世界遺産エフェソスで過ごす、特別な一夜。日本人だけの『エフェソス・ジャパンディ』を体験!【Safari Travel】
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古代人が観劇した大劇場で、現代トルコの歴史劇とダンスを楽しむ……。8月2日、トルコ西部の世界遺産エフェソス遺跡で、日本人旅行者だけの特別な一夜が実現。古代劇場でのパフォーマンスに続き、ケルスス図書館の遺構がライトアップとプロジェクションマッピングで幻想的に浮かび上がる。まさに2000年の時を超えるタイムトラベルだった。
【古代の都市空間を歩きながら体感するエフェソス遺跡】

ケルスス図書館

ケルスス図書館から大劇場へ続くマーブル通り
エフェソス遺跡といえば、世界最大級の古代遺跡。それも古代ローマ時代の港湾都市が、街そのものの姿に近い形で残っている、という稀なる遺跡だ。遺跡好きならば何度訪れても飽きないし、遺跡観光が苦手という人でも当時の暮らしをイメージしながら、楽しく巡れるのがこのエフェソス。
エフェソス観光の拠点となるのは、トルコ第三の街でエーゲ海の文化が香るイズミル。イスタンブールからは約1時間のフライトでアクセスでき、エフェソスはイズミル中心部からクルマで40分ほどの距離にある。

ローマ皇帝ハドリアヌスにささげられたハドリアヌス神殿。アーチ門の中央には運命の女神ティケ、奥にはメドゥーサらしき浮彫

ハドリアヌス神殿の内部には兵士たちと象らしきレリーフが残る
いつの時代の遺跡かというと、ひと言では言い切れないほどのレイヤーな時代の歴史を有す。伝説によると、紀元前10世紀頃、アテネ王コドロスの息子アンドロクロスがパナユル山の麓にエフェソスを作ったと言われている。
①BC10世紀頃の古代ギリシャ時代
②BC3世紀からBC30年頃、アレキサンドロス大王が活躍した頃のヘレニズム時代(この頃、町はセルチュク城跡近くから現在の場所に移動)
③BC2世紀から4世紀の共和制ローマ時代(紀元前129年、アジア属州の都となる)
④BC1世紀~5世紀の初期キリスト教時代
と、何千年にもわたる複数の都市や集落の歴史や文化が詰まっている。

港から大劇場へとつながっていた大理石の道、アルカディアン通り
ローマ時代の最盛期には約20万人を擁する大都市だったといわれる古代エフェソス。なぜ、これほどまでに繁栄したのか? その理由は、『港・交易路・豊かな農地・宗教』の4つが一つの都市に集まっていたから。

メミウス記念碑からケルスス図書館まで続くクレテス通りは常に観光客で混雑するほどの人気ぶり
エフェソスは現在のキュチュク・メンデレス川(古代のカイストロス川)河口に位置し、エーゲ海とアナトリア内陸部を結ぶ重要な港湾都市だった。肥沃な平野では農業も盛んで、大理石や鉱物などの資源にも恵まれていた。穀物、ワイン、オリーブなどの農産物をはじめ、織物や工芸品が集まり交易が活発に行われ、さらに紀元前129年にローマの支配下に入ると『ローマ帝国のアジア属州の中心都市』として発展する。

豊穣と多産のシンボルといわれるアルテミス。写真は後述のエフェソス・エクスペリエンス・ミュージアム内映像
そして大きな要因が『宗教』。エフェソスには当時地中海エリアで信仰を集めた女神アルテミスを祀る壮大な神殿があり、各地から多くの巡礼者が訪れた。彼らを相手に宿泊、飲食、土産物などの商業が発展し、巨大な経済活動が生まれたという。なにより、エフェソスはシルクロードの西の玄関口だったこともあり、世界各地から商人や巡礼者が集まる、まさに古代世界の国際都市だった。
ギリシャ神話の勝利の女神ニケ。スポーツブランド“NIKE”はここからきている
横ならびにコの字型に並ぶ公衆トイレ。世間話をしながら用を足していたそう
娼館は港町になくてはならない大切な商いのひとつだった。図書館を出てアゴラ側のすぐ右側にはさまざまな商店や娼館なども並んでいたそう
商店のそばに置かれたヤシの葉と壺の看板は、支払いの方法を示しているという説が有力
クレテス通りのアゴラ(商店)の入り口床のモザイク壁画。このように床のデザインにも凝って、人目を引いて集客していたそう
クレテス通りにある迎賓館プリタネイオンから下へ降りる道、を意味する『カトドス』を示す石碑、交易の守護者ヘルメスと牡羊の浮彫り。もう一方には、アポロンの神託のシンボル、三脚台の浮彫りがある
現在残っている遺跡の数々は、もっとも栄えたローマ時代の頃のものが多い。たとえば、大劇場や図書館、商店街、娼館、公衆浴場、公衆トイレ、大理石の大通り、時の皇帝の名を冠した神殿、娼館の看板などなど……古代の都市空間を歩きながら体感できる。歴史好きにはたまらない体験。そこここに転がっている大理石の柱も、イオニア、コリント、ドーリア式とさまざまな時代の建築装飾が見られて興味深い。
【2000年以上昔の大劇場で圧巻の舞台パフォーマンス】
当時は2万4000人を収容できたという大劇場。古代では演劇や会議、ローマ時代は剣闘士と猛獣の戦いなども行われていた
夜風が涼しくなる夜8時過ぎ、エフェソス遺跡の大劇場から見る空はようやく茜色に色づき、主賓挨拶の後、オスマントルコ軍楽団メフテルの音楽がスタート。観た人の中には「この曲、知ってる!」という人も多かったはず。ネットフリックスドラマ、向田邦子作『阿修羅の如く』のオリジナル版(NHK版)オープニングでかかっていた曲『ジェッディン・デデン(Ceddin Deden/祖父も父も)』だったからだ。
軍楽団メフテルの演奏の様子。朴訥な雰囲気だが、それがまた味わい深い
日本のチャルメラにも似た木管楽器ズルナや、ダウルという両面太鼓、小太鼓、シンバルで奏でられる独特で迫力あるリズミカルな軍楽はどこかアジア的。曲名は、祖父も父も勇敢な武人だったと讃えるもので、トルコでは愛国心を呼び覚ます象徴的な曲である。力強い掛け声や、何度も繰り返される聞き覚えのある調べとともに、観客はオスマン帝国の世界へと導かれていった。
主人公のスレイマン大帝と王妃ヒュレム
メフテルの後は、トルコの人気舞踊・舞台パフォーマンス集団『ヒュレム・スルタン・ダンス・ティヤトロス』による『ヒュレム・スルタン』が始まった。今回の演目『ヒュレム・スルタン』とは、16世紀、オスマン帝国の全盛期を築いたスレイマン大帝と、奴隷の身分から帝国の最高権力を握る王妃へと登り詰めた主人公ヒュレム・スルタンの物語。二人の深い愛、宮廷内の権力闘争や悲劇をダンスで描く歴史ドラマで、古くからトルコの国立オペラ・バレエ団でも上演されるなど、人気の演目だ。
ヒュレム・スルタン・ダンス・ティヤトロスが演じる『ヒュレム・スルタン』は、バラエティに富んだ音楽・ダンス・映像でドラマチックに表現され、スペクタクル感にあふれる。
真っ赤な布の中で激しい慟哭が表現されているよう
最後のハイライトでは、迫力の演劇表現が展開する。ライバルの大宰相イブラヒムを死へ追いやったヒュレムは、やがて愛する皇帝スレイマンの手で処刑される。巨大な赤い幕に覆われた舞台で、苦悶しながら消えゆくヒュレムをアクロバティックなダンスで描くラストは圧巻だ。
ひととおりストーリーはあるものの、物語は史実ではなく、よりシュールレアリスティックな表現で構成されており、最後の解釈は観客に委ねられている。

©GoTürkiye
ケルスス図書館ほか、大劇場へと続くマーブル通り周辺もライトアップされている
終了した後は、『特別ナイト・ミュージアム』鑑賞。ケルスス図書館で光のパフォーマンスを堪能する。
ぜひとも、来年以降もこのプレミアムなイベントがツアーとなることを望むばかりだ。
舞台パフォーマンスが始まる前、17時頃からエフェソス遺跡見学が可能で、19時前後からは、ドネルケバブや鯖サンド、濡れバーガー、トルコアイスの屋台が出て賑わった。
【全盛期のエフェソスが甦る、没入型ミュージアムへ】
エフェソス古代都市の始まりからスタート
エフェソス遺跡とともに、ぜひ見学していただきたいのが敷地内にある『エフェソス・エクスペリエンス・ミュージアム』。最先端の映像技術とヘッドフォン音声ガイド(17カ国語)を使用し、全盛期のエフェソスへタイムスリップしたような感覚を味わえる。
映像と音響、振動などで臨場感にあふれる古代の生活や歴史を体感
神話と現実を融合させた、スピード感と迫力に満ちた美しい映像に魅了される。エフェソスの人々の信仰の象徴であった女神アルテミスに始まり、繁栄と衰退をたどり、最後は再びアルテミスの言葉で締めくくられる。まるで古代地中海の精神世界をめぐる壮大な物語へと誘われるようだ。
かつての市場や建築が目の前にリアルに甦る
なかでも印象的だったのは、港からやってきた商人たちが、エフェソスに到着して最初に歩く商店街(アゴラ)の場面。港町の活気と賑わいが生き生きと描かれており、実際に遺跡を訪れた際には、この映像を思い浮かべながら歩いてみたくなる。
さらに、エフェソスを築いたと伝えられるアンドロクロス、エフェソスに一時期留まった古代ローマの将軍アントニウスとクレオパトラ、そして聖パウロなど、歴史を彩る伝説的な人物たちも登場する。こうした物語を知ってから遺跡を歩けば、いっそう深いロマンをかきたてられずはずだ。
【シリンジェ村のプチホテルでテラスランチ】
美しいガーデンが広がるテラスレストラン
セルチュク市のエフェソス遺跡までやってきたら、ぜひ訪れてほしいランチスポットがある。セルチュク市の中心から緩やかな山道を20分ほど走ると、シリンジェ村へ到着する。そこから坂道を歩いて10分ほど。オリーブ畑を見晴らせる、小さなブティックホテル『ギュッル・コナクラル』の中庭にあるゼステ・レストランだ。
オリーブ畑の山々と村が見下ろせる
シリンジェ村は、ギリシャとトルコ人が寄り添って暮らしてきた村で、オスマン帝国風の建築とギリシャ建築が混ざり合った、独特の古い家並みが残る。ただ、近年はみやげ店やレストラン・カフェが鈴なりに並び観光客であふれている。メイン通りからこの丘の上のレストランへやってくると気持ちが洗われるよう。かつて穏やかだった村をイメージできる。
料理は、ガーデンサラダに、前菜メゼ3種(そら豆のペースト、ニンジンのヨーグルト和え、豆・キュウリ・ピーマン和え)からスタート。

メインディッシュは、チーズとホウレン草のボレキ(トルコ風パイ)と、ミックスグリル(チキンとキョフテ)、ブルグルピラフなど。村で取れる食材を使い、丁寧に調理された料理は、素材の風味が際立つやさしい味わい。
デザートのバラ風味ライスプディングと、桑の実のアイスクリームも美味。

ゲストハウスには、カントリー調の趣味のいい客室が全14室。広々とした浴室には猫足のバスタブも備わり、彼女と過ごす夜を心地よくしてくれる。
⚫︎エフェソス古代都市遺跡(Efes Antik Kenti)
住所:Acarlar, Efes Harabeleri, 35920 Selçuk İzmir
開館時間:8:00~20:00(冬期~17時から18時頃まで。現地で要確認)
※6月1日から10月1日までの水・木・金・土曜日はナイト・ミュージアム開催(23時まで)
休館日:なし
URL:https://muze.gov.tr/muze-detay?sectionid=efs01&distid=efs
※2015年にユネスコ世界文化遺産に登録
⚫︎エフェソス・エクスペリエンス・ミュージアム(Ephesus Experience Museum)
※エフェソス古代都市遺跡と同様
⚫︎ギュッル・コナクラル(GÜLLÜ KONAKLARI、Zeste Restaurant)
URL:https://www.marti.com.tr/gullu-konaklari/zeste-restaurant
取材協力/GoTurkiye.com、ターキッシュ エアラインズ































































