を感じており、5月に故障者リスト入りすると、6月にはトミー・ジョン手術を受けることが決まった。当時30歳。高校時代からの勤続疲労は、いかに怪物といえども避けることはできなかった。2012年6月9日、ワシントン・ナショナルズ戦でメジャー復帰。最速150キロを記録するも、5回4失点で黒星を喫する。8月にようやく初勝利を挙げ、メジャー通算50勝を達成。しかし結局その1勝だけに終わり、1勝7敗、防御率8.28でシーズンを終了。オフにはFAとなった。
 

  

 

2013年2月、移籍したクリーブランド・インディアンス(当時)でフォトデーに参加

ここから松坂は日米を股にかけたジャーニーマン生活に入る。2013年はクリーブランド・インディアンズ(当時)とマイナー契約を結ぶも、メジャーに昇格することなく8月には自由契約に。同月、ニューヨーク・メッツとメジャー契約。エースナンバーの背番号16を与えられるなど、チームの期待は大きかった。9月に7回1失点で初勝利を挙げると、3連勝を記録してシーズンを終了。しかし契約は更新されずFAに。2014年はメッツとマイナー契約で再契約し、4月には新たにメジャー契約を結んだ。当初はリリーフとして起用されたが、7月には先発として自己最多タイの10奪三振を記録。肘の炎症に耐えながら粘り強く投げ、34登板で3勝3敗3ホールド1セーブ、防御率3.89とまずまずの成績を残した。またこの年、NPB/MLB通算2000奪三振を達成している。
 

  

 


2015年5月15日、ニューヨーク・ヤンキースと対戦するサブウェイシリーズで、試合前に黒田博樹、田中将大(写真上)、イチロー(写真下)と談笑する

シーズン終了後にFAとなった松坂は、NPBの福岡ソフトバンクホークスと大型契約を締結。しかし相次ぐ怪我もあって思うような活躍ができず、在籍3年間でわずか1登板に終わった。ファンからも引退を勧める声が聞かれる中、松坂は現役続行にこだわり続けた。その後、2018年に中日ドラゴンズの入団テストを受け、1年契約を締結。背番号99、推定1500万円(+出来高)の1年契約。4月30日、横浜DeNAベイスターズ戦に先発登板すると、6回を1失点に抑え、4241日ぶりとなる日本での勝利を挙げた。この年は最終的に6勝を挙げ、カムバック賞を受賞している。日本復帰後の寂しい姿に批判もあったが、ボロボロの肩肘を抱えた怪物が再起する姿は、多くの人に感動と勇気を与えたはずだ。

しかし翌2019年には自由契約となり、古巣のライオンズに復帰。ほとんど実戦登板のないまま、2021年7月に現役引退を表明した。40歳だった。前年に手術した脊椎の状態が悪く、歩くこともままならなかったという。引退試合が10月19日の北海道日本ハムファイターズ戦に決まると、直前に背番号を往年の18に変更。横浜高校の後輩である近藤健介に対し、最速118キロのボールを5球投げて四球を与えた。試合後は両軍の選手に横浜高校OBも加わって胴上げ。東尾修をはじめ様々な恩人・友人が見送る中、最後にイチローがサプライズ登場すると、松坂は堪えきれずに号泣した。野球を愛し、野球に愛された怪物が、ついにマウンドを去った瞬間である。

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文=野中邦彦  text : Kunihiko Nonaka
photo by AFLO
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