ワシントンD.C. ×『ワンダーウーマン 1984』
よくも悪くも世界を大きく動かすのが、アメリカの政治。その拠点となるのが、首都のワシントンD.C.だ。ちょうど大統領も交代し、注目を浴びるこの都市は、ホワイトハウスなど政治に関係したスポット以外にも、多くの見どころがある。『ワンダーウーマン 1984』は、そんなワシントンD.C.の多面的な魅力をフィーチャー。主人公のスーパーパワーと勇気がアメリカの首都で描かれることで、世界が求めるヒーロー像が浮かび上がったりも!?
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- 映画を巡る旅に出よう! vol.25
『ワンダーウーマン 1984』(2020年/アメリカ映画)
ワシントンD.C.(コロンビア特別区/アメリカ)
● 原題:Wonder Woman 1984
● 製作・監督:パティ・ジェンキンス
● 出演:ガル・ガドット、クリス・パイン、クリスティン・ウィグ、ペドロ・パスカル
Story
ダイアナが働く国立自然史博物館に、新たな研究者としてバーバラが赴任。2人は友達になるが、その頃実業家のマックスが“どんな夢も叶える石”を手に入れ、世界を支配する計画へと動きはじめた。石のパワーによって人々の生活は大混乱し、ダイアナはワンダーウーマンとして戦いを決意するが、チーターという別の敵も現れる。
前作の舞台は第一次世界大戦時だった
海に墜落した軍人のスティーブを助け、世界で戦争が起こっていると知ったダイアナは、彼とともに戦場へ向かう。これが第一次世界大戦時の話。その後、ダイアナは考古学者になったわけだが、数十年たった1984年も彼女の外見は変わらず、年をとってない! すべては特殊な力のおかげ。
登場人物右:考古学者
ダイアナ/ワンダーウーマン(ガル・ガドット)
女性だけが住む神秘の島の王女として、子供時代から戦闘訓練を受けて成長。島の外の世界へ移り住み、考古学者として博物館に勤務しながら、人々の危機にはワンダーウーマンとしてパワーを発揮。
左:ダイアナの同僚
バーバラ(クリステン・ウィグ)
鉱物が専門の研究者。内気な性格で、オタク気質。夜道で襲われかけたときにダイアナに助けられ、彼女と仲よくなる。発見した不思議な石を実業家マックスに譲ってしまい、大危機のきっかけに。
新たな年を迎えてから、アメリカの中でやたらとニュースに登場しているのが、首都のワシントンD.C.。トランプ支持者による議事堂への侵入事件や、バイデン新大統領の就任式などで、ワシントンは話題の中心地になっている。
ビジネスやエンタメが盛んなNYやLAといった他の大都市と違って、ホワイトハウスのあるワシントンは政治の拠点。東海岸のメリーランド州とヴァージニア州に挟まれた“特別行政区”として、どの州にも属していないのが特徴だ。ワシントン州というのも存在するが、首都とは遠く離れた西海岸の州のこと。アメリカ国民にとってもワシントンD.C.は特殊な都市なので、観光客も多い。ポトマック川沿いの桜並木や、文化の最先端施設など多くの見どころを備えた街である。
ワシントンD.C.への注目が集まったのと同時期に、タイミングよく公開されたのが『ワンダーウーマン 1984』だ。DCコミックの人気アクション映画の第2作は、ワシントンD.C.を中心に展開していく。ダイアナ=ワンダーウーマンの運命や活躍のバックに、名所が次々と登場するが、最大の見せ場のひとつは、トランプが支持者に“ここを歩いて議事堂へ向かおう”と訴えた、ワシントンD.C.のメインストリート、ペンシルベニア通り。ホワイトハウスと合衆国議会議事堂を結ぶこの通りを封鎖し、ワンダーウーマンが全力疾走するシーン(上の写真)が撮影された。
さらにダイアナの仕事の場である博物館や、彼女のアパートとなったウォーターゲート・ホテル(政権を揺るがす盗聴事件にその名が使われたことで有名)、’80年代の流行が再現された若者の街、ジョージタウン……と、全編、ワシントンD.C.の観光ムービーとしての魅力を放っているのだ。アメリカの首都で熱い戦いをみせることで、ワンダーウーマンの勇姿はさらに輝きを増す!
Place 01(博物館)
国立航空宇宙博物ワシントンD.C.の観光で最も人気が高い“スミソニアン”。様々な種類の博物館や美術館を擁した複合スポットで、映画では『ナイト ミュージアム2』の舞台になった。スミソニアンの目玉といえるのが、航空機や宇宙船、ロケットを集めたこの博物館。超レアな展示品が多く、飛行機マニアには聖地でもある。ダイアナに連れてこられたスティーブも大感激!
●Smithsonian National Air and Space Museum
住所:600 Independence Ave. SW, Washington, DC 20560
Place 02(建築物)
リンカーン記念堂ダイアナとスティーブがロマンチックに散歩するのは、ホワイトハウスと並ぶ、ワシントンD.C.のシンボル。階段を上がったホールには第16代大統領リンカーンの坐像が設置されている。正面に広がる巨大な人工池、その向こうに見える記念塔とともに『フォレスト・ガンプ/一期一会』など数多くの映画に登場した。日没後のライトアップも美しい。
●Lincoln Memorial
住所:2 Lincoln Memorial Cir NW, Washington, DC 20002
ダイアナの恋人スティーブは、第一次大戦が描かれた前作で命をおとした。しかし今回、夢を叶える魔法の石のパワーによって、彼が姿を現す。二度と会えないはずの最愛の人との再会がどんな結末を迎えるのかは本作の見どころだ。
Place 03(バー)
POV Rooftopダイアナとバーバラがランチを楽しむのは、Wホテルの屋上にあるレストラン&バー。彼女たちが座っているテーブルの周囲は“モニュメント(記念塔)コーナー”と呼ばれ、ワシントンD.C.の絶景を一望できるので、予約がマスト。食事のメニューはバーガーが26ドル、ステーキが56ドル~など、特上の景色とサービスを考えれば納得のプライス。グラスワインを軽く楽しむために立ち寄るのもいいかも。1月から日本で公開中の韓国映画『KCIA 南山の部長たち』でも、イ・ビョンホン扮する主人公がここで食事するシーンが!
●POV Rooftop
住所:515 15th St. NW, Washington, DC 20004
Place 04(博物館)
国立自然史博物館植物や動物、化石や隕石の標本、恐竜の骨、実物のレアな昆虫や鳥などを中心に1億点以上の展示品があるといわれる、アメリカでも屈指の博物館。スミソニアンでは、航空宇宙博物館と並ぶ人気を誇っている。1910年に建てられ、外観・内観とも建築物としてのデザインも見事だ。映画ではダイアナとバーバラの職場という重要スポット。いくつかのシーンは実際に館内で撮影され、南入り口のホールにある巨大な象の剥製(象牙はレプリカ)などを観ることができる。
●Smithsonian National Museum of Natural History
住所:10th St. & Constitution Ave. NW, Washington, DC 20560
雑誌『Safari』4月号 P172~173掲載
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