ニューヨーク ×『セックス・アンド・ザ・シティ』
登場人物と同じ気持ちになって入り込む熱いファンもいれば、タイトルは知っていても全く観たことのない人もいる。映画はそういうものだが、『セックス・アンド・ザ・シティ』は両極端に分かれる作品だろう。ただ、すべての人にオススメの鑑賞法がある。それは“ニューヨークを楽しむ”ということ。最新作も配信されたので、この劇場版第1作とNYの最高の相性を実感してみては?
- SERIES:
- 映画を巡る旅に出よう! vol.36
『セックス・アンド・ザ・シティ』(2008年/アメリカ映画)
ニューヨーク(ニューヨーク州/アメリカ)
● 原題:Sex and the City
● 監督・脚本:マイケル・パトリック・キング
● 製作・出演:サラ・ジェシカ・パーカー
● 出演:キム・キャトラル、クリスティン・デイヴィス、シンシア・ニクソン
Story
恋人のビッグと同居すると決めたキャリーは、彼が見つけてきたアパートの最上階の部屋を気に入り、2人の新たな生活がはじまった。LAに住むサマンサがNYへ遊びに来たことで、ミランダ、シャーロットという親友たちが久々に顔を揃え、クリスティーズでのオークションなどを楽しむうちに、キャリーはビッグとの結婚を真剣に考える。
爆発的人気のTVシリーズ
1998年6月にスタートしたTVシリーズは、NYに暮らす4人の30代女性の日常を、タイトルどおり赤裸々&リアルに描き、ゴージャスなファッションも含め、全世界で社会現象と呼べる人気を獲得。シリーズは2003~’04年のシーズン6まで制作され、今でもファンを増やしている。
登場人物
中右:コラムニスト
キャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)
ベストセラー本を出版し、恋人ビッグとの結婚も考えるなど公私とも絶好調。
中左:PR会社社長
サマンサ(キム・キャトラル)
俳優の恋人とLAで暮らしている。自社で彼のプロモーションに精力的。
左:主婦
シャーロット(クリスティン・デイヴィス)
元アートディーラー。夫との間に子供ができず、中国人の養女を育てている。
右:弁護士
ミランダ(シンシア・ニクソン)
夫と子供とブルックリンで暮らすが、弁護士の仕事と家庭の両立に悩む。
1本の映画が、どこかの街の魅力をたっぷり満喫させてくれることもある。しかしシリーズやドラマとして長い期間、ひとつの街を舞台にしてくれたら、観ているこちらもそこで暮らしている錯覚に陥る。その意味で『セックス・アンド・ザ・シティ』(以下、SATC)が描くニューヨークは、登場人物たちと同じくらい、いやそれ以上に記憶にやきついてしまう。ドラマがスタートしたのが24年前の1998年。そこから6年間続き、その後映画も2本完成。さらに2021年末からは新作シリーズも配信されるなどブームが再燃中。多くの人のバイブルとして輝きを失わない作品なのだ。
映画版は、ドラマ版以上にNYのスポットが印象的に登場する。まさに観光ムービーと呼んでもいい映像が続く。ここに紹介した以外にも、屋外でファッションショーが開かれるブライアントパーク、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のメインダイニング“ザ・モダーン”、ライブミュージックが演奏されるカーライルホテルのベーメルマンス・バーなど、ちょっとしたセレブ気分も味わえる場所がセレクトされ、主人公キャリーらの恋や人生の行方を盛り上げてくれる。
NY旅行を計画する場合、もちろん財布と相談してカジュアルな楽しみ方をするのもひとつのアイデアだが、どうせ行くなら旅の間に何度かリッチな気分に満たされたい。そんな人にとってSATC、特にこの映画版は最適なテキストになるはず。そして同行者がいる場合、その相手がSATCのファンであってもそうでなくても、これら選りすぐりの場所を案内すれば、“NYの達人”として尊敬されるかもしれない。さらに主人公たちが50代に突入した最新作を観れば、NYの風景が最新にアップデイトされているので、旅行好きにとってSATCは意外や意外、マストな作品なのではないか。
Place 01(アパート)
キャリーのアパートキャリーの自宅は、アッパー・イーストサイド73丁目という設定。アパートの入り口は劇中に何度も登場するが、実際のロケ地はダウンタウンのウエスト・ビレッジ。入り口前の階段はファンにとっても“聖地”となり、記念写真を撮る人が絶えなくなり、実際の住民のために撮影禁止の標識も。キャリー役のサラの自宅も、このロケ地の近所だとか。
●Carrie Bradshaw's Apartment
住所:66 Perry St., New York, NY 10014
Place 02(図書館)
ニューヨーク公共図書館年間の来館者数は1700万人。所蔵数は5000万点以上で、私立図書館として世界でも最大級。NY市民には日常的な場所で、観光客も訪れることができる。本館の正面玄関にあるライオンの像が目印。本作ではキャリーの結婚式の会場になったが、『スパイダーマン』『ゴーストバスターズ』『デイ・アフター・トゥモロー』などNY映画にも数多く登場。
●New York Public Library
住所:476 5th Ave., New York, NY 10018
コラムニストのキャリーにとって、図書館での結婚式は夢の実現。彼女が尊敬する文豪たちのラブストーリーが所蔵されているからだ。ネオクラシックの外観・内装が美しいこの図書館には複数のホールがあり、実際に結婚式を挙げられる。企業のパーティなども行われている。
Place 03(オークションハウス)
クリスティーズサザビーズと並ぶ、2大オークションハウスのクリスティーズは、1766年にロンドンで創業。NYではロックフェラーセンターの中にあり、年間600以上のオークションを開催。美術品はもちろん、ジュエリーやワイン、車も競売される。映画でサマンサが思い出のリングを競り落とそうとするように誰でも参加可能で、しかも入場無料。玄関にある看板は、映画『恋愛適齢期』の撮影用に作られたものだが、クリスティーズ側が気に入り、そのまま使用されている。
●Christie’s New York
住所:20 Rockefeller Plaza, New York, NY 10020
Place 04(レストラン)
ブッダカンキャリーとビッグが結婚式の前日にパーティを開いたレストラン。映画からわかるように、“これぞNY”と呼びたくなるゴージャスなスポットだ。チェルシーマーケットのすぐ隣に位置し、店名からイメージするように、メニューはアジアンフュージョン。なかでも北京ダックは絶品という評判だ。エリアごとにテーマカラーが分かれていたり、レセプションにルネサンス風の巨大な絵が飾られているなど、インテリアもため息もの。基本はディナーのみの営業。
●Buddakan
住所:75 9th Ave., New York, NY10011
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昨年末からU-NEXTで配信がはじまった「AND JUST LIKE THAT.../セックス・アンド・ザ・シティ新章」。映画版のパート2から11年ぶりの新作に、サマンサ以外の3人が再集結。50代になったキャリーたちの日常が描かれ、すでに観た人からは、初回の衝撃展開に驚きの声も!
U-NEXTにて見放題で独占配信中
雑誌『Safari』3月号 P180~181掲載
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