《Rose》2007年 7基のスポットライト、人工塵 直径350-440 cm (サイズ可変) Photo: Andrea Rossetti Courtesy of IAC Villeurbanne
《Untitled (blue glitter), open sculpture #1》 2015–2026年 マイクロ・グリッター サイズ可変 Photo: Julie Joubert Courtesy of Mennour
エルメス財団は、ブリュッセルを拠点に世界的に活躍するベルギー人アーティスト、アン・ヴェロニカ・ヤンセン(1956年、イギリス・フォークストン生まれ)の日本における初個展「東京、銀座5丁目4-1」を開催する。1970年代後半から、合板、ガラス、コンクリートといった簡素な素材を用い、1990年頃からは、光、音、人工煙霧といった要素を用いながら、常に実験的な試みを継続してきたヤンセンの作品は、彫刻、インスタレーション、ビデオ、写真、コンテンポラリー・ダンスの舞台美術など多岐にわたる。
《Swings》2000-2023年 ロープ、木、感熱フィルム サイズ可変 Photo: Andrea Rossetti Courtesy of Pirelli Hangar Bicocca
《IPE 650》2009 – 2017年 鋼鉄製ビーム、片面ミラー仕上げ H. 20 x W. 10 x D. 650 cm Photo: Peter Cox Courtesy of De Pont Museum, Tilburg
工業的な素材の使用や、展示する場の固有性を問いかけるミニマリズムや、空間と光について科学的に考察するライト&スペースなどの芸術的動向との類似点を持ちつつも、ヤンセンの作品は、極めて控えめな姿で現れる。その探究は一貫して、世界に対する身体的知覚、そして、その中における認識の危うい不明瞭な領域を触発し、固定された形や直接的に把握可能な形を強いることなく発生する。また、彼女の活動は、アーティストと科学者が共同で空間、時間、身体そして脳の関係を探るプロジェクト「ブレイン・スペース・ラボラトリー」の設立(ナタリー・エルジーノとの共同設立、2009年)などを通じた学際的な対話や研究にも及んでいる。
《Donut》 2003年 プログラム制御された光の投影 投影サイズ可変 5分(ループ) Photo: Florian Hölzherr Courtesy of CCA Wattis Institute for Contemporary Arts, San Francisco
本展は、1990年代以降継続するヤンセンの一連の作品によって構成されている。銀座メゾンエルメス ル・フォーラムのアドレスを、タイトルとして取り上げる眼差しには、場所への身体的、感覚的、かつ概念的なヤンセンのアプローチが強く示されている。特定のアドレスに宛てられ、その空間の物理的な観察から構想された作品は、拡散する光を物質として扱う《Rose》、瞬間の痕跡を記憶する青いグリッター《Untitled (blue glitter)》、熱反応フィルムで覆われた座面を持つブランコ《Swings》、自身の声をメディウムとする新作《Donut》などの10点余り。これらの作品群は、場所に与えられた固有性を揺るがし、時間、光、空気を操り、風穴を開け、気流を生み出し、感覚の緩衝地帯ともいえる見えない建築を作り出していく。
《Green, Yellow and Pink》2017年 人口霧、カラー照明 サイズ可変 Photo: Andrea Rossetti_ Courtesy of Esther Schipper
《Blue Glass Roll (405)》2017年 鋳造ガラス 直径約42 x H. 21 cm Photo: Andrea Rossetti Courtesy of Esther Schipper
ヤンセンは、自らのアプローチについて、「コントロールの喪失、権威主義的な物質性の欠如、そして物体の専制から逃れようとするこの試みの中」*に作品を見出そうとしていると語る。精緻さの中に光沢、軽さ、透明性、流動性をたたえる作品から放射される超越的な感覚とともに、自らが空間に拡散し、浸透していくような錯覚を体験するはずだ。*パスカル・ルソー、「Light Games」『art press 第299号』、2004年2月
《Blue Papegaai》2010 – 2017年 ガラス、パラフィンオイル、セリグラフ、木製台座 H. 120 x W. 60 x D. 60 cm Photo: Andrea Rossetti Courtesy of Esther Schipper
2015年、エルメス財団のアートスペース「ラ・ヴェリエール」(ブリュッセル)では、アン・ヴェロニカ・ヤンセンとミシェル・フランソワの『Philaetchouri』展を開催した。さらに、アーティスト・レジデンシー・プログラムにおいても、2014年から2016年まで、ヤンセンは3人のアーティストのメンターを務めたことでも知られる。
© Tinko Czetwertynski | Courtesy of the artist
アン・ヴェロニカ・ヤンセンAnn Veronica Janssens
1956年、イギリス・フォークストン生まれ、ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動。1970年代以降、鑑賞者の空間における体験に焦点を当てた作品を発表している。反射、光彩、透明性をテーマとしたサイトスペシフィックなインスタレーションは、光、人工煙霧、音といった捉えどころのない要素や、手段や媒介としてのみ機能するシンプルな素材を用いて制作される。それらは「今この瞬間」の儚さ、空間や時間に対する主観的な認識、そしてそれらの絶え間ないうつろいを体験するための装置として機能する。彼女の作品は、「物質」が「非物質」を通じた変容が、鑑賞者に方向感覚の喪失や不安定感を与え、やがてその感覚を肉体(物理的)から心理的な領域への移行を促がす。鑑賞者は自らの動きや他者との対話、そしてアーティストが作り出した状況に対する認識、また、そうした状況を通して活性化させた建築物や空間に対する認識を通して、他に類を見ない体験に能動的に参加することとなる。
開館時間:11:00〜19:00
休館日:水曜日(9月23日(祝・水)は開館)、年末年始(※
会場:銀座メゾンエルメス ル・フォーラム8・9階(中央区銀座5-4-1)



























































