名馬のシルエットが刻む、音と光のシンフォニー。
〈エルメス〉ウォッチメイキングの美学【Vol.2】
今年のメインテーマとなったスケルトンは、それぞれのコレクションに新たな発見と美学をもたらした。透明感あるブルー文字盤の奥に、星の光を宿す馬の眼差しとともに美しき音色を奏でる。
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HERMÈS
[アルソー ミニッツリピーター サマルカンド]
ARCEAU MINUTEREPEATER SAMARCANDE
©Joël Von Allmen
文字盤はサンルイが手掛け、クリスタル素材そのものの透明感ある美しいブルーが目を奪う。馬の頭部を象った奥には、独自に設計・製造された新たなミニッツリピータームーブメントのH1927を収める。リピーターのスライダーもさりげなく、馬具から着想した個性的なシルエットを損なわない。ケース径38㎜、自動巻き、18KWGケース、アリゲーターストラップ、30m防水。予定価格4854万3000円(エルメス/エルメスジャポン)
注ぐ機械美が駆け抜ける
〈エルメス〉と時計との深い関わりを表す1枚の写真がある。創業家3代めエミールの妻ジュリィが幼い娘たちを撮った。4姉妹が仲よく並ぶ中、次女ジャクリーンの左腕に腕時計が巻かれていた。それこそが父エミールが当時の懐中時計とアトリエにあった革でカバーとストラップを作ったオリジナルウォッチであり、愛する娘に贈られたという。
本来、工業製品である機械仕掛けの時計と伝統的な馬具作りのサヴォワールフェールの邂逅であり、これがひとつのきっかけとなり、〈エルメス〉の時計の歴史が幕を開けたといっていいだろう。それは現代にも受け継がれ、さらに渾然一体化し、洗練度を増している。
“アルソー ミニッツリピーター サマルカンド”は、1978年にアンリ・ドリニーがデザインし誕生した“アルソー”に、最高峰の複雑機構のミニッツリピーターを搭載した。鐙に着想を得た上下非対称ラグを備えたケースには、ヨーロッパ大陸最古のクリスタルメーカーであるサンルイのクリスタル文字盤を合わせ、えも言われず美しい。しかも馬の頭部をモチーフにした透かし彫りで、精緻なメカニズムの一部を見ることができるのだ。
伝統工芸のブルーに浮かび上がる馬の躍動感ある姿と精巧な機械美の融合は、パリオリンピック開会式でセーヌ川を駆け抜けた銀色の馬を思い起こさせる。そんなエスプリが漂い、メゾンの時計は今も駆け続けているようだ。〈エルメス〉にとってそれは時間を計る道具ではなく、時のオブシェであり、大切な思い出のように美しく輝き続けるのである。
©Joël Von Allmen
ベゼルとホワイトのクリスタル文字盤の馬のシルエットにはダイヤモンドをセットする。ケース径38㎜、自動巻き、18KPGケース、アリゲーターストラップ、30m防水。予定価格4854万3000円(エルメス/エルメスジャポン)
©Joël Von Allmen
機構は裏側に配備し、文字盤の内に精緻なメカを秘める。自社製H1927ムーブメントにはミニッツリピーター機構を搭載する。
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●エルメスジャポン
TEL:03-3569-3300
※『Urban Safari Prestige Watch vol.4』38〜39ページ掲載
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