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CULTURE カルチャー

2026.01.09 NEW


映画『コート・スティーリング』はダーレン・アロノフスキー監督が良い裏切りを仕掛ける快作!



映画を監督の名前で選ぶ人も多いだろう。その監督の過去の作風やスタイルから、自分に合う作品かどうか判断できるからだが、時として期待を“いい意味で”裏切ってくる監督もいる。『コート・スティーリング』は、そんな一本だ。

監督はダーレン・アロノフスキー。ドラッグの恐怖を“映像”として体感させた『レクイエム・フォー・ドリーム』や、ナタリー・ポートマンのバレリーナが狂気の闇に堕ちる『ブラック・スワン』など、“ひとひねり”したエッジの効いた傑作が目立ち、鬼才という名がふさわしい。時には問題作も送り出す監督。そんなアロノフスキーの新作だと身構えて向き合うと、思いのほかエンタメ的に楽しませてもらえるのが本作だ。主人公は、かつてメジャーリーグのドラフト候補にもなった、バーテンダーのハンク。まったく身に覚えのない、裏社会の大金を巡る事件に巻き込まれた彼が、とんでもない窮地に立たされる。タイトルの『コート・スティーリング』とは野球の盗塁アウトの意味。最悪のシチュエーションとなったハンクが、なんとか自力でリベンジを果たそうとする物語が、ノンストップの勢いで展開していく。
 

 
ハンクを演じたのは、いまハリウッドでも引っ張りだこのオースティン・バトラー。『エルヴィス』で伝説のアーティストを演じてオスカー候補になった彼は、『デューン 砂の惑星 PART2』の敵役など、強烈なインパクトの役が目立っていた。しかし今回のハンクは、ちょっと“残念”な青年で誰もが共感しやすい役どころ。大災難に巻き込まれても、大ファンのサンフランシスコ・ジャイアンツの試合結果を気にするなど、ひたすら愛すべきキャラでバトラーの新たな魅力が開花した。舞台は1998年で、携帯電話がまだレアだったりして、ハンクとマフィアの攻防もすんなり行かないところが映画を面白くする。要所ではかなりショッキングな描写も用意されるし、最後の最後までハンクの運命はシビアで予測不能も、ハンクが隣人から預かったネコがホッコリな味わいを加えたり……と、この手の映画では予想外のサービスに溢れた快作。観た後にはなぜか幸せな気分になるので、心からオススメしたい!

『コート・スティーリング』1月9日公開
原作・脚本/チャーリー・ヒューストン 監督 /ダーレン・アロノフスキー 出演/オースティン・バトラー、レジーナ・キング、ゾーイ・クラヴィッツ、マット・スミス 配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

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文=斉藤博昭 text:HIroaki Saito
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